あのコルトを狙え

TOKYO2020 子供たちに負債を(笑)

その時、あの頃の父を見た

2013-02-22 00:48:58 | 三菱コルト1100

マフラー修理のためにコルトを新宿の中野自動車へ持って行く事になった時のこと。

泊まり勤務の前に預けようと実家に行き早めに出るも久しぶりにエンジンが掛からなくなる。


スターターは回る。
キャブの窓の油面は正常。
引っ越しとマフラー欠落の為乗っていなかったが最近はプラグもポイント隙間も点検、隙間を見ていない。
プラグはカーボンが着いているがそれ程でもない。
ポイント面を覗くと白くなり凹凸が僅かに出ているので紙ヤスリで軽く磨いて再始動。
普段ならこれで掛かるハズ…

たまに初爆が起こるも続かない。

実にマズい・・・

そうこうしていると掛からないエンジン音で父登場。

プラグを一本抜きセルを廻して火花を確認。
「ちょっと火花が弱いな」

エアクリーナーを外しガソリンが本当に来ているかの確認。

「やっぱりポイントだな、ちょっと外してみよう。どうやるのか忘れちゃったな。ポイント外してくれ。
何?やった事がない?
それを先に言え」
と言いながらポイントを外すと…

覗いただけでは判らないポイント面は凸凹が大きく出来ていた。
「これじゃ掛からない」
耐水ペーパーではなくヤスリで削りながら
「こんなの久しぶりだな」
と笑う。

パソコンの接続は友達に世話になり
コルトは父に…

申し訳ない気持ちになる。

「お前仕事は?これからか、じゃあやっておくから行ってきな。ポイント面はフラットよりも丸くした方がいいんだ、その内にヘコんでくるから〜」

近年は肺が悪くなりハァハァ言いながらコルトに向き合う

こんな姿は幼稚園児か小学生の頃に当たり前のようによく見ていた。
あの頃、コルト1100は我が家の第一線にいて父はよくボンネットを開けて修理をしていた。

何でも直してしまう父は誰よりも頼もしくカッコ良かった。

幼い私はその姿を見てアラレせんべいをお皿に入れてお茶と一緒に持っていくのだった。

今にして思えば点火時期調整をしていたのかキャブ調整だったのか。
それは当たり前の姿だった。
そんな姿を見なくなってしまったのはいつ頃からだろう。

今はお医者さんや家族から一日中座っていないで歩けと言われても従わず部屋で何もせずにいる。
父の車はコルトはコルトでも
手入れの要らないコルトプラスに変わっていった。

歳を取り老いていくのがよく分かる
昔の父とは性格も変わってしまった。

もうあの頃の元気な父には会えない…

そう思っていた。
しかし愚かな息子の手に負えないコルトを修理する父は楽しそうに見えた。

あぁ、あの頃のお父さんだ…


駅へ向かうバスに乗り込み後ろの席に座る。
今も修理しているだろう父の姿を思うと涙が出た。

懐かしく、ありがたく、自分自分がただ情けなく…


その後、父からエンジン修理が完了し無事に始動したとメールが届いた。

泊まり勤務が終わり実家にケーキを買って立ち寄る。

「昨日は久しぶりに燃えたな(笑)
あんな事やったの何年ぶりだろう」

楽しそうな笑顔も久しく見ていなかった。

 


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8 コメント

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親孝行 (ZUBEBINO)
2013-02-22 21:17:48
良い話ですね。

前にもお話したかと思いますが、大磯オフの前に片瀬山の伯父の家に顔を出し、彼の'63年型VOLVOの窓を一緒に治した時は伯父はしばらくご機嫌だった、と母から聞きました。

