続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『水仙月の四日』46。

2021-11-12 06:50:41 | 宮沢賢治

「さうして睡つておいで。布団をたくさんかけてあげるから。さうすれば凍えないんだよ。あしたの朝までカリメラの夢を見ておいで。」
 雪わらすは同じとこを何べんもかけて、雪をたくさんこどもの上にかぶせました。まもなく赤い毛布も見えなくなり、あたりとの高さも同じになつてしまひました。
「あのこどもは、ぼくのやつたやどりぎをもつてゐた。」雪童子はつぶやいて、ちよつと泣くやうにしました。

 赤い毛布…釈(薄い)《亡・訃》は見えなくなり・・・。
「あのこどもは、ぼくのやったやどりぎ《一時的に身を置く鬼(死者)》を持っていた。雪童子(死の導師)は、少し泣くようにしました。
 雪童子(死の導師)には迷いがある。雪婆んご(死神)に翻弄されながらも救済を願っている。

 物語の下には交錯する思いが二重になっており、正負のせめぎあいが静かに揺れている。


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