大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

まりあ戦記・006『ウズメ発進!』

2020-10-10 12:41:05 | ボクの妹

(神々の妄想)

006『ウズメ発進!』    

 

 まりあに大事なことをやらせようとしていることは分かっていた。

 だが、こんなとんでもないものに乗せようとしているとは、ホトケさんになった俺でも分からなかった。

 ウズメはとんでもなく巨大なロボットだ。

 ロボットという概念に収まるものではないのかもしれないけど、十六年で人生を終えてしまった俺には、これを的確に表現する言葉が無い。

「思ったよりおっきい……かな……でも……慣れてしまえば……関係ないか……」

 まりあは、ここで何をするのかは分かっていたようだ。親父から打診があったんだろう、おそらく一か月ぐらい前に。じっと考え込むことが増えてたし、先週からは家の中を片付け始めていたしなあ……仏壇に手を合わせる時に、なにか言わねえかと思ったんだけど、けっきょく今朝まではホトケさんの俺にも言いやがらねえ。

 まあ、相談されても応えてやる口も無いんだから、俺の自己満足にしかならないんだろうけどな。

 俺は、生活の場所を親父のとこに移すだけかと思っていた。俺が付いているとは言えホトケさんの身、リアルでは何もしてやれねえしな。仕送りとかはあるにしても、十七歳の女子高生が一人暮らしというのはきびしい、時期的には進路選択が主題の三者懇談も近いし、学校の昼飯以外はボッチ飯てのもこたえるよな。

 そこで、経済的にも精神的にも自立できるまでは親父の庇護を受ける。ま、実の父親が娘の面倒をみるてのは、世間的には当たり前。

 しかし、親父は学者バカというやつで、自分の研究とか学問的使命のためなら家族を犠牲にすることを厭わない。

 だから、親父の庇護を受けるというのは、穏やかに言って親父の手伝いを、はっきり言って親父に支配されるということなんだ。

 軍に関与してからの親父はたいそうな力で、対ヨミ戦に関しては文民でありながら司令なんだとか。

 ことによっては、かなり危ないことをやらされるかも。でも、ここ二年程を凌げれば自立できるし。

 だったら、この二年ほどは、親父とギブアンドテイク!

「自立できたら、もうちょっとましな仏壇買ってあげるからね」

 チーーーーン

 そう言って、鈴(りん)を一発鳴らしてみなみ大尉に返事のメールを打ったんだ。

 なんか、俺の知らない間に、こいつなりに成長してんのかもな。

 

 え? ちょっと震えてねえか?

 

 胸ポケットの中に居るもんだから、震えが直に伝わってくる。

 あ……え……なんちゅうか、オッパイの上なんで、なんかけしからん振動なんだけど(^_^;)。

「ヘッドセットとコントローラーは?」

「乗ると言ったはずだが」

「だから、ブースとかに入ってドローンみたく操縦するんでしょ? ゲームとかじゃ『乗る』って言うし」

 親父は、ズイっとロボットの頭を指さした。

頭の所に乗り込むスペースがある、乗り込んだら身体を固定して静かに座っていなさい。ベースを出るまではこちらでコントロールする。出てからは、いろいろ指示をするが、基本的にはまりあが感じたまま動いてみるんだ」

 え、なにを言ってるんだクソオヤジ!?

 前世紀のロボットアニメじゃねえんだ、直に人間が乗るなんてアナログすぎっだろ!

「リアルに乗り込むって、これがやられたらオペレーターも一巻の終わりじゃない」

「機体とシンクロするには直に乗るのが一番だ。だから、ゲームでも『乗る』という表現をするんじゃないのか?」

――司令、ウズメの発進準備完了しました。パイロットを搭乗させてください――

「分かった、急げ、時間がない」

「ど、どうやって動かすの?」
「イメージするだけでいい、ウズメがシンクロして行動にうつしてくれる。ウズメを信頼して委ねてしまいなさい」

「……わかったわ」

 短い会話を打ち切り、まりあはリフトに乗る。

 もう震えてはいない、ここ一番のクソ度胸なんだろうけど、大丈夫か、まりあ? ホームルーム延びるのが嫌で、義侠心から球技大会の選手に立候補するのとはレベルが違うぞ!

