続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮『Ⅱ-5-1』

2021-06-15 06:28:15 | 美術ノート

   Ⅱ-5-1 緑の森の一角獣座模型

 一角獣座、オリオン座の葉時にあるらしいが、確認するのが難しい星座である。この一角獣(ユニコーン)は幸福をもたらし、病気をも治してしまうと信じられているが、心が清らかで優しい乙女にしか見えないという伝説の基に名付けられた星座である。要するに緑の森の中にある幸福な領域(エリア)の模型ということである。

 周囲を塀で囲み、他からは見えず侵入ができない空間である。隔絶され護られたエリアの出入り口は狭く、自由に入れるが本当に入ることは困難だという造りになっている。
 上るためであり下りるためでもある階段の脇には、滑り落ちていく水の流れがある。
 緑の森の一角獣座、これは楽園なのだろうか。それともその資格を問う検問なのだろうか。平和と自由への憧憬、願望は閉じているのだろうか、わずかな隙間は厳しいように見える。

 一角獣座、天空にあると信じられている景色が、地上、もしくは地下深く遮蔽された秘密の空間に存在しているという伝説の模型を作ろうとしているのかもしれない。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より

 神奈川県立近代美術館


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