続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『アルンハイムの地所』④

2018-09-28 06:48:33 | 美術ノート

 アルンハイムの地所・・・特定された場所(時空)を指している。
 鷲という猛禽類が高く聳え立ってる、実際よりはるかに巨大である。たとえば、実物より大きく見せる支配者、独裁者に至る権力の猛威・・・。
 見る者は、鷲が両手を広げ今にも飛び立つような脅威をイメージする。それが動かない山であると知っていても、洗脳されてしまう傾向にはしる。

 妄想・・・現実を飛躍させて信じてしまう。
 二十六日の月の南中、真昼に星は見えないはずの星も、疑念を残さない。
 巣籠の卵が場所を違えたレンガの柵の上にあることも受け入れてしまう、あたかも鷲の形をした鷲が産み落としたかのように関連付けてしまう脳の作用。

 月/星、鷲の形状の山、人工物の上の巣籠の卵・・・この三つの不自然さを抵抗なく受け入れてしまう精神の柔軟さ(錯視)は、イメージの持つ特質であり、異世界への開口である。
 不条理の集積が条理と認識される異空間の幕開けである。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


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