大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

銀河太平記・014『修学旅行・14・児玉元帥・3』

2020-10-20 14:44:05 | 小説4

・014

『修学旅行・14・児玉元帥・3』   

 

 

 満州戦争の功績で元帥府に列せられた児玉元帥は陸軍の朝霞谷駐屯地に居る。

 

 軍も政府も乃木坂に元帥府官舎を用意したのだが、乃木将軍ゆかりの地では落ち着かないということで、特定の行事が無い限り足を向けず、日ごろは近くの乃木坂学院の部活動や地域活動に貸し出している。

 朝霞では当初士官用の二人部屋に起居していたが、同じ士官宿舎棟の将校たちが気を使うというので営庭の隅にある倉庫を居住に耐えるように手を加えて住んでいる。

 最初は、ほんの掘っ立て小屋という風情だったのを――これではあんまりだ――という駐屯地の兵たちが資金を出し合い、非番の工兵隊が中心になって田舎の診療所程度の宿舎を作った。

「元帥は分教場だとおっしゃっています」

 案内のヨイチ准尉が説明してくれて、その宿舎に入るのかと思ったら受付のようなところで元帥は室内プールだと言われ、営門近くの室内プールに向かった。

 

 プールに足を踏み込むと、景気のいい水音と子どもたちの歓声がくぐもって響いていた。

「よし、あとは上級者が初級の面倒を見てやれ、五十メートル往復二本。歩いてでもいいから完泳しろ。終わったら出席カードにハンコ押してもらって食券をもらって食堂に行っていいからな」

 元帥は、プールに浸かって幼稚園から中学生くらいの子たちに水泳を教えていた。

「元帥、扶桑の方々をお連れしました」

「ああ、すまん。プールサイドのテーブルのところで待っていてくれ」

 ヨイチ准尉が手を挙げると、水泳指導を終えた兵士が手際よく整えてくれて、俺たちはペコリとお辞儀して席に着いた。

 五十メートル一本だけ子どもたちに付き合って、元帥はプールから上がった。

 思わず息をのんだ。

 そのまんまモデルが務まりそうな水着姿から水が滴り、なんか清涼飲料水か歯磨きのCMの一コマのようだ。

 プールから上がった元帥は水泳キャップを外して、ザっと水けを振るい落とすとバスタオルでワシャワシャと髪を拭き、拭いたタオルを腰に巻いただけの格好でテーブルの方にやってきた。

 見かけは二十代の女性だが、中身は満州戦争で名をはせた老練の英雄だ。思わず起立してしまった。

「ああ、堅苦しいのはよそう。わたしもこの格好だからね、掛けてくれたまえ」

「「「「失礼します!」」」」

 学校では絶対しないような行儀のいい挨拶をして、再び腰を下ろす。

「大石一くん、穴山彦くん、緒方未来くん、平賀照くんだね」

 元帥は正確に俺たちの名前を呼ぶと、テーブル越しに一人一人に握手してくれる。

「君たちのお蔭で大事にならなかった、こんな非公式の場だがお礼を言うよ。本当にありがとう」

 そう言うと元帥は深々と頭を下げる。

 アタフタした俺たちも揃って頭を下げる。

 ヒコは若年寄の息子らしくきれいに、未来は首が落ちてしまうんじゃないかってくらいにカックンと、テルは背が低いこともあって、下げた頭をテーブルにゴチンとぶつけて、俺は元帥の真ん前で頭を下げながらも元帥の水着からこぼれそうな胸を一瞬だけどガン見してしまった(^_^;)。

 

 ※ この章の主な登場人物

大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い

穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府若年寄穴山新右衛門の息子

緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた

平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女

 ※ 事項

扶桑政府   火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる

 

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まりあ戦記・015『まりあマリア』

2020-10-20 06:19:57 | ボクの妹

 ・015
『まりあマリア』  


 

 マリアはまりあにそっくりだ。

 まりあのアシスタント兼ガード兼影武者として特務師団から派遣されてきたのだから、そっくりで当たり前なんだが。
 元々はアクト地雷の汎用品だけれども、CPUが一昔前のスパコン並の性能……じゃ分かりにくいよな。
 かつてゲーム機の王者と言われたプレステに例えると、初代プレステとプレステ5くらいの差がある。
 学習能力や表現能力がケタ違いに優れている。

