あのコルトを狙え

TOKYO2020 子供たちに負債を(笑)

祖母のような人

2010-02-23 23:30:36 | Weblog
2月23日

私には「祖母みたいな人」がいる。
勝手にそう思っているだけですが。

私が幼稚園児の頃から社会人になっても
お世話になった耳鼻咽喉科の先生だ。

10数年年程前に高齢の為に医院を閉めて
マンションに暮らしていた。

現在94歳で介護付き老人ホームに暮らしている。
お子さんはいない。

マンションに住むようになってから
一年に一度か半年に一度訪れてお見舞いのような事をしている。

少し前までは話しも出来たが
それも今は出来ない。
耳もあまり聞こえていないようだ。

看護婦をしていた方が職員とは別に毎日世話にやって来てくれている。

一度、その方がいない時に突然尋ねていったら
何を話していいか分からずに困った事があった。

そんな事があってから
ちょっと足が遠のいてしまった

ある時に職場で病院や老人ホームを経営されている顔なじみのお医者さんに
どうしたらよいか尋ねてみた

 自分の話しをしているだけでいいんだよ
 相手も尊敬の念を持って接すれば想いも通じるよ

それを聞いて
そうなのか、と想い訪れたが付き添いの方がいてくれたので
前回のような事はなかった

そして今日
付き添いの方に前日から行く事を伝えてあったが
まだいらしてはいなかった

介護スタッフの方がさっき昼食が済んで寝ている、と教えてくれた
起こすのは悪いので帰ろうかと思ったが
せっかくだから逢ってあげて下さいと
先生に声を掛けて起こしてくれた

いつもは付き添いの方が車椅子に移してくれた状態で接していたので
ベッドに寝ている状態を見るのは初めてだった

先生の目が開いてこちらを見る

だいぶ
弱ってしまっているな

私の事
分かるかな・・・
もう・・・分からないかな

目付きが変わった
手を伸ばしてきた

ああ、分かってくれているんだね

手を握ってくる
思ったより強い手だ

 先生こんにちは

何かを訴えるように口が動く

 そうだよタカちゃんだよ

小さい頃から私をそう呼んでいてくれたよね

何度も何度も同じように口が動き
手をしっかりと握っている
嬉しそうな顔だ

そんな時の接し方をアドバイスしてくれた方の言葉を思い出し

 ご無沙汰しています
 今日は会社が休みなんですよ
 先生には・・そうだね小さい頃からお世話になっているよね
 扁桃腺がすぐに腫れたり中耳炎で夜中に診てもらったり・・・

先生は私の目をまっすぐに見ている
もしかすると
耳には届いていないのかもしれない

でもこれでいいのだ

いろいろな事を話していると涙が溢れてきて
鼻水が出て止らなくなってきた

風邪をひいているわけでもなく
悲しい場面じゃないのに

鼻をかみたいが先生が右手をしっかりと握っているので
手を使えない

言葉に詰まるが笑いながら話し掛ける
先週、白浜に行ったこと
兄弟の子供のこと

時おり先生は左手で何度も自身の目をぬぐう
涙は出ていないが
先生も泣いているのかもしれない

私は先生の事を祖母のように想っているが
先生も孫のように想っていてくれているのかもしれない

そうだ
お医者さんを辞めてから暫くして私の留守中、自宅に
  
 タカちゃんいますか、タカちゃんいますか

と電話して来た事があったね
母が言っていたよ

字が書けなくなってしまった時の年賀状も必死に
私に会いたい旨を書いてきてくれたよね

もう聴こえていなくてもいい
こっちから最近あった事とか話しをすればいい
普通に

30分位はそんな状態で話しをしていた時に
付き添いの元看護婦さんがやって来た

それから車椅子に座り
看護婦さんを交えて話すのだが
先生の様子が変わった事に気付いた

さっきみたいに嬉しそうに私の顔を見なくなっているのだ

看護婦さんは気を使って私に話しかけてくれるので
自然、そちらとの話しとなってしまうのが嫌なのか

昔の部下の看護婦さんがいる前では
強がってしまうのか

思い起こせば前もそうだったよね
その時は気にならなかったけど

本当は私と二人で話しをしたかったのかな

そうだったんだよね



 


コメント (2)
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