大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

魔法少女マヂカ・176『JS西郷と人形焼』

2020-09-19 13:49:05 | 小説

魔法少女マヂカ・176

『JS西郷と人形焼』語り手:マヂカ    

 

 

 なんでJS西郷が?

 

「時間を跨いで救援に来れるのがわたししか居ないからよ。去年の九月に関東大震災がおこって、みんな忙しいから」

 そうだ、大正十四年と言えば関東大震災の明くる年だ。緑の多い原宿は目立たないが、震災から一年にもならない東京は大変なことになっているはずだ。

「マヂカ、その子は?」

 JS西郷に気づいたノンコが近寄ってきた。

「魔法少女よ」

 説明する前にJS西郷が応える。

「うっわー可愛い! 魔法少女ってJKばっかだと思ってた」

「いや、こいつの中身は……」

「人形焼きでできてんの」

「は?」   重盛の人形焼」 : じぶん日記

「食べる? 浅草名物人形焼、あんことカスタード、中身は食べてのお楽しみ(^▽^)/」

 JS西郷が差し出した紙袋には溢れんばかりのホカホカの人形焼が入っている。

「わ、ひっさひブリ~(o^―^o)」

 さっそく弁天さんの人形焼を頬張ったノンコはJS西郷の詮索を忘れてしまった。

「神田明神にでも頼ろうかと思っていたんだけど、その話しぶりだと無駄足になりそうね」

「うん、将門さんは寝込んじゃってるよ」

 さもありなん、神田の御大が健康ならこんな災厄は起きていないだろう。

「で、まあ、今夜寝るところにも困ってるだろーから……」

「え、すぐには帰れないの?」

 二つ目の人形焼きに伸ばした手が止まってしまうノンコ。

「この紹介状を持って高坂侯爵のお屋敷に行くといいわ」

 器用に背負ったままのランドセルから封筒を取り出して、わたしとノンコに示した。

「高坂侯爵……」

 華族のお屋敷と言えば多くは山の手だ、渋谷に近い原宿あたりにあったか……?

「ほら、あそこよ。こんもりとした森のようなお屋敷」

 JS西郷の指の先……そこは東郷神社が……ああ、この時代東郷元帥はまだ生きている、神社の敷地は、さる華族様のお屋敷だったな。そうか高坂侯爵だったか。

「で、なんの紹介状……」

 振り返るとJS西郷の姿は無く、紙袋一杯の焼き立て人形焼きだけが残っていた。

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紙模型 戦艦扶桑製作記・3・進捗率95%

2020-09-19 09:12:45 | イレギュラーマガジン

紙模型 戦艦扶桑製作記・3

 

 二年かかりました  「戦艦扶桑」の画像検索結果  

 

 ほぼ毎日、1~2時間の制作で二年かかりました。

 進捗率は95%というところです。

 このポーランド製の紙模型は「作れるものなら作ってみろ(^▽^)/」というところがあります。

 デフォルトでは強度不足で補強しなければならないところ、こんなもの作れるかというところがあって、自分の技量とも合わせて見極めることが重要です。

 1と2で書きましたが、船体の補強と修正が必要です。このままでは継ぎ目や痩せ馬が出て、不細工になります。

 艦船模型の要諦は、平行・垂直・直角・左右対称の担保です。

 細部を作りこんでも、船体や構造物の平行・垂直・直角・左右対称ができていないと台無しになります。

 船舶模型は前後から見ると狂いが目立ちます。全工程にわたって平行・垂直・直角・左右対称を確認することが重要です。

 総部品点数はデフォルトで10000は超えていると思います。

 でも、25ミリ機銃のクランクやペダルなど0.2ミリほどの部品はシートから切り出すことすら不可能で、どこを省略するかという見極めが必要です。

 また、副砲の防水シートや手すり、艦橋各層の補強などに自作しなければ対応できない部品などがあり、数え方にもよりますが、部品点数は20000近くになったと思います。

 

   

   

 

 煙突周りの支持支持架やカタパルト、艦橋の窓枠はデザインナイフで隙間を切りだしリアリティーを出しています。艦橋の窓のパーツは四カ所あります。最初に透明アクリル薄板を貼り付け、あとから隙間を切り取る方法で作っています。LEDを仕込めば見ごたえがするのですが、気が付いたのが艦橋部分を仕上げた後でしたので、ちょっと残念です。

 この後は、若干の張線とウェザリングを施して完成にしようと思います。

 次は『赤城』を作ろうと思うのですが、置き場所を確保しないと手が付けられません。

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ポナの季節・39『安祐美の顔を借りる』

2020-09-19 05:42:05 | 小説6

・39
『安祐美の顔を借りる』     

  

ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名




「いい加減にしてください!」

 三度目だった。

 大ニイからも言われていたが、マスコミの攻勢は家族にまで及んだ。
「みんなには迷惑かける。マスコミとか市民団体は家族にまで及ぶと思うけど、沈黙を通してくれ、どこで言質をとられるか分からないし、情報は加工されて、どんな風にも編集できるから
な」
「分かった、大ニイ!」
 と元気よく返事したポナだったが、その約束を一番に破ったのは、ポナだった。