 常にまりあを観察していて、思考や行動パターンを修正していく。

「やっぱ、写真というのはアナログがいいよね~」

 アルバムやら未整理の写真が山盛り入った段ボールを引っ越し荷物の真ん中に、まりあとマリアが悦にいっている。
 まりあが帰宅した直後は「捨てろ!」「捨てない!」と双子のケンカのようになっていたが、まりあの心と性癖を学習したマリアが修正を計り、まりあ以上の情熱で引っ越し荷物の発掘に熱中し始めた。
「印画紙に焼き付けた写真て、いい具合に劣化していくんだよね……」
「色がさめたり、セピア色になったり、とても懐かしい……」
 壮大なカルタ会のように写真を並べてはひとしきり思い出に耽り、ため息ついては並び替え、いろいろ差し替えては目を潤ませている。
「これ、ケンカしたあくる日だ」
「ああ、ホッペの絆創膏ね!」
「この難しい顔は、ケンちゃんにコクられたあとだ」
「こっちは、芳樹くん。ニヤケてるし!」
「相手によって態度も反応もゼンゼンちがうんだよねー!」
「おたふく風邪のなりかけ~!」
「ぶちゃむくれ~!」
「そのとき買ってもらったのが……ジャーン、このリボンのワンピだ!」
 衣装ケースから懐かしいものを取り出す。
「そーそー、それがリボン時代の始まりだ!」
「小六の春まで続いたんだ。前の席になった吉井さんが大人びててさ」
「そーそー、ブラウスの背中に浮かんだブラ線見た時はショックだった!」
「家に帰ってすぐに初ブラ買いにいったんだよね!」
「お父さんに着いて行ってもらって!」
「お父さん、真っ赤な顔で、お店に入れなかったんだよ」
「お兄ちゃんは鼻血出しちゃうしね」
「男って、おっかしいよねー!」
「「アハハハ」」

「ちょっと、早く片づけちゃいなさいよ! そいでお風呂入んな!」

 風呂上がりのみなみさんがガシガシ髪を拭きながら注意する。

「マリア、いっしょに入ろ」
「あたしお風呂当番だから、あとにする」
「じゃ、おっさきー!」
 鼻歌を奏でながらまりあは風呂に向かった。
「マリア、あんたアシさんでもあるんだから、この溢れかえった荷物なんとかしなさいよね!」
「わかってまーす」
 調子のいい返事をすると、言葉とは裏腹に段ボールの中身をぶちまけ始めた。
「ちょ、マリア!」
 もうみなみさんの言葉には反応せずに、敷き詰めた思い出アイテムの上でゴロゴロし始めた。
「あ、あのなー」
「ゴロニャーン」
「あんたは猫か!」

 あくる日、まりあは、みなみさんが手配してくれたロッカールームに荷物のほとんどを運び込んでしまった。

 夕べ、風呂からあがると、マリアがマタタビに酔った猫のように目をトロンとさせヨダレを垂らしながら引っ越し荷物に溺れているのを見て気持ちが変わってしまったのだ。

 どうやら、マリアの作戦勝ちのようだった。

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ポナの季節・69『ゴースト安祐美 再びの青春』

2020-10-20 06:06:55 | 小説6

・69
『ゴースト安祐美 再びの青春』
        


 

 クローゼットを開けて、また迷ってしまった。

 なにを着ようではなく、なにがどこにあるのかが呑み込めていない。

 それで迷ってしまう。

 この家に来て四日目、人の記憶や記録にあるものは書き換えたけど、新しい両親の心に食い込むためには里依紗への愛情を借りなければならない。
 そのためには、なるべく里依紗が身に着けていた服や持ち物を使う必要がある。
 この四日間、金曜の夜(M企画でT自動車のCM出演が決まった日)からは夕食のあとSEN48の慰問ライブがあるので家を空けていた。
 夕べ帰宅して不用意に風呂に入った。あがると母が用意しておいてくれた下着とパジャマに着替えた。
 着替えたものは、当たり前のように母親が洗濯。
「安祐美、下着と靴下むこうで買ったの?」
「え……ああ、ライブのスケジュールで家に帰れなかったから」
「そう……でも、ちょっと趣味が今までと……」
「あ、うん。旅先だから適当なので間に合わせたから」

 記憶は書き換えてあるのだが、母親にはわずかに里依紗の記憶が残っているようで、おかしいと感じてしまうのだ。

 バグになる前になんとかしなきゃ。で、安祐美は朝からクローゼットの中をまさぐっている。
「これか、夏物は……里依紗って、隠れキャピ子だったんだな」
 やっと入れ替えを終わって、安祐美は詰めの甘さを実感した。
「安祐美、今日は法事なんだから制服でいいのよ」
 階下から母の声。
「分かってる。すぐ行く!」
 制服を着て玄関へ、父はすでに車に乗って車内の冷房にかかっていた。
「里依紗、そこの粗供養持って」
「里依紗って、だれ?」
「え……」

 母は瞬間フリーズ、安祐美はあぶないところで開き直ってかわした。

「いやあ、安祐美ちゃん、福島の慰問ライブ上出来ね!」
「今度はT自動車のCMやるんだって。もうアイドルだな」
 法事のお寺に入るなり叔母さん伯父さんに期待のまなざしで言われた。親類の喪服の面々が暖かい表情で安祐美を見る。
「いやあ、そんなに……期待してください(n*´ω`*n)」

 アハハハ

 法事の場は和み、母も穏やかに笑っている。この調子だと、安祐美は思った。

 正面には祖父の写真が置いてある、先日話したばかりの老人のそれが。

――ありがとう、安祐美さん。息子夫婦は里依紗に死なれて一年半になるのに悲しみは増すばかり、未だに里依紗の部屋もそのまま、このままでは夫婦そろって病気になるところだった。どうやら安祐美さんを娘と思って生きていってくれそうだ。このあともよろしく――
――里依紗さんにはすまないと思ってます――
 祖父の後ろから里依紗が出てきた。
――ううん、いいの。このままじゃお父さんもお母さんも一年ともたなかったわ。あたしは安祐美さんみたいに幽霊しながら実体化するなんてわけにはいかないから、安祐美さんには感謝してます――
――里依紗さん、寂しくない、あたしが入れ替わったりして?――
――少しはね。安祐美さんの情熱も羨ましい。でも、いずれ二人がこちらに来たら、また仲良し親子になれるから、それまで二人をよろしく――

 そこまで話したところで、住職がきて法事が始まった。

 そして、ゴースト安祐美、再びの青春が始まった。

 

ポナの周辺の人たち

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、一時乃木坂の講師になるが現在は不明。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊
吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。
佐伯美智  父の演劇部の部長
蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒
谷口真奈美 ポナの実の母

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かの世界この世界:107『25トン対5000トン・4』

2020-10-20 05:56:51 | 小説5

かの世界この世界:107

『25トン対5000トン・4』語り手:テル        

 

 

 ペリスコープを覗く!

 

 二十倍の倍率なのでスコープ収まり切れないが、主砲の砲口が確認できるほどではない。

 ググググ……奥歯を噛みしめて倍率をあげる。

 ペリスコープの倍率では無くて、わたしの目の倍率だ。

 わたしの属性は剣士だが四号の砲手をやっているうちに目の倍率をあげられるようになった。

 もう少し攻撃目標の座標を正確につかみたいと思っているうちに付いたアビリティーだ。戦闘後にウィンドウを開くとMPのゲージが減っているので、剣士に似合わぬ魔法の力が付いたようなのだ。

 ただ、めちゃくちゃ疲れるので、並の戦闘では使わない。

 

 奥歯が折れるんじゃないかと思った時にピントが合った。

 敵巡洋艦の二番砲塔、右砲の砲口の中で――ここを狙え!――ポチが叫んでいる。むろん声が聞こえるわけではないが、目いっぱい開けた口の形で読み取れる。

「どうする、ブリュンヒルデ?」

「テル、照準はできたか」

「1200パーセントだ」

やめてよ……ポチが死んじゃう

「敵の主砲は、この貨物デッキに指向しているぞ」

「テーーー!!」

 脊髄反射でトリガーを引く、衝撃! 

「ポチイイイイイイ!」

 ロキが悲鳴を上げる。

 弾着まで二秒、砲手の脳内で0.1秒刻みでカウントされる。0・18秒のところでポチが砲口を飛び出す! 砲口の直前で四号の徹甲弾とポチが交差した!

 

 ドドドドドッガーーーーーーーーーンンンン!!!

 

 今まさに発射されようとしていた敵の砲弾とこちらの徹甲弾が砲身の中で激突し瞬時に大爆発した!

 砲身は爆竹を仕込まれたマカロニのように爆砕され、爆圧は尾栓を吹き飛ばし砲塔内に揚弾されていた主砲弾を炸裂させ、揚弾機を通じて火薬庫に駆け下り、三百発以上の主砲弾を一気に誘爆させ、隣接する一番砲塔を百メートルの高さに吹き飛ばして、艦体を前から1/3のところで断裂させた。

 1/3の艦首部分は瞬時に沈没、後ろ2/3は艦首と二基の主砲が無くなっていったん艦底が海面に露出するほど持ち上がった後、右舷を下にして横倒しになった。数秒後煙突から流入した海水が二基の缶に流入、水蒸気爆発を起こさせた。

 ドッゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 シュネーヴィットヘンの乗員は息をのんだ。

 今の今まで、撃沈される側と観念していたところ、逆に敵艦が大爆発を起こして沈んでいったのである。

 しばらくは言葉も出なかった。

 

 ポ、ポチ……。

 

 ポチの名を呟いただけで、ロキは言葉も発せられなかった。

 常人であるロキには、ポチが敵艦といっしょに沈んでしまったとしか思えなかったのだ。

「やれやれ、またお裁縫だな……」

 爆風で着ているものを全部吹き飛ばされた姿でポチは戻ってきた。

「み、見るなあ! 寄るなあ!」

 差し伸べたロキの手をパチンと叩き、通信機の上のベッドにもぐりこんでしまった。

 安堵と達成感で、ロキには悪いが明るい笑い声が車内に満ちた。

 

 めでたしめでたしではあるのだが……シュネーヴィットヘンの損傷もひどく、このままでは目的地グラズヘイムまではもたなくなってしまった……。

 

☆ ステータス

 HP:9500 MP:90 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・70 マップ:7 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高25000ギル)

 装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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