大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

くノ一その一今のうち・72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』

2023-08-25 12:10:30 | 小説3

くノ一その一今のうち

72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』そのいち 

 

 

 じっさいアデリア王女はレイバンのサングラスをしている。

 

 落ちこぼれJkのわたしにサングラスのブランドなんか分からないんだけど、『お、レイバン』『マッカーサーのといっしょだ』と、徳川社長と百地社長が闇語りで呟いたから分かった。

「王女殿下おん自らのお出迎えに感謝いたします。まず、撮影準備隊メンバーの紹介をいたします」

「うむ」

 桔梗さんのイントロディユースに合わせて、みんな一列に並び、わたしも最後尾に付く。桔梗さんが通訳しながら紹介していくようだ。

「徳川物産社長の徳川秀長です」

「ん、徳川なのに秀吉の秀の字が付くのか?」

「二代将軍秀忠の子孫ですので、代々秀の一字を戴いております」

「そうか、よろしくな」

「徳川グループ、百地産業社長の百地三太夫です」

「百地です」

「よろしくな」

「『バトル オブ ハイランド』の作者三村紘一先生です」

「よろしく」

「主演女優の鈴木まあやです」

「鈴木まあやです、お目にかかれて光栄です」

「……どことなく、先王后に似ている」

「あ、それは光栄です」

 パッと頬を染めるまあや。

「……よろしくな」

「まあやの後見職の風魔そのです」

「ほう、こんなに若いのに後見職か、よろしく」

「お目にかかれて光栄です」

 後見職にされてしまった(^_^;)

「主演の相手役をいたします、ミヒャエル・ミュンツァーです。ミッヒとお呼びください」

「よろしくな、ミッヒ」

「そして、わたくし、徳川物産の社長秘書兼通訳の桔梗と申します」

「うむ、よろしく頼むぞ」

 仏頂面のまま王女が締めくくると、空港の格納庫から年代物のボンネットバスが出てきて、我々ゲストはバスに、王女はトヨタに乗って高原の道に乗り出した。桔梗さんが「都のカワンバートルに向かいます」と教えてくれた。

 

 草原の国よりも緑が豊かだ、高原というからには標高が高いだろうに、どういうことだろう。

 

「先々代の国王が治山治水に熱心で、先代の国王は産業の振興に励まれました。日本流に言いますと美し国、そこを草原の国が狙っています」

「そうなんだ」

 バスの席が隣同士なので、桔梗さんは地声で話してくれる。

「それだけじゃありません、高原の国が手に入れば、その富と技術で中央アジアを手に入れられます。そうすれば、中国やロシアとも肩を並べられます。すでに、西部や北部では紛争が起こってPKOの部隊まで……日本は、もう引き揚げましたが。そして、木下が埋蔵金を資金にして乗り出し始めています。この国を木下が呑み込んでしまったら……」

「取り返しがつかなくなるのね」

「はい」

「でも、ちょっと大げさじゃない。社長が出てくるなんて初めてでしょ、それも二人も来て」

「それは……王宮に行けば分かるかと思います。王女さま次第ですが……」

 バスの前を行くトヨタに目を向ける桔梗さん。

 そう言えば、どうなんだろ……王女さま自ら来られた割には、貧相な出迎え。挨拶の間もサングラスを外さず、ちょっと違和感。

 王都カワンバートルが近くなるにつれ、整備途中の、おそらくはハイテク産業と思われる建物がチラホラ見えてきた。

「稼働中の企業もあったんですが、半分近くは閉じていますね」

「…………」

 

 JK忍者のわたしには、発展しかけか没落の始まりか分からない景色だ。

 

 バスは、工場よりビルが目立つ市街に入って行った。

 大通りに入ると、正面に金色の尖塔を従えた宮殿が見えてきた。

 

 あ!?

 

 あと2ブロックで王宮というところで、官公庁のようなビルの上1/3あまりが焼けただれているのが目に入った。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女
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RE・かの世界この世界:199『鬼ノ城・1』

2023-08-25 06:02:17 | 時かける少女

RE・

199『鬼ノ城・1』テル 


 

 
 総社市から40分ほど寂しい舗装道路を上って、山上の駐車場に着いた。


「わたしたちだけなんだろうか、雪舟ねずみ君?」

「……のようですね、シーズンも外れのウィークデーでもありますから」

 イザナギさんは鷹揚に頷くと、我々の先頭に立って木の間隠れに見える櫓門を目指して進んで行く。

「……ドワーフの砦に似ている」
 
「ドワーフの砦ならば、櫓の上に10人、土塁の向こうに50人、おそらくはアーチャー(弓兵)が潜んでいるでしょう」

「主力は棍棒の歩兵、こちらが怯んだところに……200余りが襲い掛かって来る」

「伏兵の可能性もあります、仕掛ける前には左右に斥候を出すべきでしょう」

「うむ、まずは、テルとケイトで斥候に出てくれ。伏兵が居ないようなら……一気呵成に攻めるべし。桃太郎二号、楼門の上に放り投げてやるから、10を数える間だけ暴れまわれ、その隙に主力である我らが東西いずれかの土塁を抜いて侵入する。門を開けるまでに長くて3分、門さえ開けてしまえば、櫓や物資に火をつけて混乱させて混戦に持ち込める。乱戦になれば、技量とスタミナに勝るヴァルキリーの勝利に疑いはない!」

「イエス、マム!」

 ヒルデがタングニョーストと盛り上がっている。

「あのう……これは城跡を復元したもので、リアルの鬼とかドアーフは(^_^;)」

「え、リアルには居ないのか!?」

「あ、そうか…………なるほど、雪舟ねずみ、おまえといっしょだ」

「え、わたしとですか!?」

「雪舟ねずみ、お前は、雪舟が涙で床に描いたアンリアルのねずみだろ。それが、こうやってタクシーを運転してわたしたちを送ってきたんだ。この鬼ノ城の構えにも同じものを感じる」

「あ、アハハハ(*´□`*)」

「だとしたら……まぁ、中に入りましょう」
 
 イザナギさんがなにか言いかけて、遠い目をするが、吹っ切るようにため息をついて前に進んだ。

 
 楼門は柱こそ太々としているが、二階部分は壁も無い素通しで、粗末な板葺きの屋根が載っているに過ぎない。

 左右に続く城壁も土を掻き上げた上に申し訳程度の板壁が立っているだけの土塁、全体から受ける印象は痛々しい恐れ。

 なにか恐ろしいものが攻めてくるという恐怖に駆られ、大勢の者が突貫工事で造った印象。


 鬼ノ城というよりは……鬼を恐れる城。

 何者かが鬼の来襲を怖れ、人々に呼びかけ、おそらくは一年もかけずに大急ぎで造った避難のための城塞。

 そう思い至るとイザナギさんと目が合ってしまう。


 イザナギさんは、瞬間労わるようなまなざしになり、角髪(みずら)の頭を掻くと、ゆっくり楼門を潜る。

「桃太郎二号が一番乗り!」

「ちびのクセに前出んな!」

 桃太郎二号とケイトが子どものように国生みの神を追い越して、我々も後に続いた。

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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