六月の風
6月の風は
どこかに
新緑の軽やかさと
キラキラ輝く少年の日の
懐かしい思い出を運んでくる
美しい人の
髪の間からかすかにこぼれてくる
移り香が
少年の心を弾ませ
少年はうっすらと汗をかいて
思春期の憧れを
6月の風に載せる
一方で
6月の風は
雨の匂いを含んで
幾分重い風となって
徐々に体臭の濃くなっていく
思春期の少年の髪の間を
さらりと通り抜けていく
風よ
悪戯な風よ
田植えの済んだあぜ道を歩いていく
髪飾りの似合う少女の
スカートにまつわりついて
青空に還っていく風よ
還る前に
少年が託した6月の風の想いを
郵便かばんから取り出して
空いっぱいにひろげて欲しい
春の名残りのさわやかで
少しだけ憂鬱な
6月の風
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