レインリリーが元気に咲きました
画・江嵜 健一郎
梅雨の晴間例の更地に出かけ今年で三回目の開花のタイミングに会い絵心を刺激されてスケッチした。
レインリリーは雨が降り球根が潤うと花茎が伸びて一斉に開花する。レインリリー(雨ユリ)と名付けられた。学名はゼフィランセス。ギリシャ神話、西の風(Zephyros)と花(anthos)が由来。周期的に色鮮やかに花を開く。原産地はアメリカ。日本には江戸時代に伝わった。
一本の花茎に対して花はひとつだけ。花は白、ピンク、黄、オレンジなどある。花期は6~10月。1つの花は2~3日しか咲かない。花言葉は「汚れなき愛」、「潔白な愛」、「期待」とヤフーのブログに出ていた。
スケッチのあと下草取りをしていると通りががかりのさるご婦人が「花がまた会はせてくれましたね」と声をかけて来た。当方はお顔も覚えていない。
当方が以前「花が呼んでくれます」と言った言葉を覚えていて先の言葉になったようだ。「先日は小さな朝顔がさいていました。皆さんここを通りながら花を楽しんでおられますよ」としばし花談義が続いた。
雨が降るとレインリリーは開花する。熱海駅近くの集中豪雨で痛ましい事故が伝えられる。当欄でも複数回触れたが83年前の1938年7月3~5日、神戸、阪神地区は集中豪雨に見舞われた。
梅雨前線が7月3日に瀬戸内海を通過。4日、夕刻に雨は一時細まったが、5日の午前1時からふりはじめその日の午後1時まで降り続き六甲山に600ミリ/時、阪神地区は400ミリ/時と記録にある。
自宅マンションからみえる現在の六甲山からは想像できないが、83年前ははげ山だった。鉄砲水となって芦屋川、住吉川、石屋川が決壊、市街地を土石流が襲った。阪神大水害の様子は谷崎潤一郎「細雪」にも詳しい。
私ごとで恐縮であるが、筆者はたまたまその年の6月29日に生まれた。難産の上に大水害、産後の肥立ち悪く、母には苦労を掛けたと聞いている。レインリリーを描くたびに昔のことがよみがえる。(了)