大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 139『信長版西遊記・崖崩れ』

2023-08-23 15:44:16 | ノベル2

ら 信長転生記

139『信長版西遊記・崖崩れ信長 

 

 

 玉門関を出て、砂漠を南東に進んでいる。ここからは河西回廊(かせいかいろう)だ。

 三国志の舞台である中原とシルクロードの舞台であるゴビ砂漠を繋いでいるのが、この河西回廊だ。

 

 扶桑(転生国)の感覚で回廊というと、学校の渡り廊下、せいぜい学院と学園を結ぶ川沿いの田舎道を思い浮かべるが、そんなケチなものではない。

「大坂と京を結ぶ京街道のようなものかブヒ?」

「そんな、ケチなものではないぞウキ」

「京街道がどれほどのものかは知らんが、東は楼蘭、西は、さっきまで居た玉門関までのおおよそ1000キロほどの地域だッパ」

「1000キロブヒ!?」

「グーグルマップで見てみろウキ」

 俺は物事を数量的、視覚的に捉える。理屈で物事を捉えては失敗する。

「ええ( ゚Д゚)! 尾張から白河の関……どころか、ほとんど津軽あたりまで行ってしまうブヒ!」

 スマホの画面を見てたまげる八戒。

「あ、ああ、三国志の世界はスケールが大きいからッパ」

 他の三国志人が言うと――どうだ、中華はでかいだろーが<(`^´)>――と鼻につく自慢になるのだろうが、茶姫のそれは――無駄に大きい(-_-;)――というニュアンスになる。大きいがゆえに王や皇帝の権力は強くなり、強くなるがゆえに、能力のない者や、悪党がその地位に着いた時の災厄は計り知れないという怖れと疎ましさが滲んでいる。

「この1000キロを歩いていくのかブヒ!?」

「仕方ないだろ、ウキ」

「玉門関までは一気だったのにぃブヒ」

「紙飛行機の性能がよかったからだ。忠八には感謝だウキ」

「じゃあ、いっそ飛行機で行けばぁブヒ」

「曹操を謀るんだ、並の事ではすぐに見破られるッパ。時間をかけて西遊記一行としての評判を上げ、味方を増やし、策も練らなければな……」

「扶桑は、みんなの心が一つになっている。大丈夫だ、茶妃」

 最後の方は「ッパ」も「ウキ」も忘れてシビアになってしまった。

 敦煌までは、砂漠や半砂漠の荒れ地が続いていて、きちんと整備されているわけではない。

 ときどき立ち止まっては、岩の上や木に登って様子を探る。

 

「あれ、崖崩れだ、ブヒー!」

 ジャンケンに負けて岩に上った八戒が叫ぶ。

 

「少し遠回りかなッパ」

「俺も見てくる、ウキ」

 岩に上がって、小手をかざすと様子がおかしい。

「崩れ方がおかしい……」

「どこがおかしい、ブヒ!?」

「八戒が指差した一角だけが崩れていて、他のところはひび割れも無く、穏やかな谷が続いているウキ。だれかが意図的に崩して……あちらの古道の方に誘導しているんだウキ」

「誘導?」

 あの崖崩れの向こうに見られたくないものがあるか、それとも……誘導された古道の向こうになにかの悪だくみがあるのか。

 信長らしくもなく迷いが生じた。岩の上からは彼方に敦煌の仏塔も霞んで見える。一気呵成に進めない距離でもない。いや、だからこそ慎重になるべきという気もする。

 その迷いを見透かしてか、沙悟浄も上がってきた。

「なにを迷っているッパ?」

「いや、すまん。崖崩れはしれているんだが、つい、景色に見惚れてしまったウキ」

「フフ、阿倍仲麻呂も西域には憧れておった。扶桑人は旅愁を誘われるのかもなッパ」

「ハハ、迷うまでも無い、敦煌の仏塔も見えている。ここは回り道をしておこうウキ」

「ブヒ、三蔵法師が!?」

 八戒の声に振り返ると、馬上の鞍に三蔵法師の姿はなく、丑寅の方角に砂煙が上がっている。

「ッパ! 連れ去られた!」

「ウキ! まだ遠くない、追うぞ!」

 

 三人揃って馬に飛び乗ると、砂煙を追って走り出した!

