大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

まりあ戦記・016『マリアの企み』

2020-10-21 06:52:09 | ボクの妹

 ・016
『マリアの企み』   


 

 

 着地と同時にまりあはトリガーを引いた。

 49体目のヨミを撃破したままの構えなので、光子ライフルは威嚇にしかならないと、みんなは思った。
 コンソールの前のみなみ大尉は、それでいいと思った。
 ヒットアンドランを繰り返していれば必ず勝機は訪れる。

 ところが、まりあの放った光子弾はヨミのコアのど真ん中を打ち抜き、一発でヨミを無力化したのだ。

 背後に気配を感じ、ライフルをぶん回しながらウズメを旋回させトリガーを引く。
 引いた時には気配は、今の今まで向いていた後ろの正面に移動、ソニックソードがウズメの脚を薙ぎ払う。
 足場にしている斜面の杉林がバラバラの幹や枝に切り刻まれ羽毛のように舞い散る。
 旋回し終えたウズメは、精一杯ライフルを伸ばして射撃し50体目のヨミを撃破する。
 しかし、ウズメの右足は膝から下が粉砕され、立ち上がって姿勢を制御するのに三秒のタイムロスをしてしまった。

「51体目にトドメを刺された、ウズメの敗北だ」

 司令である親父が宣告して、ニ十分に及んだ戦いが終わった。
「でも50体までは倒しました。今までヨミが複数で攻撃してきたことはありません、勝利と判定して差し支えないと思います」
「大尉、ヨミは我々の想像を超えた変異体なんだよ。この程度の飽和攻撃に耐えられないようでは話にならない」
「……分かりました、搭乗員をリバースしたらプログラムの解析とチェックの用意。桜井君お願いね」
「了解しました」
 サブオペレーターの桜井中尉にあとを頼むと、みなみ大尉はシートを立った。司令の姿はすでにない。

 今日の訓練は、ダミーのヨミを数体ずつ増やして六回、最後は対応限界を超えた51体ものヨミを相手に行われた。
 VR空間に作られたダミーとは言え、今までに現れたヨミをもとにプログラムされている、みなみ大尉ではないが、まりあはよくやっている。

 力が入らない……。

 リバースされた時に放心状態だったまりあが口をきいたのは四十分後だった。
「もう家に帰って寝る?」
「うん……もう限界を三つばかり超えて突き当たって落ちてしまったみたい」
「じゃ、コネクトスーツ脱いでジャージに着替えようか。なんなら先にお風呂? 一緒に入ってあげよっか、溺れるといけないから」
「とりあえず脱がせて……」
 背中のジッパーを向けると、まりあはそのまま泥のように眠ってしまった。

「ケケケ、あたしの呪いが効いてきたようじゃないかい」

 家に帰ると、血色のいいマリアが魔女のように言う。
「なによ、その格好は?」
 まりあは一瞥するだけで言い返す力も無かったが、みなみ大尉が見とがめた。

 マリアは魔女のようではなく魔女そのものの格好をしているのだ。

「やだなあ、今日はハロウィンでしょ! 観音(かのん)たちと渋谷2にくり出すの! じゃね!」
 まりあが訓練中なので、学校にはマリアが代わりに行っているのだ。
「待て! そういう美味しいところは譲れないわよ!」
 マリアを引き止めると、急いでマリアのコスを剥ぎ取るまりあであった。
「えらくあっさりと譲ったのね」
「もともとまりあに行かせるつもりだったし、アルバムの時みたいにバトルする元気もないようだから、ま、作戦」
「よくできたアンドロイドだ。こんど、わたしの作ってもらおうかな~」
「コスなら、まだあるわよ、ね、あたしたちも行こうよ! 年に一回のお祭りなんだからさ!」

 みなみ大尉が作ってほしかったのは自分の影武者だったが、あえて訂正せずにハロウィンにくり出すことにしたのだった。

 

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ポナの季節・70『T自動車CM撮影の開始』

2020-10-21 06:35:44 | 小説6

・70
『T自動車CM撮影の開始』
       


 

 撮影開始と言っても、もう三日前から始まっている。

 土曜日にはSEN48全員の保護者の了解がとれ、日曜日の東北慰問ライブにはM企画のカメラが入った。
 ライブで撮影されることには慣れていたので、ライブの途中で撮られていることを忘れるくらいだった。
 月曜からはメンバーひとりひとりの撮影に入り、由紀と安祐美が終わり、今日はポナの番。

 だからポナにとっては、今日が撮影初日のようなものだ。

「え、こんなに本格的なんですか!?」

 朝早々とやってきたクルーを見て、ポナは小さく叫んでしまった。
 監督の田中以下、カメラが三台、照明に音声、ADさんにタイムキーパーとメイクさんの総勢十二人。
「もう一度部屋から出てきてくれない?」
 せっかく着替えた制服をパジャマに着直して自分の部屋から出てくる。正直パジャマ姿は恥ずかしいけど、勢いに呑まれてやってしまう。父の達孝と母の豊子がニヤニヤと笑って見ているのが癪に障る。
「新子ちゃん、顔洗ってもらえるかな」
「あ、あたし夏の朝はシャワーなんですけど」
 言って後悔した、田中監督の目が光ったから。

 上手いもんだと思った。

 てっきり裸にならなきゃと思ったポナだが、シャワーシーンはパジャマの第一ボタンを外すところと、シャワーからお湯の出る瞬間を撮っただけ。
 改めて制服に着替える。ここはリボンを付けるところだけを撮った。
「じゃ、次は家を出て駅に向かう。メイクさんお願い」
「え、メイクするんですか?」
「うん、ここからは顔が写るからね」
 小さなショックだった。ここまでも顔が写ってると思って表情なんか気にしてポナなりに演技していた。

 軽くメイクして玄関のドアを開けてびっくりした。

 家の前はご近所のみなさんで一杯だ(^_^;)!

