続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『一夜の博物館』

2016-11-27 07:01:15 | 美術ノート

 『一夜の博物館』

 4分割された戸棚に4つの展示物がある。
 片手首…もしあなたの片手または片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい(マタイによる福音書・第18章より)
 腐った果実…善悪を知るという知恵の実。
 不定形な何か特定不能なもの。
 不定形な切込みを入れた平板なものがその空間を被っている。切込みは中央より少し右上の菱形(方形)を中心に折り畳んで切り込まれており放射状の拡がりを内包している。つまりは無限を暗示していると思う。

 これを『一夜の博物館』と名付けている。要するに《幻》のという意味だろうか。
 one-night、《ある無知な》という見方はどうだろう。

 罪の手、知恵の崩壊、意味不明の暗黒、闇を被う無限の暗示は物の様に切り取られている。
《これらは人類の残した無知ゆえに時代を支配した過去の遺物である》
 ずっと先の未来では、こんな風に『一夜の博物館』として現代を4分割した一つの箱に展示し括る日が来るのではないか。マグリットの夢想である。


(写真は新国立美術館『マグリット』展・図録より)


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