続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『与えられたとせよ:(1)落ちる水(2)照明用ガス』②

2020-06-03 07:15:05 | 美術ノート

 太陽系惑星である地球の生命を問う。
 入口か出口なのかは分からないドアがある。開けたら二度と戻れない(開けられない)ドアである。
 しかし、人は振り向く。自分は何なのか、どういう経由で自分が存在するのかと。ドアを開ける把手(ドアノブ)の欠如、ドアの中(過去)には決して侵入はできない。人は過去にタイムスリップすることを夢見る、強引な叶わぬ夢想である。

 時空の壁は存在するが見えず、正体を明らかにしない。
 ここに、仮想の壁(ドア)を設定したデュシャン。条件は人が人たる所以である叡智の原初、遮蔽、防衛本能の具現化である。
 大切なものを護る。
 秘密の履歴書、神秘である。こじ開けてでも見たい秘密は断じてその扉をあけない。探求の欲望はドアの板戸に開けた小さな二つの孔に象徴される。指で擦り付けたような積年の手垢、汚れ・・・人が立って覗く目の高さは成人のものである。成熟した大人の止むにやまれぬ好奇の眼差し、そこに見えた景色は見たものしか知り得ない。
 普遍的事実に共有はなく、あくまで個人のみに降りる種の起源である。


 写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより

 


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