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ)

 

 

 

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RE・かの世界この世界:197『桃太郎鉄道』

2023-08-23 06:37:32 | 時かける少女

RE・

197『桃太郎鉄道』テル 

 

 

 パオ~~ン


 のどかに警笛を鳴らし、桃太郎鉄道は岡山駅を出発する。

 ゴトンゴトン ゴトンゴトン

 二両連結の列車はジオラマのオブジェのような山の裾を巡ると、直ぐに小川を跨ぎ、お伽話の挿絵のように穏やかで可愛い山の谷間に入る。

 途中の踏切では通学途中の小学生が手を振って、牛が「モオオ~」と鳴き、空にはトンビがピーヒョロロ。

 さっき渡った小川は、いつの間にかせせらぎの音をさせながら鉄路に並んで流れている。

 まるで、身体が縮んで本当にジオラマの世界に入ったようだ。

 ゴトンゴトン ゴトンゴトン

 ケイトと桃太郎二号は、子どものようにシートの上で正座して景色に見入っている。

「うわあ!」

「開けてきた!」

 谷間を抜けると、一気に視界が開け列車は吉備平野に飛び出した。

 平野と言っても北海道のそれや、関東平野ほどに広くはなく、ムヘンのそれのように荒涼としていることもない。

 小さな山や村落が適度に散らばり送電鉄塔と相まって、いいアクセントになっている。

 うさぎ追いしかの山~小ぶな釣りしかの川~♪

 童謡の古典が口をついて出てきてしまう。

「あれは丘か? ところどころに形のいい森か小山のようなのが見えるが」

 ヒルデがあちこち指をさす。

「あれは古墳だよ」

「コフン?」

「ああ、昔の豪族たちのお墓、年月が経って森のようになったのよ。神域として祀られているものもある」

「そうか……イザナギ殿、あなたがイザナミさんと生んだ国は豊かで平和に成長しているではないか」

「恐れ入ります、これも桃太郎くんたちが努力してくれた結果でしょう。わたしとイザナミは器としての国を生んだだけです」

 なんと、謙虚な……と思ったら、ヒルデが目を赤くしている。

「麗しい……我が父は、世界を平定するのにかまけて、ここまでの国造りには気が回っておられぬ」

「ヒルデさん、それで、そのように甲冑をまとわれておられるのですか」

「ああ、けして父オーディンの大業を非難するものではないが、未だにラグナロクの戦略を練ることで手いっぱいの状況だ」

「お、俺もがんばるからな!」

 桃太郎二号が拳を上げて振り返る。

 シートに後ろ向きにお座りしてのファイティングポーズ。憎たらしい奴だが、ちょっと可愛い。

 思ったが、口にすると頭に乗るから言わない。

「あそこに城跡がある」

 タングリスがマップと景色を見比べて指をさす。

「城跡、あの公園のようなところがか?」

「はい、殿下、備中高松城とあります。秀吉という武将が、あの足守川を堰き止めて水攻めで落城させたとあります」

「なんと気宇壮大な……高松城の兵たちは水に溺れて死んだか?」

「いえ、勝ち目がないと降参し、秀吉も、それを受けて城主一人の命をとるだけで許してやったようです」

「え、そうなのか!? 我々の常識では皆殺し、さもなければ、次の戦いで最前線に立たせて敵の的にするぞ!」

「どうも、この国の有りようは違うようです」

「お、俺だって、降参してくれば、たとえ鬼でも優しくしてやるからな(;`O´)o」

「興奮するな桃太郎二号、シートが傷むだろーが!」

 ケイトに叱られて、格好がつかないので、きび団子をやけ食いする桃太郎二号。

「そろそろ総社市、ここからは山だから、ちょっと腹ごしらえして行こう」


 駅に着いて楽しく昼食をとる一行だったが、桃太郎二号はきびだんごの食べ過ぎで、胃腸薬を飲んだだけだった(^_^;)。

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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