あるきメデス

あちこちを歩いて、見たこと、聞いたこと、知ったこと、感じたことなどを…

四国遍路道ふた旅(前編)・高知その3

2007-01-15 22:07:43 | 四国遍路道ふた旅
 第10日 2006年11月20日(日) 雨後晴
 <24番最御崎寺~26番金剛頂寺>
 =室戸岬から西岸へ=
 
 5時20分起床、6時朝食、7時ちょうどにロッジ室戸岬を出る。
昨夜半から雨で、出る時は降っていなかったが、まだ黒雲が残っ
ているので、雨具を着ける。

 間もなく室戸青年大師像。高さ21mの白い弘法大師像は、昭和
60年(1985)の建立とか。ここで予想通り雨となった。


 近くに番外霊場御蔵洞(みくろど)がある。大岩の下部にある弘法
大師が悟りを開いた洞窟で、虚空蔵求聞持法(こくぞうぐもんじほう)
の修行中に神秘体験をして、名を空海と改名したところだという。

 鎌倉市から車で来たご夫妻がおられた。奥さんが歩いて四国遍路
をしたいので、下見に回っているとのことだった。

 室戸岬が近づく。林間の簡易舗装の坂道と石段を700mほど上が
り、24番最御崎寺(ほつみさきじ)境内に入る。今日は朝から暖かく、
この上りで早くも大汗をかいた。

 常緑樹林に覆われた広い境内、正面に本堂、左手に大師堂が立つ。
右手前の鐘楼前に、NHKの「行く年来る年」で、この鐘の音が放送
された年が記されていた。

 境内のスダジイの根元で、高知県天然記念物である寄生植物、
ヤッコソウが白い花を開いていた。

参拝後、奥の遍路センター売店で、昨日飛ばされた菅笠のカバーを
購入、これで雨でもひと安心だ。

 北側の県道203号に入り、ヘヤピンカーブの車道を下る。天気が
回復し青空が広がる。前方に室戸の町並みと真っ青な海の展望が
よい。

 国道55号に下ったが、並行する県道をそのまま進む。

 室戸の町並みに入り、室戸岬郵便局に寄る。室戸岬港(津呂港)
のそばに、「土佐の国司、紀貫之が任満ちて京都に帰る途中、天候
悪く10日ほど滞在した」ことが記されていた。


 町並みを抜けて国道55号に合し、1㎞足らずで右の旧道へ、間も
なく室津の町並みに入る。室津漁港には、小型漁船が沢山係留され
ていた。

 再度国道と交差して25番津照寺(しんしょうじ)に着く。変わった形
の山門を入り、急石段を上がると、コンクリート造りの本堂がある。
本堂の前からは、室津の町並みと海が展望できる。


 室津の町並みを進み、室津川の先の小さい店で、昼食用にバッテ
ラ寿司を買う。250円だった。 国道55号に戻り、奈良師海岸沿い
に、マリンブルーというのか、それとも紺碧か、色鮮やかな太平洋を
左に見ながら進む。

 元川を渡って右折し、正面の山並みに向かう。向江の「参道」表示
の横から簡易舗装の遍路道を上る。簡易水道施設の先からは林間
の土道。途中のベンチ周辺から、室戸岬方面の展望がよい。

 気温が一層上がり、再び大汗をかき、標高165mの山上にある
26番金剛頂寺に着いた。

 本堂はコンクリート造りだが、屋根は鴟尾(しび)のある古いたたず
まい。緑多い境内は、小鳥の声のみで静か。

 大師堂前に「がん封じの椿」という、こぶだらけの木が、葉もつけず
に立っている。本堂前には、樹頼300年というマンサク科の木、「イス
の木」があった。

 境内を西に抜け、ツバキなどの広葉樹の林間を一気に下り、国道
沿いの「道の駅キララメッセ室戸」へ。東屋があったので、広々とした
海を眺めながら昼食にした。

 その先も、国道に並行する旧道を進む。国道との間には、赤い花
の残る植え込みが続いている。

 東の川橋を渡って吉良川(きらがわ)の町並みへ。国の重要伝統的
建造物群保存地区に選定された、土佐漆喰の外壁に水切瓦の付いた
独特の商家が多い。

 町並みを紹介した「町並み館」に入り、パンフレットをもらった。

 気温が上がり暑い。アイスクリームを買い、前回の昼食地、忠霊塔
のある公園で休む。西の川を渡って間もなく、家並みは終わり、国道
55号に戻った。海側は、潮害防備保安林が続いている。

 次の羽根の町並みに進むと、郵便局の近くにぶっかけうどんの店
があったので入る。閑散時だったのでなかなかうどんが出来ず、日没
が気になる。食べ終えたら16時、まだ宿まで8㎞ほどある。

 間もなく国道に分かれて右の旧道に入り、市営住宅の中を抜けて
中山峠への遍路道に上がる。

 ところが最初の分岐で間違え、右に進むと竹やぶが現れ、前回の
印象と違うように思われた。しかし上で回れると思い、そのまま進ん
で畑に出た。作業中の男性に聞くと、やはり間違えたという。

 少し先まで上がり、出来るだけ台地上を左に進むよう言われたの
で、そのまま1㎞近く進むと、遍路標識が見つかりホッとする。中山
峠は通過できぬまま、西の海の雲間に太陽が没した。

 急ぎ加領郷小近くの国道沿いに下ったが17時を過ぎた。宿に
電話しようかと思ったが、予約した際、おかみさんから「ゆっくりで
よいから」と言われたので、18時到着を目標に国道を急ぐ。

 薄暗くなり、海の向こうに明るい四つの光が見える。海岸沿いを
急ぐが、すっかり暗くなったのでペンライトを点ける。

 車の男性が、「乗らないか」と勧めてくれたが、「もう少しなので
歩きます」とお断りする。「では気をつけて」と、クッキーを2つ
お接待いただいた。

 奈半利(なはり)の町並みに入ったが、暗くなったので前回も泊
まった宿への右折路がよく分からない。2、3人に聞き、ようやく
18時27分に山本旅館に着いた。

 遅いのでおかみさんは心配していて、ご主人に「日を間違えた
のでは」と言われたとのこと。途中から連絡すれば良かったと
反省し、お詫びする。

 それにもかかわらず、おかみさんの気配りと謙虚さは前回同様
で、入浴中に洗濯もして下さる。部屋は2階の2間、夕食は1階
の部屋で。

 田舎料理といわれたが、アジのたたき、卵焼き、うなぎの蒲焼き、
肉じゃが、キムチやリンゴのデザートなど盛り沢山だった。

 部屋には洗濯物を吊すハンガーが多く、部屋、トイレ、広い風呂
など、みな清潔で気持ちよい。

 今日の出だしでは、右足首付近と左ももに痛みがあったが、何
とか歩けた。しかし腰痛は残る。かなり疲れ、到着も遅れたので、
今日の歩行メモは明日とし、21時50分に就床した。

(コースタイム〉ロッジ室戸岬7:00ー御蔵洞7:27~36ー24番最御崎
寺8:07~40ー室戸岬局9:25~38ー25番津照寺10:26~50ー国道沿
いの東屋11:21~25ー26番金剛頂寺12:03~25ー道の駅キララメッセ
(昼食)12:55~13:21ー吉良川町並み館14:05~07ー忠霊塔のある公
園14:17~22ードライブインオハラ前15:13ー羽根のぶっかけうどん
店15:33~16:00ー加領郷小下17:02ー山本旅館18:27

(距離 32㎞、地図(1/5万) 室戸岬、奈半利、歩行地 室戸市、
 奈半利町、歩数 58.000)
コメント
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