 ほんの三秒ほどでリフトはウズメの頭部に着き、開いた後頭部のハッチからまりあは乗り込んだ。

――座ったら楽にして……そう、リクライニングになるから――

 みなみ大尉の声に変わった。

「シートベルトは?」

――無いわ、自然に緩やかに固定されるから心配しないで――

「はい」

 CICの中では五人のオペレーターが、それぞれのモニターやらコンソールの前に座ってオペレートしている。
「ジェネレーター1番から6番までオールグリーン」
「ウェポンコネクターオールグリーン」
「各部関節オールグリーン」
「シールド展開完了」
「同期率80%、出撃可能値を超えました」

「120%まで待つ」
「危険です!」
 みなみ大尉が声を上げた。

「まりあを守るためだ、シンクロが切れてしまったらウズメはただのデクノボー、しっかりシンクロさせるんだ」
「しかし」
「まりあなら大丈夫だ」
「同期率110%……115%……120%今!」
「固定!」
「固定!……効きません、同期率さらに上昇、130%、140%、150%……」
「危険です、中止しましょう、司令!」
「待て……」
「190%、200%……安定しました」
「よし、いける。ウズメ発進!」

 ズゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 腹に響く振動がして、ウズメを載せたエレベーターは加速して三つの隔壁を抜け、地上に達するとブースターを点火したウズメを秒速100メートルの速度で紺碧の空に打ち出した!

 バシューーーーーーーーーーーーッ!!!



 時に2053年、まりあ戦記が歴史に刻まれる時がやってきた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポナの季節・59『今日は七夕だから』

2020-10-10 06:30:54 | 小説6

・59
『今日は七夕だから』
         


 

「今日は七夕だから……」

 安祐美は、一昨日とその前の日の二日続きのデビューライブで力を出し過ぎたんで、しばらくは姿を現わせないと思っていた。

 幽霊が実体化するのは大変なんだ。

 駄菓子菓子、いや、だがしかし。

 テストが終わって、食堂に行ったら、いつもの席で安祐美が普通にララランチを食べている。
 で、ポナもララランチをトレーに載っけ、黙って隣の席に着いた。
「案外立ち直り早いんだ」
 そう言うと、意外なほどにうろたえて「今日は七夕だから……」というワケの分からない言い訳が返ってきた。

「どういうことよ?」

 ララランチを同時に食べ終えて、つまり安祐美の方が食べるのに時間が掛かっているというか、ポナの食べるのが早いのか、その両方か。
 食べ終わると、普通の生徒のように中庭に行った。
「七夕だから……なにがあるのよ?」
「んとね…………」
 長い間をおいて、安祐美はポツリと言った。

「ある人に会えるかもしれないんだ……」
「ある人って……もしかして、お・と・こ?」
「うん」
 思いのほか、あっさりと認めた。
「だったら、こんなとこで待ってたって駄目でしょう。牽牛と織姫は、天の川で待ち合わせでしょうが」

「それがね……だれか分からないんだ」

「え、ええ?」
「死んで二十六年もたっちゃうと、だれか分からなくなっちゃうの」
「そんな薄情な」
「ううん、その子も死んでるの。生きている人間なら、こっちから会いに行く。あたしは会いに行く幽霊だから」
「死ぬと分からなくなっちゃうの?」
「なんとかは日々に疎しって……」
「ここに居ていいの?」
「動かない方がいいと思うの。相手の方が少しでも覚えていてくれたら、ここに居る方が会える可能性が高い」
「そうなんだ」
「ポナ、もう行って」
「あ、お邪魔虫?」
「ううん、あたし無理して実体化してるから、ポナのエネルギー吸い取っちゃう」

 そう言うと、安祐美の姿が急速に透明になってきた。

「ポナにも、近々、運命の出会い……」
 そこまで言うと、安祐美の姿は完全に消えてしまった。

――会えるといいね――

 そう思ってポナは、昇降口経由で正門に向かった。由紀たち生徒会が、正門の近くで七夕の短冊書きをみんなに勧めていた。生徒会も気の利いたイベントをやるもんだと感心、短冊に『会えるといいね』とだけ書いて笹に結び付けた。ポナの存在に気づいた由紀が短冊とポナを見比べて意味深な顔をした。
「あ、人の事だよ人の」
「ポナには、修学院の蟹江クンてのが居るもんね」
「ああ、あれは……」

 その他大勢と言いかけて止めた。その他大勢では失礼すぎるだろう。

 帰りの駅に着くと、なんとポチが実体化して待っていた。

「ポ、ポチ……そっか、あんたのことだったんだ、安祐美が言ってたのは」
 ポチを抱っこしてスリスリする。ポチがホッペを舐める。愛おしかった。
 久々にポチのリードを持って、いっしょに帰った。リードから確かなポチの感触が伝わってくる。

 家が近くなると、ポチの存在感が急速に希薄になり、家の敷地に足を踏み入れたときには消えてしまった。思い出したように雨がパラつき始めた。晴れていたら、もっと長い時間いっしょに居られたかもしれないと思うポナだった。

