続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『Ⅱ-1-1』

2021-06-11 06:34:52 | 美術ノート

   Ⅱ-1-1 自分自身が目前の空間を測るための模型

 目前の空間、ふつうは視野、見える範囲を言う。が、ここでは感じ得る光景として遮蔽物の有無を想定し私的な所有として観察している。
 美醜や質的分類をはぎ取り高低の差異も極端にコンパクトに配置している。自分自身を等身大と考えると目前の景色は意識の中で縮小・整理されている。
 要するに見えている現実的な風景ではなく、風を通して感じ得る触覚、データとしての想起しうる空間設定である。非現実的であるが私的に所有しうる計測はあくまでも雰囲気と呼ぶ曖昧さを否定できない。しかし、どこまでもその曖昧さに迫る自分自身の中に蓄積・集積されたデータに基ずく回答である。ゆえに、地下の水脈のような突起にも納得がいくのである。

 目の前の景色は緑に属するものとして、酸素を必要とする、酸素を含む有機物(生物)の大気(空気中)との関わりであり、出没・変化を切り取ったものだと思う。
 見えない大気の観察であり、揺らぎ・振動のグラフでもある。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館


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