先日阿蘇の波野に出かけたおりに、外輪山を南にまわり山都町を通って帰った。
九州のほぼ中央部・分水嶺に位置する地域である。
山都町は、矢部・蘇陽・清和の3町村が合併して誕生した町で役場は矢部町にある。
その矢部町にある「通潤橋」を見るため、迂回して帰ることに。
(秋の通潤橋)
周辺は棚田になっていて、彼岸花も土手を彩っていた。
もう暫くすると稲刈りが行われ、掛け干しという手法で乾燥させる。
(布田保之助像)
通潤橋は、江戸時代にこの地域の惣庄屋の地位にあった布田保之助の指揮で建設された。
この地域の灌漑施設、石橋などを多数手がけているが、代表的なものがこの通潤橋である。
私も小学生のときに、郷土の偉人として教えられた。
川を挟んだ対岸の白糸台地に、石造りの水道橋をかけて田畑を潤す水を導入した。
少し橋に近づくと、ちょっと広めの水面にアーチ式の石橋が映り込み、眼鏡のように見える場所があった。
こうしたアーチ式の石橋は、この地域ではとても多くて、いくつも重要文化財に指定されている。
九州の石橋の多くが熊本県に有り、その80%くらいがこの地域を主とする緑川水系の川に掛かっている。
この石橋を作る技術は、全国各地の石橋作りに生かされている。
写真の左から右に向かって水は流されているが、石造りの導水管の中に砂礫等が沈殿しないよう定期的に放水が行われる。
中央部の水抜き穴から、放水される様は雄大で見ものである。
4月から11月の間に行われ、最近は観光用に時間を設定している。
一日一度午後1時が通常のようだが、午前11時と午後1時の2度行われることもある。
ということを、今回初めて知った。
また近いうちに、放水時間を見計らって訪れたいと思っている。
(古民家)
近くには3棟が連結したような、珍しい古民家も展示されている。
沢山の子供達が学習で訪れていたが、次々と挨拶されて応答が大変だった。
この町では、水も良いし、米も良いので「通潤」という旨い酒が造られている。
阿蘇の「霊山」もそうだが、山奥で造られる酒は旨い。
以前この醸造元で試飲をしたことがあるが、3杯目でやっと味が分ったと言って笑わせたことがある。
ただ、最近は一升瓶では買わないようにしている。
旨い酒は、飲み過ぎる。
「やめとこう舫いの切れた舟になる」・・・・しろ猫