「やあ、新子ちゃんかわいい!」
「もうスターね!」
「あとでサインもらおう!」
 一瞬でご町内のアイドルになってしまった。

 家を出るだけで二回のリハーサルと本番はテイク3まで撮る。最後にモニターで出来を確認。
「えー、これがあたし!?」
 感動している間もなく通学の撮影、カメラ一台と音声さんと照明さんが付く。

 学校に着くと先回りしていた撮影隊が、演劇同好会の稽古場で待っていた。
「え……!」
 ポナは、今日何度目かのビックリだった。稽古場には撮影隊と演劇同好会以外に八人の生徒がいた。
「急に新入部員が増えちゃった」
 吉岡先生はニコニコしていたが、友子と奈菜は複雑な顔をしている。ポナは新入部員の顔を一瞥して言った。
「よかったじゃないですか、みなさんよろしく!」
 ホッとした空気が新入部員たちに流れた。

 新入部員がSEN48の人気にあやかっているのは丸わかり。

 でも動機なんてどうでもいい、この中から半分でも付いて来てくれたら来年には同好会も演劇部に昇格できる。それよりポナは、自分がコワモテしていることに戸惑いがあったが顔には出さなかった。
 とりあえずは、演劇同好会の夏公演を成功させること、そう思って稽古に集中した。

 撮影は夜まで続いた。

 お風呂に入る寸前までカメラが回っていたのは閉口だったけど、この撮影で、少し自分を客観的に見られるようになったかと納得。
――大変だったでしょ――と安祐美。
――お疲れさま――と由紀。
「ああ、安祐美も由紀もぉ、あらかじめ言ってくれたらよかったのに!」

 大人びた納得は一瞬でどこかへ行ってしまった。
 


ポナと周辺の人たち

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員、その後乃木坂の講師、現在行方不明。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊
吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。
佐伯美智  父の演劇部の部長
蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒
谷口真奈美 ポナの実の母

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かの世界この世界:108『ヘルム島間近』

2020-10-21 06:23:27 | 小説5

かの世界この世界:108

『ヘルム島間近』語り手:ブリュンヒルデ         

 

 

 ヘルム島で修理をすることになった。

 

 ポチの働きでパラノキアの巡洋艦を撃沈させたが、肝心のシュネーヴィットヘンがグラズヘイムまでの航海に耐えられなくなってしまったのだ。

「無茶をせずに帰還できるな」

 あいにくの霧の中、島の輪郭が見え。船の応急処置の手伝いから戻ってきたヤコブに声を掛ける。

「船の修理に一か月はかかります、その間に解決できればいいんですが」

 レーゲ海の宝石と言われるヘルム島だが、ヤマタという邪神が居て四年に一度、十七歳の処女を生贄に捧げなければならない。

 今年はヤコブ伍長の妹が指名されているのだ。折からの休戦、彼は脱走同然に部隊を抜け出し島を目指しているのだ。

 相談したわけではないが、我々はシュネーヴィットヘンの修理が終わるまではヤコブを助けてやろうという気になっている。

「しかし、せっかくの島が見えない」

 ケイトが女の子らしい不満を言う。レーゲ海の宝石とあって、少女らしい期待を持っているのだ。ロキは船のコックから美味しいと聞いたシーフードに涎を垂らしている。タングリスは渋い顔をしていたが、グラズヘイムで待ち構えている試練の予行演習になるだろうと思い直してくれた。テルは「あ、そうか」と頷いただけ、ムヘンで知り合ってから気心は知れたと思ったが、ときどき分からない表情をする。ポチは……

「チョロチョロしてると首輪をつけるぞ!」

 テルに作ってもらった新しい服が嬉しいのと、未知のヘルム島への期待で四号やら甲板やら手摺の上やらを子犬のようにチョロチョロしている。子犬とちがって空中も飛べるので視界に入ると煩わしくて仕方がない。

 かくいうわたし、ブリュンヒルデはひしひしと闇の力が漲るのを感じている。予知能力などは備わっていないと思うのだが、漆黒の姫騎士の血が来たるべき試練を予感して暗黒エナジーのたぎりを感じているのかもしれない。

 

 おおーーーーーーー!

 

 船のデッキから一斉にどよめきが起こった。

 立ち込める霧の中に刀の刃文のような輪郭しか現わさなかったヘルム島。それが、神の力によって蒸発させたように数秒で霧が文字通り霧消して、フルカラーの姿を現したのだ!

 世界でただ一つ我が父であり主神であるオーディンに服ろわざる(まつろわざる)島。

 それは、世界中の画家を集めても書ききれないほどに光と色彩に満ちた夢の島だ。

 近づくにつれ、色彩に遠近感が現れ、差し渡し一キロほどの間隔をあけた岬、いや、半島が女神の腕(かいな)のごとくに奥つ城のヘルム湾を抱いている。

 ヘルム湾は西北に奥まっていて、船が岬に近づくにしたがって装いを顕わにし、 船は十ノットほどの微速になり、しずしずと湾内に入っていく。

 ドーーーーーン

 岬の灯台を過ぎたところで砲撃の音がした!

 

☆ ステータス

 HP:9500 MP:90 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・70 マップ:7 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高25000ギル)

 装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

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