 それほどまでにマスコミと市民団体は執拗だった。で……要するに、ポナは切れてしまったのである。

「妹さんとして、今度のお兄さんの行動を、どう思いますか?」ぐらいは辛抱できた。
「新子さんて、お兄さんとは血の繋がりないのよね。そこまで聞くのは気の毒だわ」
 この市民運動家のオバサンの一言でブチギレた。なんで家庭の秘密を、こんな他人のオバサンが知ってるんだ!?
「そういうプライベートなことには、僕たちは関わらないから、ただお兄さんの……」

 とA放送のオッサンがマイクを構えたところをポナは、スマホで録画した。すると、通行人の中で興味を持って、同様に録画したり写メを撮る者が現れた。
「あなたたちのしつこい! YouTubeで流してやるから!」
「いいぞ、新子。オレたちもやるからな!」
 名前を覚えてしまった通行人が叫ぶ。

 ポナは、学校に着くまでの間に動画をアップした。で、マスコミも野次馬の有象無象も同じことをやった。

「ポナ、もう炎上してるわよ!」

 学校に着くと、由紀と奈菜が心配そうに寄り添ってきた。学校で公然とスマホを見ることは校則違反だけど、どうやら今日は特別な日になりそうだった。
 朝礼が終わると、生活指導に呼ばれた。

「寺沢、今日は、もう家に帰れ。扱いは公欠にしておくから」

 生指部長から言われた。

 学校の周りにマスコミや、ありがた迷惑な市民運動の人たちが集まり始めていた。このままでは学校にまで迷惑をかけることになる。ポナは生指部長の意見に従うことにした。生指部長は変装用のウィッグと眼鏡を用意してくれたが、ポナはやんわりと断った。
――なにも悪いことはしていないんだ。このままでいこう――
 そう決心したが、昇降口の窓越しに見える地獄の餓鬼のような連中を見ると足がすくんでしまった。

「あたしが助けてあげる!」

 振り返ると、幽霊の安祐美が眉を吊り上げて現れた。
「安祐美……」
「家に着くまで、あたしの顔を貸してあげるわ。完全別人だから分からないわ」
 そこに心配顔の由紀と奈菜がやってきた。
「ポナ……あ、安祐美……安祐美が二人も!?」

 訳を話すと二人とも分かってくれた。

 安祐美の顔になって、無事に学校は出られた……。

 

ポナの周辺の人たち

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

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かの世界この世界:76『町長はあとまわし!』

2020-09-19 05:29:28 | 小説5

かの世界この世界:76     

 『町長はあとまわし!』    

 

 

 タングリスだけがまともだった。

 

 ブリュンヒルデはドレスのスカートがズタボロで、なんだか腰蓑のようにバランバランになっている。

 ケイトは肩紐とブラのストラップが切れたので、弓を持った手で押さえている。

 ロキは何もしなかったはずなのに、シャツのボタンが三つもとれて、右袖が肩の所で千切れかけている。頭の上でポチがせわしなく回っているところをみると、興奮したポチを押さえ込もうとして、逃げ惑う人たちにもみくちゃにされたようだ。

 わたしは、ドレスの右袖がとれただけで比較的マシ……と思ったら、タングリスが後ろを指さす。

 え?

 後ろに手を回す……なんと、ドレスの後ろ側がきれいさっぱり無くなっていた。

「これをどうぞ」

 町長夫人がケープを掛けてくれたので、なんとか体裁を整えることができた。

 

「石化した人たちをもどさなければ……」

 

 町長は呟くのだけど、気力が失せてしまったのか行動にうつせないし、人に指示することもできないでいる。

 ゼイオン司祭……目で追ってみると、断末魔のメデューサに睨まれたのだろう、鬼の形相のまま石化している。

「手持ちの金の針で直そう」

「足りるかなあ……」

「足りなかったら、そのとき考えよう」

 タングリスの一言で、我々も、やっと動き出す。

「す、すみません、クリーチャーなど町の中では見たこともないもので、みなさんには、お世話になります」

 町長夫人が深々と頭を下げる。

「出来る限りの事はいたします」

「町のみなさんも手を貸して、石化した人たちを横たえて。倒れて欠けたら大変だから」

「わかりました」

 間近の町長さんに手を伸ばすと、夫人が遮った。

「町長は最後でかまいません。石化は若い人ほど進行が早いのです、長引くと金の針でも元に戻りませんから」

「わかりました、治療は若い人からだ!」

 タングリスが指示を出して作業が始まる。

 そして、117人目の石化を解いたところで金の針が無くなった。

「どうしよう、まだ町長さんと司祭さんが……」

 

 わたしなら……大丈夫だ……

 

 絞り出すような声に振り返ると、ゼイオン司祭が、そこだけ解けた口で喋っている。

「これでも一級白魔導士だからね、ゆっくりだがオートリペアで回復する……町長は……この三日以内に解いてやらないと戻らなくなる」

「どうしよう……」

「ペギーに連絡してみよう……」

 スマホを出してペギーを呼び出す。

「あ……圏外だ」

「ここは、バラの力で魔よけをしている、スマホの電波は、ちょっと入りにくいんだ」

「あんまり喋ると、口の周りにヒビが入るわよ」

「すまんが、連れて行って治してやってく……あ、ヒビが……」

 パリンと音がして司祭の口にひびが入った。

 

 我々は着替えを澄ますと、四号の砲塔に町長を括りつけて町を出発した……。

 

 

☆ ステータス

 HP:4000 MP:2000 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・50 マップ:5 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高40000ギル)

 装備:剣士の装備レベル10(トールソード) 弓兵の装備レベル10(トールボウ)

 憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)

 

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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