続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

D『チョコレート粉砕機』(No.2)2。

2021-07-29 06:25:02 | 美術ノート

 なぜ、チョコレート粉砕機だったのだろう。たかが小粒のカカオ豆をつぶすのに設えられた機械、ローラーは豆に比して相当大きい。豆からするととんでもない大きな圧力である。
 並べて同じ姿形のカカオ豆の集積を圧して粉状に粉砕していく景色であり、その後はすでに豆ですらなくなる。豆(個)は豆である主張を消されてしまい、他のものへと質を変えていく。

 この強力な圧力には感動すら覚えるが、デュシャンは皮肉にもこの光景を無に解放している。ローラーは動かず圧する角度をも外し、機械全体は華奢で崩壊は目に見えている。支える台の足が猫足であるのも失笑をかう。

 この機器を社会と捉えなおすことも可能である。それらしい様相は呈している、しかし、危うい。
 危機を孕んでいるのが見えないか! そう問いかけて、いえ、つぶやく声が聞こえるのである。


 写真は『DUCHAMP』 www.taschen.comより


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