第16日 2006年11月26日(日) 雨
<37番岩本寺>
=大雨の中ひたすら進む=
今朝も5時20分起床、6時朝食。昨夜半、かなり激しい雨音
で目が覚め、この雨では今日は停滞かとも考えたが、朝になっ
たら小降りになっていた。
宿を出る時、雨は止んでいた。しかし1日雨の予報なので頭陀
袋(ずだぶくろ)はザックに入れ、完全装備で6時50分に民宿
あわを出る。
京都の男性と新潟の女性は、昨日の到着点、JR土讃線土佐
久礼駅まで、宿のご主人が車で送って下さるとのことで、先に
出た。
土讃線の線路沿いを、焼坂峠に向かう。線路の北側に回り、
まもなく遍路道。落ち葉が一杯に積もった自然石の敷石や、石
ころの道の上りが続き、早くも大汗。
湿気も多く、メガネの下部が曇る。林間から、安和の家並み
が見下ろせる。
結構傾斜があるので、滑らぬよう折り畳み杖を出したが、それ
でも注意が必要だ。
標高228mの焼坂峠に50分ほどで着いた。
切り通しの峠の先は、緩やかな傾斜で下る、林間の落ち葉道
の気持ちよい下りで、雨が降り出す。
少し急な下りを過ぎて林道に出た。サワガニが林道に上がって
いた。
JR土讃線の南に回って、並行して進み、国道56号に合する。
合流点に、不在の事務所らしい平屋があったので、入口の下で
雨を避けて休ませてもらう。雨はまだ小降りだが、雲は暗い。
国道56号は、やはり車が多く、雨の日は一層わずらわしい。
500mほどで南側の遍路道に入り、しばらくは土讃線線路と並行
する。
そえみみず遍路道への分岐点には、高速道工事で通行禁止
の張り紙があった。
直進し、前回も上がった大坂遍路道に向かうことにする。中
土佐町の狭い家並みに入ると、大きい杉玉の下がる西岡酒造
など古い建物が並んでいる。
水のない大坂谷川沿いは、葉の落ちた桜並木がつづく。
川沿いに、東屋の休憩所とトイレがあった。東屋の中に、自転
車遍路氏がテントを張り、食事の準備中。断って片隅のイスで
休憩させてもらう。
ガスが低く垂れ込め、周辺の山々が山水画のような彩りを
見せる。
間もなく雨は本降りになった。国内では珍しい、細めで幹の
黒い黒竹が何か所か群生する「黒竹の里」を過ぎ、奥大坂の
集落に入る。
予定した大坂遍路道は、「降雨の際は滝の流水で通行不能
の場合がある。」と、へんろ地図に記されている。小雨なら大丈
夫だろうと来たのだが、本降りになったのであきらめ、国道経由
に変更することにした。
国道上り口の表示のところから、少し戻り気味に車道を上がり、
国道56に出た。
国道には歩道が無く、高速で通過する車に次々に水をかけら
れる。中央寄りを走行するよう手で指示しながら七子峠に向か
う上り坂を進む。ガスで視界は数10mとなり、展望は得られ
ない。
歩道のないトンネルも3つ通過、国道に出て3㎞余り、11時
30分、ようやく七子峠に着いた。
すぐ先のドライブイン七子茶屋で昼食。先着のご夫婦遍路が、
岩本寺周辺に宿を予定していると聞き、私も泊まると、岩本寺
宿坊を勧めたら、早速予約された。
峠からの下りは、国道の南側山すそを回る遍路道へ。2.5㎞
くらいは車から解放されたが、土道にもあちこちに水たまりが
出来ていて、靴の中もいつの間にか水に浸かってしまった
再び国道56号へ。影野の六十余社神社前に、樹齢350年
のヤブツバキの古木があった。撮りたいと思うが、この雨では
デジカメを出す余裕がない。
その上、デジカメを入れたウェストポーチのファスナーが外れ
た。雨がしみ込まないようビニールを被せる。
次第に雨は激しくなり、後からの風も強まり、次々に通過する
車の水しぶきの洗礼が続く。日曜なので、トラックの通過が少
ないのがせめての慰めか。
それにしても、こんな激しい雨中の歩きは、何時以来だろう…。
もう十何年前か、激しい雷雨の中での、東京の山手線一周ウオ
ークのことを思い出す。でもあの日は、こんなに車の水しぶき
は浴びなかったように思う。
七子峠を下ってからは、歩道もあるが、幅狭いところは、車道