ポイント修正、点火時期調整、キャブ調整 etc.
彩雲さんのお父様や私の伯父にとっては自分で定期的に調整するのが当たり前だったんですよね。
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Unknown (debopacer)
2013-02-23 10:38:14
部屋の片付けをしている最中ですが、ノスヒロ74号が出てきました。
彩雲さんも私から見れば十分にメカに強いですが、やはりお父様は何年経っても偉大ですね!
掲載文の最後にお父様が仰っている事を早く裏切ってあげないと!!!
返信する
Unknown (マイアミ)
2013-02-23 15:21:12
新しい生活にも慣れてきたご様子、何よりです。
あとはコルトが無事復活してくれたら…
お父様、素敵です!私の父(若き日)も夫も、自分で色々修理などしますが、そんな様子が私も好きです。
7495最近イエローハットのCMで、
黒いデボネアがチラチラと出てます…それで彩雲さんのこと思い出しました♪
返信する
父親 (stelvio)
2013-02-25 08:06:15
いいお話です。(じ~んと来ました)
幾つになっても親は親ですもんね。
若いころは衝突も多かったのですが、結局、
血のつながりっていうかDNAは争えない(笑)っていうのも
だんだん解ってきます。それでいてやっぱり乗り越えられない壁
っていうか‥大きな存在です。

ちょっと実家に顔出しに行こうかナ‥
返信する
Unknown (彩雲4号)
2013-02-26 00:20:53
ZUBEBIBOさん
>>大磯オフの前に~
思えばこれもかなり昔の出来事になってしまう気がします。
ガムテープで直そうとしていたのをZUBEBIBOさんが一緒に修理されたお話はよく覚えております。
とても嬉しかったのでしょうね。
そのお話を聞いていいお話だな~と思っておりました。
そのボルボに一度会っておきたかったです。

debopacerさん
74号ですか(笑)
あの頃の年齢を見ると私も若かったのだな、と苦笑いです。
>>掲載文の最後
NAVIでも同じような事が載っていましたね(苦笑)
早くA30デボネアさんと走りたいです♪

マイアミさん
新しい生活を楽しんでおります。後はある電化製品を買えば完了なのですが(汗

>>無事復活してくれたら…
誤解を招く書き方となっていますがこの後にマフラーが付いたので復活しております。
イエローハットのCMにデボネアですか。これは知りませんでした。

stelvioさん
私はいまだに車で親にお世話になっている情けない奴なんです(汗)
壁ですか。
その壁があるとすれば私には難しいです。

>>ちょっと実家に顔出しに行こうかナ‥
行きましょう行きましょう!
行かれる前にレンタルDVDで「異人たちとの夏」をご覧になってから行かれるとなおよろしいかと思います。?


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・・・ (ohtaki)
2013-02-27 23:18:25
ジーンときましたよ。
返信する
いい話でした。 (館 淳一)
2013-03-01 06:11:23
お父上は私より少し上かしら(私は1943年製)。
私がコルト1100を買った頃(昭和40年代)は教習所でも、まだまだしっかり「構造」を教えてくれてましたからね。ボンネットをあげるというのは、ごくごく当たり前のことでした。点火プラグを外す、ディストリビューターをばらす。そんなに難儀じゃなかった。第一、エンジンルームはスカスカだから、どこにでも手が届いた。どこを点検するのも難しくなかった。
私はちょっとした企業に勤めていて、そこには整備士もいたしメカに詳しい青年がいっぱいいたから、トラブルとすぐに援助を受けられたけれど、そのうち自分で何とか出来る部分は何とかするようになりました。若い頃のお父上のように、バラしては点検が日常茶飯でした。人と機械の関係が、コルト1100では密接でしたね。その後、クルマはどんどんブラックボックス化してしまい、プラグに触るのも難しくなり、教習所でも「よけいなところに触るな、業者に頼め」という方向になっちゃったらしい(家人の教科書はものすごく簡単だった)。でも今でもスカスカのコルト1100のエンジンルームが懐かしいです。とはいうものの、最後のホンダは12年も前に手放して、今は自分でハンドル握ることもありません。免許はたぶん今年で失効させることになるでしょう。
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Unknown (彩雲4号)
2013-03-03 23:35:08
ohtakiさん
ありがとうございます。単に情けない野郎なお話しなんですけどね(笑)

館 淳一さん
ご無沙汰しております。
コルト1100で検索して館さんのサイトを発見し書き込んでからもう何年でしょう。
父はかなり上です(汗

>>ディストリビューターをばらす。
これが私には難問なのです。整備本を読んでもとてもポイントを外して調整してなんて怖くてできません。
もちろん運行前点検は欠かしませんが。

>>免許はたぶん今年で失効させることになるでしょう。
その前にどこかでコルト1100に「再会」してみませんか?
(本気)
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