 手のひらに落ちてきた雨粒が、だれかさんの涙のような気がした……。
 


ポナの周辺の人たち

父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師
母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん
長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉
次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。
長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官
次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ
三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )
ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。

高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)
支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子
橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長
浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊
吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。
佐伯美智  父の演劇部の部長
蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒
谷口真奈美 ポナの実の母

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

かの世界この世界:97『白雪姫と七人の小人』

2020-10-10 06:19:30 | 小説5

かの世界この世界:97

『白雪姫と七人の小人』     

 

 

 旅の目的はグラズヘイムに着くことだ。

 

 グラズヘイムにはブリュンヒルデの父である主神オーディンの居城ヴァルハラがある。

 ブリュンヒルデをムヘンの牢獄に繋いだのは、その父である主神オーディン。

 主神オーディンとブリュンヒルデには確執があって、それを解くのが目的のようなのだが、詳しくは分からない。

 もう一つの目的がある。シュタインドルフのヴァイゼンハオス(孤児院)で預かったロキを、その母の元に送り届けることだ。ロキの故郷はユグドラシル(世界樹)の根元にある。この世界の地理には詳しくないが、グラズヘイムとユグドラシルでは方角が違う。

 本来なら夕べノルデングランドホテルで決めるべきだった。

 だが、ブリュンヒルデの子どもっぽい寛ぎかたやタングリスの落ち着きぶりを見ていると「どっちにする?」とは聞けなかった。もとより、わたしもケイトも別の世界の人間なのだからな。

 

「ロキを送り届ける」

 

 いっしょに顔を洗いながらタングリスが一言言ってくれたのは好意なのだと思う。

「安心した」

 一言返事すると、わたしとタングリスは並んで歯を磨いた。洗面の前で横に並んでもタングリスの美しさが匂いたつ。

 同じ朝の光を浴びているのに、タングリスの方が10ルックスほど明るく感じてしまう。

「なにか?」

「すまん、見とれてしまった」

 正直に言った、どんな状況でも、タングリスは言葉を濁すことは好まないだろうと思ったからだ。

「そうか、テルが男であればなあ……いや、わたしが男であってもよかったか。テルもなかなかの女っぷりだぞ」

「「アハハハ」」

 二人で笑ってお仕舞にした。

 二人で軍服に着替えて、みんなを起こす。さすがに軍人で、軍服に着替えると、いつものタングリスに戻った。

 

 大きい分だけボロだなあ

 

 乗船Schneewittchen(シュネーヴィットヘン)は艦齢五十年はあろうかというポンコツ輸送船だ。

 西部戦線が落ち着いて最初にヴァルハラに戻る便で、千人ほどの帰還兵と物資が積み込まれている。

「おっきい割には乗ってないねえ」

 ケイトが安心したように船を見上げる。

「あちこち痛んで、人が乗りこめるのは半分ほどしかないそうだ」

「シュネーヴィットヘンって、どういう意味?」

「白雪姫」

 一言で済ますと、タングリスはタラップを上っていく。笑ったり呆れたりしながら後に続く。

「毒リンゴ喰らって沈みそう……」

「沈むゆーな!」

「もう一人いたら、あたしら七人の小人だ!」

「ポチは0.1くらいだな」

「おっきさで判断しないで!」

 アハハと笑って、一同でデッキに上がる。ちょうどデリックで四号が釣り上げられるところだ。

 シュルツェンを付けられたので一回り大きく見える。

「かぼちゃの馬車にしては武骨だなあ」

 ロキが知ったかぶりを言う。

「かぼちゃの馬車はシンデレラだろう」

 次の便船が迫っているシュネーヴィットヘンは早々に出港した。

 

 ん、おまえは!?

 

 出港して間もなく、四号のハッチから顔を出したのは整備兵のヤコブだ。

「アハハ、わたしが付いて行けば七人の小人になるでしょ!」

 みんなが笑うなか、わたしとタングリスは渋い顔をしたままだった。

 

☆ ステータス

 HP:7000 MP:43 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー

 持ち物:ポーション・55 マップ:6 金の針:0 所持金:500ギル(リポ払い残高35000ギル)

 装備:剣士の装備レベル15(トールソード) 弓兵の装備レベル15(トールボウ)

 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー)

 白魔法: ケイト(ケアルラ) 

 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫

 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる

 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士

 タングリス       トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係

 タングニョースト    トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 

 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児

 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 82回目に1/6の人形に擬態

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い

  中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長

  志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする