大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

せやさかい・173『残念さん』

2020-10-09 13:09:13 | ノベル

・173

『残念さん』頼子    

 

 

 日本生まれの日本育ちなので気に留めることも無かった。

 お地蔵さん。

 

 堺は古い街なので、番地で言うと〇丁目に一つというぐらいにお地蔵さんがある。

 いや、堺ぐらいに古い街って日本中にあって、そういう街も〇丁目単位でお地蔵さんがある。

 だから珍しがることってないんだけども、ソフィアには発見だったんだ。

「えーとね、日本の仏教にも地獄があってね、地獄って『ヘル』のことね。その地獄で苦しんでいる亡者……」

「亡者? 何です?」

「あ……デッドパーソン……かな? それを救ってくださるホトケ?」

「……罪を得てヘルに落とされた者を助けると言うのは……脱獄ほう助ではないですか?」

 グヌヌ……お地蔵さんを知らないのに、法律や犯罪関係の日本語は知ってるんだ。

「いや、だからね、地獄で十分反省したり、犯した罪の重さ以上に地獄でほったらかしにされていたりね(^_^;)」

「ああ、無実の罪ですね! 冤罪デス!」

「そーだよ、それとかね……」

 当たり前だと思っていたことを外人に説明するのは難しい。いや、わたしも半分外国人なんだけど、意識は日本人。矛先を変えることにする。

「えと、子どものうちに死ぬのは、昔の日本では罪深いことだと思われていたんだ」

「え、罪を犯した子どもですか? 窃盗とか殺人とか器物損壊とか?」

「いや、親よりも先に死ぬのは不孝だと思われてた」

「ああ、それは不幸でしょ! 子どもが死ぬのは、いつの時代でも不幸デス!」

「その不幸じゃなくて、不孝」

「?」

 同音異義の説明は難しい(-_-;)。

「Um……undutiful child(親不孝の子ども)だわよ」

「え? 親より先に死んだら、親不孝? それは、子育てにかかった費用を回収できないということ? 子ども親の所有物と思っていた封建時代の悪い考えデス!」

「いや、そーじゃなくて」

 これは手におえない。

「ま、それは、また説明……そうだ、また、如来寺のテイ兄ちゃんに聞こう!」

 そう、こういうことは坊さんが専門だ。如来寺はソフィアも気にいってるので、目を輝かせて賛成してくれる。

「いいですね! また、お寺の部室でマッタリしたいデス!」

「うん、いこういこう!」

 これでお地蔵さんの前を離れたんだけど、角を曲がると〇丁目が変わって、別のお地蔵さんがあった。

「あれ?」

「今度は、なに(^_^;)?」

「ただの石デス!」

「うん?」

 お厨子の中に祀られていたのはラグビーボールほどの石に涎掛けがしてあるものだった。

「風化してしまったデスか?」

「いや……」

 一歩引いてお厨子の扉の上を見る。こういうところに額縁があって、ご本尊の名前とかが書いてあるからね。

「なんかありますデスか?」

「ああ、えと……」

 

 そこには『残念さん』とだけ書かれていて、わたしにも意味不だった(^_^;)。

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まりあ戦記・005『初めてのベース』

2020-10-09 07:45:57 | ボクの妹

(神々の妄想)
005『初めてのベース』語り手 晋三  



 陸軍特任旅団のベースは首都の南にある。

 それは二十年前のヨミのファーストアクトで出来た巨大なクレーターの中に潜むように存在している。
 クレーターの直径は三キロほどもあり、所狭しと対空兵器が並んでいる。
 中央にはベースのコアに通じる入り口があり、入り口はカメラの絞りのような構造になっていて、出入りするものの大きさに合わせて変化する。

 直径二十メートルほどに開かれた入り口を、まりあたちを乗せたオスプレイが巣に着地する猛禽類のように下りていく。
 隔壁三つ分降りたところがハンガーだ。

 まりあはスターウォーズの基地のように思えてキョロキョロ。到着早々ヨミに出くわした衝撃はほとんど薄れて、小学生のような好奇心。これは性格というよりは、十七年の人生で無意識に培った力だろう、ちょと痛々しくはある。

「ウッヒョオオオオオ……」

 こういう反射の良さが良くも悪くもまりあの個性だ。どっちかっていうと、生前の俺は、まりあのそういうところが苦手だったが、いまの俺には好ましく思える。過去帳を住み家として二年目、少しはホトケさんらしくなってきたかな。

「さ、ここからはリフトよ。三回乗り換えるから、迷子にならないでね」

 みなみ大尉はテーマパークのベテランスタッフのようにまりあをエスコートしていく。
「大尉、またお腹がすいたんですか?」
 二つ目のリフトに向かう途中、カーネルサンダースの孫みたいな曹長に声をかけられた。
「え、CICに行くとこだけど?」
「アハハ、そっちは士官食堂ですよ。CICはリフトを下りて三番通路を右です」
「わ、分かってるわよ」
 見かけの割には抜けているところがあるようだ。
「この人、主計科の徳川曹長、ベース内での日常生活は彼が面倒見てくれるわ。こちら舵司令の娘さん、いろいろ面倒見てもらうことになるから、まず徳川君のところに連れて来たんじゃない(^_^;)」
 強引な強がりに、徳川曹長もまりあも吹き出しかけた。

「えと、舵まりあです。お世話になります」
「こちらこそよろしく。司令からも話があるだろうけど、ここでは君は少尉待遇だ。一応士官だからベース内の大概のところには行けるよ。当面必要なものは後で届ける。ベースの詳しいことは、その時にレクチャーするよ、みなみ大尉に任せたら日が暮れそうだ」
「ちょっとねえ!」
「はい、回れ右して二つ目を左、二番のリフトに乗って……自分が案内しましょうか?」
「大丈夫、ここへは君に会わせに来たんだからね!」
「それはご丁寧に……じゃ、幸運を祈ります」

 まりあは徳川さんに付いて来てほしかったが、目を三角にしたみなみ大尉には言えなかった。

 曹長の案内が良かったのか、それからは迷うことなくCICに着いた。

「司令、まりあさんを連れてまいりました」
 レーダーやインターフェースを見ていた四人が振り返った。まりあの姿を確認すると三人は任務があるようでCIC内のパネルやモニターをいくつか確認したあとCICを出て行った。残った一人が口を開いた。
「さっそくだが、まりあはウズメに乗ってもらう」
 お父さん……そう言おうとした妹の口が固まってしまった。
「司令、まりあさんは来たばかりですが」
「社会見学に来させたわけじゃない。まりあは即戦力だ」
「し、しかし、エンゲージ(同期)テストもやらずに無謀です」
「待ってはおれない、テストは乗ってからやればいい」

 あいかわらずむちゃくちゃを言う親父だ。

 俺だったらブチギレてる。

「わかったわ、ウズメでもスズメでも乗ってあげるわよ」

 こわ!

 まりあの目が据わってきたぞ。
 

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ポナの季節・58『孝史の出張』

2020-10-09 06:22:00 | 小説6

・58
 『孝史の出張』          

 

 

「先生、出張ですか?」

 鞄を持って職員室を出たところで、みなみに出くわした。

「いよー、あらかわ遊園のアイドル! よかったらオレをマネージャーに雇わないか。そしたらヤボ用に出かけなくて済む」
「あたしたち、ほんのアマチュアですっ……て、やっぱ職探しですか?」
「ああ、諜報員は意外に給料が安いんでな。ほんと、お前らに、その気があれば大晦日に紅白に出してやるぜ」
「アハハ」
「アハハ」
 互いに笑いあって、校舎の玄関で分かれた。みなみは完全に出張と思ってくれたようだ。

 今日の孝史は出張でも職探しでもなかった。文字通りのヤボ用である。

――ヤボは逆さに読んだらボヤだ、火は小さなうちに消しておかなきゃな――

 地下鉄を三つ目で降りて、道を二回曲がると小ざっぱりしたマンションの前に出た。

 午後四時過ぎ、この業界人の出勤時間だ。

 孝史は、マンションを電柱一本分やり過ごして、その業界人が出てくるのを待った。八分ほどでターゲットがマンションから出てきた。
 ピンクのチェック柄のシフォンワンピに、赤いバッグを手に抱えている。意外に業界の人間には見えない。二十代のOLが有給をとって、ちょっとお出かけといったいでたちだ。変わり身がうまいというか早いというか、一筋縄ではいかないタイプに思えた。

――先手必勝、真っ直ぐに当たるのが正解だろう――

 孝史は間合いを詰めて、駅の手前で声を掛けた。
「谷口さん」
「はい?」
 振り返った顔は、まるで声を掛けられるのを分かっていたような……いや、こういうシュチュエーションに慣れた女のように思われた。
「自分、寺沢新子の兄で、孝史といいます。昨日あらかわ遊園でお見かけしました」
「あ、それはどうも……ユーチューブで新子の姿を見たもんで、居ても立っても居られなくって……良い女の子になりました。安心と嬉しさで握手会にまで出てしまいました」
 明るい笑顔は、ポナに似ている。でも巧みな作り笑顔であることは孝史には分かる。
「そのご様子なら、お分かりだと思うんですが、新子に直接会うのは控えていただけませんか。しっかりしているようでも、まだ十五歳です。直観力の有るやつなんで、会えば、あなたが何者か察してしまいます。新子を混乱させないでください。兄としてお願いします」
「大丈夫ですよ。寺沢先生にお渡ししたときから一生会わないと覚悟はしています。ただファンとして、あの子の姿が見られれば十分です。わたしも、あのころの女子高生じゃありません。けじめは承知しています」
「……分かりました、無礼な申し方で失礼しました。じゃ、握手してお別れしましょう」
 孝史は、いかにも好青年風に手を差し出した。
「フフ、なんだか青春ドラマみたいだな」
 そう言いながらも、谷口真奈美は手を差し出して握手した。握手が指切りげんまんの代わりであることは承知していた。
「じゃ、これから出勤なんで、失礼します」
「お引止めしました」
 真奈美はシフォンのワンピを翻して地下鉄に向かった。
「あなたの手、新子にそっくりですよ」

