続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『9つの雄の鋳型』②

2020-02-04 06:57:53 | 美術ノート

 鋳型ー鋳物を鋳造するのに用いる型、決まった一つの型。
 9つのタイプを紹介している。人を想起させるものもあるが、単に外装であって、雄という決定的な要素はない。
 これらは鋳型から鋳造されたものにさえ見えるが、内部には《雄》である事由が隠されてるのだろうか。

 笑止、雄を決定づける要素は外観には表れにくい。むしろ隠蔽されているのではないか。
 鋳型は同一な形態をあまた製造する器具である。
 大量生産、世界の動物の半分は雄であり、雌である。しかし、動物は無機物質ではなく有機生命体であれば、鋳型には収まらない。

 この不協和音ともいうべき混沌の提示。鑑賞者は作家の意図に寄り添う努力をするが、しごく冷たく跳ね返されてしまう。
 作品との距離に焦燥感さえ覚えるが、『雄とは何であったか』と、逆に問われているのではないか。

 これら9つの図版は並べて倒立が困難であるにもかかわらず、あたかも立っているように提示されている。存在そのものが絵空事であり真意は隠されている。
《雄》は確かに明確な相違であるが、外観から決定づけられるものではなく、本来秘められるべきものであると。


 写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com


『忘れえぬ人々』81.

2020-02-04 06:35:22 | 国木田独歩

山の根がたの彼処此処に背の低い松が小杜を作ってばかりで、見たところ畑もなく家らしいものも見えない。


☆懺(罪の赦しを乞う)魂の悲しみを書く。
 詞(言葉)の諸(もろもろ)を積(つみ重ねた)態(ありさま)の章(文章)を消す図りごとは査(正しいかどうかを明らかにする)と、現れる。
 将(あるいは)化(教え導くこと)が現れる。


『城』3350。

2020-02-04 06:25:31 | カフカ覚書

あわれな虫けらにすぎない夜の蛾だって、夜があけたら、どこか目だたない片隅をさがしだして、はいつくばり、できることならどこかに消えてしまいたいとおもいながらも、それができなくて悲しんでいるのではありませんか。

☆哀れな生き物である夜の蛾も陽がのぼるころには、片隅でじっとしている。全く好んで消えてしまうものかも知れない。しかし、不運にもそれすらできないでいる。