の水たまりの水しぶきをもろに浴びる。歩道も出来るだけ外側
を歩こうするが、外側に水が溜まっているところが多いので、
お手上げ。「止まない雨はない」と観念し、ひたすら前進する
しかない。
無人の仁井田駅で休憩し、その後はただ雨の中、先を急ぐ。
浮坂トンネルを抜け、国道56号に分かれて窪川の町並みに
入り、先が見えてきてひと安心した。
ただただ歩き続けたので、予想より早い15時13分、37番
岩本寺に着いた。宿坊玄関でビニール袋をもらい、ぬれた
ザックなどを入れてとりあえず預け、本堂と大師堂に参拝に
行く。
雨で濡れぬよう、線香やローソクを点けるのもひと苦労。
雷鳴もとどろく。境内のイチョウの葉は、この雨でほとんど
落ちている。納経後、宿坊の受付を済ませ、15時50分頃、
2階3号室に入った。
15畳の大部屋、ハンガー掛けに濡れた雨具などを吊し、
そばの洗面所の隅で乾かす。靴は古新聞紙をもらって詰め、
寝るまでに3回入れ替える。衣類はコインランドリーで洗濯
後、乾燥機で乾かし、体は入浴してさっぱりした。
夕食は18時から。宿泊者は、昨夜民宿あわで同宿だった
京都の男性と新潟の女性、ドライブインで紹介した水戸市の
ご夫妻、自転車で逆打ちの白髪の男性。車で回るご夫妻。
夕食後、遍路宿や接待所などの情報交換が出来、貴重な
ひとときとなった。
帰宅後調べたら、この日出発した須崎市の雨量は86㎜、
岩本寺のある四万十町窪川は146㎜(最大1時間39㎜)と
いう集中豪雨だった。
(コースタイム〉民宿あわ6:50ー焼坂峠7:41ー国道56号へ8:37
~45ー西岡酒造9:14ー大坂谷川沿い東屋9:33~42ー奥大坂
国道上り口10:15ー七子峠11:30ードライブイン七子茶屋(昼食)
11:33~12:07ー六十余社神社12:53ー仁井田駅13:55~14:08ー
岩本寺15:13~宿坊15:50
(距離 31㎞、地図(1/5万) 須崎、新田、窪川、歩行地 須崎
市、中土佐町、四万十町(旧窪川町)、歩数 48,900)
<37番岩本寺>
=大雨の中ひたすら進む=
今朝も5時20分起床、6時朝食。昨夜半、かなり激しい雨音
で目が覚め、この雨では今日は停滞かとも考えたが、朝になっ
たら小降りになっていた。
宿を出る時、雨は止んでいた。しかし1日雨の予報なので頭陀
袋(ずだぶくろ)はザックに入れ、完全装備で6時50分に民宿
あわを出る。
京都の男性と新潟の女性は、昨日の到着点、JR土讃線土佐
久礼駅まで、宿のご主人が車で送って下さるとのことで、先に
出た。
土讃線の線路沿いを、焼坂峠に向かう。線路の北側に回り、
まもなく遍路道。落ち葉が一杯に積もった自然石の敷石や、石
ころの道の上りが続き、早くも大汗。
湿気も多く、メガネの下部が曇る。林間から、安和の家並み
が見下ろせる。
結構傾斜があるので、滑らぬよう折り畳み杖を出したが、それ
でも注意が必要だ。
標高228mの焼坂峠に50分ほどで着いた。
切り通しの峠の先は、緩やかな傾斜で下る、林間の落ち葉道
の気持ちよい下りで、雨が降り出す。
少し急な下りを過ぎて林道に出た。サワガニが林道に上がって
いた。
JR土讃線の南に回って、並行して進み、国道56号に合する。
合流点に、不在の事務所らしい平屋があったので、入口の下で
雨を避けて休ませてもらう。雨はまだ小降りだが、雲は暗い。
国道56号は、やはり車が多く、雨の日は一層わずらわしい。
500mほどで南側の遍路道に入り、しばらくは土讃線線路と並行
する。
そえみみず遍路道への分岐点には、高速道工事で通行禁止
の張り紙があった。
直進し、前回も上がった大坂遍路道に向かうことにする。中
土佐町の狭い家並みに入ると、大きい杉玉の下がる西岡酒造
など古い建物が並んでいる。
水のない大坂谷川沿いは、葉の落ちた桜並木がつづく。
川沿いに、東屋の休憩所とトイレがあった。東屋の中に、自転
車遍路氏がテントを張り、食事の準備中。断って片隅のイスで
休憩させてもらう。
ガスが低く垂れ込め、周辺の山々が山水画のような彩りを
