人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

ユダは語る2”為すべきことを直ちに為すがよい”

2015-04-24 09:29:49 | 詩的文章
私はユダ、”生まれ出なかった方がよかった”と言われたもの

あの悪魔に憑りつかれた男の永遠に語り続けられる”裏切り”には裏側があった…

私はユダヤの星の下に生まれた

物心ついた時から民族の宿命を背負わされていた

来る日も来る日も、その日の来るのを待ち続けた

約束のメシアの到来、神の王国の成就を…

私は悪魔に憑かれる以前から、民族の熱情に憑かれていたのだ

そしてあの”人の子”は現れた

彼の言葉はそれが現にならないうちから、侵しがたい現臨に満ちていた

私は信じて疑わなかった…私はこのものに出会うために生まれてきたのだ

だがある時主はそれを見透かしたようにこう言った

”もし、私がニセモノだったらお前はどうするかね”と

私はこう言い放った

”あなたを殺すかもわからない!”…

そして私はある瞬間、電撃のように悟った…まるで世界が終ったように感じた

神の王国はローマの獣類に蹂躙され、魔王に懐柔されるのだ!

こんな裏切りがあるだろうか!

そんなことになるのなら、彼らの手に落ちる前に…

ことは為されねばならない!

あの晩は、絶望的な幻滅に覆われていた

だが私の暗部には密かな衝動ももたげ始めていた

その虚無の淵の均衡は主のこの言葉によって破られた

”お前の為すべきことを直ちに為すがよい!”

そしてことは行われた…

後悔?…もし、それが為されなかった時、永遠の後悔に苛まされていただろう

生きることも死ぬことも出来ず…永遠の虚無の底に沈み続けていただろう…

私の決心…いや私はあの抗し難い主からの促しによって動かされたのだ!

そして…私は死んだ…あの身にも心にもこびりついていた熱情から救われたのだ

それこそは私の…主の時の到来だった!

私はダマスコ以前のもう一つの、知られざる回心の出来事の証人なのだ


だから主からの促しを遮ってはならない

狡猾な裏切り者の手引きに落ちないうちに…

”為すべきことを直ちに為すがよい”















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