 真奈美の背中は一瞬バグった3D映像のようになったが、すぐに何事も無かったように駅への階段を下りて行った……。


ポナの周辺の人たち

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊
吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。
佐伯美智  父の演劇部の部長
蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒
谷口真奈美 ポナの実の母

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かの世界この世界:96『ノルデングランドホテル』

2020-10-09 06:05:03 | 小説5

かの世界この世界:96

『ノルデングランドホテル』    

 

 

 名は体を表さないホテルだ。

 

 ノルデングランドホテルはいわゆるラブホテルだ。お城風の三階建ては三流映画のセットのようにチャッチイ。一見味のある石造り、それも風雪によって風化しかけた趣があるが、手で触れると発泡スチロールに泥絵の具を塗りたくっただけのものだ。

「なんだか遊園地のお化け屋敷のようだな」

「マーケットで出た発泡スチロールを砕いて貼り付けてあるんです、剥がれたら、その都度貼り付けて塗装をしています。こういうところにお金を掛けない分、料金は安いんです、アハハ……」

 頭を掻きながらヤコブが言い訳をする。

「こういうホテルってフロントが無くて、自販機みたいなところからキーが出てくるんだぞ……無機質なところが闇に通じる」

 ブリュンヒルデは意外にツボにはまっているようだ。タングリスは憮然とし、ケイトとロキはワクワク、ポチはロキの肩に掴まったまま動かない。

 

 いらっしゃいませ。

 

 自販機めいたのが喋った!?

 なんと、機械が故障しているようで、パネルの横に鍵束を持ったオヤジが立っているではないか。

「申し訳ありません、二名様と三名様に分かれてのお泊りになります」

「なんでだよ、連絡した時は全員個室だって!」

「すまん、ヤコブ。西部戦線が片付いたんで、大挙して部隊が戻って来ることになって、うちみたいなところにも予約が一杯になってなあ。あ、もしヤコブも泊まることになったら布団部屋に入ってもらうしかないぞ」

「オレは四号の修理がある、みなさん、一晩の事なんで、どうかご辛抱ください。では、鍵をどうぞ」

 二つのキーを渡すとオヤジはスタッフオンリーの部屋に戻っていった。

 

 ロキとケイトにポチで一部屋、もう一部屋をタングリスとブリュンヒルデとわたしで使うことになった。

 

「ふ、風呂がガラス張りだぞ……」

 ブリュンヒルデがたじろいだ。

 女同士、気を使わなくていいじゃないかと慰めるが、元来が姫君、首を縦に振らない。ブリュンヒルデを先に入れて、その間部屋を出ているという選択肢もあるのだが、タングリスは斟酌しようとはしない。

「女同士です、いっしょに入りましょう」

 なるほど、これなら外から見られて恥じらうこともない。

 入ってみると、この種のホテルの仕掛けが気に入るブリュンヒルデだ。

 風呂からテレビが見れるぞ! オー、泡のジェット噴射で気持ちいい! なんで風呂に滑り台がある!? 水鉄砲があるぞ! 子どものようで見ていて飽きない。

 タングリスの裸には驚いた。美人でプロポーション抜群なのは分かっていたが、軍人らしく引き締まった身体にきめの細かい肌が微妙にアンバランス。いや、アンバランスと言っても美しさのアンバランス。なんだろう、この見とれてしまう感覚は? そうだ、形容すると「おいしそう」というのがピッタリしてしまう。

「おいしそうという感覚は間違ってないぞ、ハハハ、そんなにうろたえるな」

 ブリュンヒルデが混ぜっ返す。

「先にあがります」

 タングリスがあがると、ガラスの向こうに所在なげなケイトが見えた。肩にポチを載せている。

「あっちでは入りにくいので、こちらの風呂を使わせて欲しいそうです」

 タングリスの解説でケイトが入って来る。なるほど、ロキがいっしょでは入りにくいだろう。

「おー、水鉄砲も滑り台もあるし、遊んでいけ(^▽^)/」

 ブリュンヒルデはすっかり寛いでいる。

 

 明日はいよいよムヘンともお別れである。海を渡って、行くべき進路は二通り……ま、それは明日考えよう、タングリスもブリュンヒルデも口にはしないのだから……。

 

☆ ステータス

 HP:7000 MP:43 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・55 マップ:6 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高35000ギル)

 装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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