あるところに小さい女の子がおりました。
その子は目の前に一コのチョコのお菓子を見つけたので取ろうとしたら、横からその子のもう一回り大きなお兄ちゃんが出てきて先に取ってしまい、「やーい、先に取ったもん勝ちだよーっi」と言って、行ってしまいました。
その子は「わーん、わーん、お兄ちゃんのいじわるう...」と、泣き出してしまいました。
その泣き声を聞いて、おじいちゃんが出てきました。
おじいちゃんは「あー、よし、よし、かわいそうになあ...そうだ、あれをあげよう...」と、おいしそうな、イチゴのケーキを持ってきて女の子にあげました。そして...
「どう、おいしい?」
「うん、とってもi」
「じゃあ、いい子だから、面白いおはなしを聞かせてあげよう...」
と、おじいちゃんはおはなしを始めました。
"ここは死後の世界です。
そこに男の子の兄と、女の子の妹がやって来ました。
すると、上からスルスルと綱みたいなのが降りてきました。
天使がいっしょに舞い降りてきて、その綱につかまっていれば、上に引き上げられて天国に行けるのだと言いました。しかし、その綱はとても切れてしまいやすく、一人しかぶら下がることが出来ないのだそうです。
妹は困ってしまい泣き出してしまいましたが、兄の方がすかさず「天使さん、どうかこの妹をその綱で天国に行かせてあげて下さいi」、と懸命に頼み込みました。「ダメよ、お兄ちゃんと一緒じゃなきゃいやi」と泣いてとりすがる妹をつっぱねて、兄はどこかへ行ってしまいました。
そして...兄が行くところを知らずに着いた所は、先に来ていた妹がいる天国だったのでした。
すると、今度はもう一組同じような兄妹がやって来て、又例の綱と天使が降りてきました。
今度はその兄の方が、やはり困った様子の妹のことなど、そっちのけで真っ先に綱に飛び付きました。
しかし...綱はすぐプツンと切れて、あわれ兄はそのまま真っ逆さまに地獄へ落ちてしまいました。
そこにはおそろしい顔した鬼どもが沢山いて、その兄におそいかかろうとしています。
そこに「キャーi」という悲鳴が聞こえ、兄がそっちの方を見てみると、なんと妹が鬼どもにおそわれているではありませんかi
「そ、そんなバカなi ...何で妹がi...妹は何も悪くないのに...」
そして兄は泣きながら、懸命に上の世界にいる、さっきの天使や、見たことのない神様にこん願し続けました。
「お願いです。妹は何も悪くないんです。悪いのは僕なんです。僕のことなどいいですから、どうか妹を助けて下さいi」と。
そうして、何度も何度もとりすがり続けているうちに、疲れてきて眠ってしまいました。
そして、目が覚めてみたら、そこは妹がいる天国なのでした。
めでたし、めでたし"
「どう、面白かったかい?」とおじいちゃん。
「うん、まあ...ねえ、ねえ、おじいちゃん、悪いことすると地獄に行ってしまい、人のためにいいことをすると天国に行けるの?」
「そうかもしれないね...でもこの二人のお兄ちゃんは妹が可愛くなって、かわいそうになってたまらなかったんじゃないかなあ...」
「ふ~ん、そうかあ...かわいそうなあたしのお兄ちゃん...」
「どうして?」
「だって、こんなにおいしいイチゴのケーキ食べられなかったんだもんi
甘くて、ちょっぴりスッパイ...おじいちゃんがくれたケーキ...」
(おしまい)
その子は目の前に一コのチョコのお菓子を見つけたので取ろうとしたら、横からその子のもう一回り大きなお兄ちゃんが出てきて先に取ってしまい、「やーい、先に取ったもん勝ちだよーっi」と言って、行ってしまいました。
その子は「わーん、わーん、お兄ちゃんのいじわるう...」と、泣き出してしまいました。
その泣き声を聞いて、おじいちゃんが出てきました。
おじいちゃんは「あー、よし、よし、かわいそうになあ...そうだ、あれをあげよう...」と、おいしそうな、イチゴのケーキを持ってきて女の子にあげました。そして...
「どう、おいしい?」
「うん、とってもi」
「じゃあ、いい子だから、面白いおはなしを聞かせてあげよう...」
と、おじいちゃんはおはなしを始めました。
"ここは死後の世界です。
そこに男の子の兄と、女の子の妹がやって来ました。
すると、上からスルスルと綱みたいなのが降りてきました。
天使がいっしょに舞い降りてきて、その綱につかまっていれば、上に引き上げられて天国に行けるのだと言いました。しかし、その綱はとても切れてしまいやすく、一人しかぶら下がることが出来ないのだそうです。
妹は困ってしまい泣き出してしまいましたが、兄の方がすかさず「天使さん、どうかこの妹をその綱で天国に行かせてあげて下さいi」、と懸命に頼み込みました。「ダメよ、お兄ちゃんと一緒じゃなきゃいやi」と泣いてとりすがる妹をつっぱねて、兄はどこかへ行ってしまいました。
そして...兄が行くところを知らずに着いた所は、先に来ていた妹がいる天国だったのでした。
すると、今度はもう一組同じような兄妹がやって来て、又例の綱と天使が降りてきました。
今度はその兄の方が、やはり困った様子の妹のことなど、そっちのけで真っ先に綱に飛び付きました。
しかし...綱はすぐプツンと切れて、あわれ兄はそのまま真っ逆さまに地獄へ落ちてしまいました。
そこにはおそろしい顔した鬼どもが沢山いて、その兄におそいかかろうとしています。
そこに「キャーi」という悲鳴が聞こえ、兄がそっちの方を見てみると、なんと妹が鬼どもにおそわれているではありませんかi
「そ、そんなバカなi ...何で妹がi...妹は何も悪くないのに...」
そして兄は泣きながら、懸命に上の世界にいる、さっきの天使や、見たことのない神様にこん願し続けました。
「お願いです。妹は何も悪くないんです。悪いのは僕なんです。僕のことなどいいですから、どうか妹を助けて下さいi」と。
そうして、何度も何度もとりすがり続けているうちに、疲れてきて眠ってしまいました。
そして、目が覚めてみたら、そこは妹がいる天国なのでした。
めでたし、めでたし"
「どう、面白かったかい?」とおじいちゃん。
「うん、まあ...ねえ、ねえ、おじいちゃん、悪いことすると地獄に行ってしまい、人のためにいいことをすると天国に行けるの?」
「そうかもしれないね...でもこの二人のお兄ちゃんは妹が可愛くなって、かわいそうになってたまらなかったんじゃないかなあ...」
「ふ~ん、そうかあ...かわいそうなあたしのお兄ちゃん...」
「どうして?」
「だって、こんなにおいしいイチゴのケーキ食べられなかったんだもんi
甘くて、ちょっぴりスッパイ...おじいちゃんがくれたケーキ...」
(おしまい)