見せる。
間もなく雨は本降りになった。国内では珍しい、細めで幹の
黒い黒竹が何か所か群生する「黒竹の里」を過ぎ、奥大坂の
集落に入る。
予定した大坂遍路道は、「降雨の際は滝の流水で通行不能
の場合がある。」と、へんろ地図に記されている。小雨なら大丈
夫だろうと来たのだが、本降りになったのであきらめ、国道経由
に変更することにした。
国道上り口の表示のところから、少し戻り気味に車道を上がり、
国道56に出た。
国道には歩道が無く、高速で通過する車に次々に水をかけら
れる。中央寄りを走行するよう手で指示しながら七子峠に向か
う上り坂を進む。ガスで視界は数10mとなり、展望は得られ
ない。
歩道のないトンネルも3つ通過、国道に出て3㎞余り、11時
30分、ようやく七子峠に着いた。
すぐ先のドライブイン七子茶屋で昼食。先着のご夫婦遍路が、
岩本寺周辺に宿を予定していると聞き、私も泊まると、岩本寺
宿坊を勧めたら、早速予約された。
峠からの下りは、国道の南側山すそを回る遍路道へ。2.5㎞
くらいは車から解放されたが、土道にもあちこちに水たまりが
出来ていて、靴の中もいつの間にか水に浸かってしまった
再び国道56号へ。影野の六十余社神社前に、樹齢350年
のヤブツバキの古木があった。撮りたいと思うが、この雨では
デジカメを出す余裕がない。
その上、デジカメを入れたウェストポーチのファスナーが外れ
た。雨がしみ込まないようビニールを被せる。
次第に雨は激しくなり、後からの風も強まり、次々に通過する
車の水しぶきの洗礼が続く。日曜なので、トラックの通過が少
ないのがせめての慰めか。
それにしても、こんな激しい雨中の歩きは、何時以来だろう…。
もう十何年前か、激しい雷雨の中での、東京の山手線一周ウオ
ークのことを思い出す。でもあの日は、こんなに車の水しぶき
は浴びなかったように思う。
七子峠を下ってからは、歩道もあるが、幅狭いところは、車道
の水たまりの水しぶきをもろに浴びる。歩道も出来るだけ外側
を歩こうするが、外側に水が溜まっているところが多いので、
お手上げ。「止まない雨はない」と観念し、ひたすら前進する
しかない。
無人の仁井田駅で休憩し、その後はただ雨の中、先を急ぐ。
浮坂トンネルを抜け、国道56号に分かれて窪川の町並みに
入り、先が見えてきてひと安心した。
ただただ歩き続けたので、予想より早い15時13分、37番
岩本寺に着いた。宿坊玄関でビニール袋をもらい、ぬれた
ザックなどを入れてとりあえず預け、本堂と大師堂に参拝に
行く。
雨で濡れぬよう、線香やローソクを点けるのもひと苦労。
雷鳴もとどろく。境内のイチョウの葉は、この雨でほとんど
落ちている。納経後、宿坊の受付を済ませ、15時50分頃、
2階3号室に入った。
15畳の大部屋、ハンガー掛けに濡れた雨具などを吊し、
そばの洗面所の隅で乾かす。靴は古新聞紙をもらって詰め、
寝るまでに3回入れ替える。衣類はコインランドリーで洗濯
後、乾燥機で乾かし、体は入浴してさっぱりした。
夕食は18時から。宿泊者は、昨夜民宿あわで同宿だった
京都の男性と新潟の女性、ドライブインで紹介した水戸市の
ご夫妻、自転車で逆打ちの白髪の男性。車で回るご夫妻。
夕食後、遍路宿や接待所などの情報交換が出来、貴重な
ひとときとなった。
帰宅後調べたら、この日出発した須崎市の雨量は86㎜、
岩本寺のある四万十町窪川は146㎜(最大1時間39㎜)と
いう集中豪雨だった。
(コースタイム〉民宿あわ6:50ー焼坂峠7:41ー国道56号へ8:37
~45ー西岡酒造9:14ー大坂谷川沿い東屋9:33~42ー奥大坂
国道上り口10:15ー七子峠11:30ードライブイン七子茶屋(昼食)
11:33~12:07ー六十余社神社12:53ー仁井田駅13:55~14:08ー
岩本寺15:13~宿坊15:50
(距離 31㎞、地図(1/5万) 須崎、新田、窪川、歩行地 須崎
市、中土佐町、四万十町(旧窪川町)、歩数 48,900)