続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

D『ローズ・セラヴィよ、なぜ何故くしゃみをしない?』6。

2021-07-08 06:38:54 | カフカ覚書

 11.4×22×16㎝、鳥かごというにはあまりに小さい。手のひらサイズのカゴ、これは虫かごに相当する。しかし、あえて鳥かごいう真意は見る者のの観念/常識を揺さぶるものである。
 常識は通用しない、まず先入観を捨てよ!というメッセージは大前提である。

 角砂糖型の大理石の無造作な、しかし人工的な細工をほどこした物の集合、突き刺さるイカの甲、こちらは自然、あるがままである。イカの甲に比しての角砂糖型の大理石は貧相なほどに小粒であるが数の力がある。温度計は人為の叡智であるが、用途をもたない場に置かれている。

 つまりは総て無用の長物の集合にすぎないこの物への偏見、嘲笑は人の感想を待つまでもなく歴然としている。
 世界は需要と供給で成り立っている。不要なものの居場所はなく、除外・廃棄は決定的である。
「これを差し上げよう」
「・・・要らない」
 答えは最初から明白であったのだ、その通り!《これがわたくしデュシャンであります》排除の態、「ローズ・セラヴィはわたし」、「何故くしゃみをしない?」は、なぜ、本当のわたしでありえないのかという自問であり、周囲への自己説明であったのかもしれない。


 写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより


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