はまゆうさん、素晴らしいコメントをありがとうございます。
ご指摘の、今回山田先生が合格した「日本脳神経外科学会の専門医」とは何かについて説明します。
我々の所属する「社団法人 日本脳神経外科学会」の専門医認定制度には、
「卒後2年間の研修の後、学会の指定する訓練施設で4年間以上の研修を受けると受験資格ができる」
と規定されています。ですから卒業後7年目が最短の受験資格となります。
ちょっと聞くと簡単そうですが、「学会の指定する訓練施設で4年以上」ということろが厳しい条件です。実質上、本当の脳神経外科医として働いている人以外はまず受けられない、そういう資格です。
しかも受験資格を所得しても、合格率は約60%。この割合が微妙です。
1-2割なら特別な人が取るものという感じがしますし、9割と言われると受からない人は落ちこぼれ?という印象になります。6割というのはこのどちらでもない「微妙」な割合です。過半数が合格するけど、かなり頑張らないと受からない、そういう試験なのです。
大学によってはこれに受かるかどうかでその後の赴任先が決まってしまうという所もあり、「人生をかけた受験」という人もいるわけです。
また、「脳外科は外科だから手術のことだけを勉強する」と思われがちですが、そうではありません。
脳外科は内科や一般外科と同じ「基本診療科」ですから、脳神経に関することはほぼ何でも知っていなければならないのです。
基本的な疾患の診断や診療から、非常にまれな疾患のことまで試験問題になります。ものすごい勉強量が必要です。
私が受験したのはもう10年以上前ですが、大変緊張したのを思い出します。
なにしろ自分の専門分野の試験です。落ちたら、「専門家としてダメ」と判断されるのではないか?そういう恐怖感がありました。
また、自分が受験したのは国立循環器病センターから戻ってすぐですから、「落ちたら国循でお世話になった先生方に合わせる顔がない!」と強いプレッシャーを感じてがむしゃらに勉強しました。
あれほど勉強したのは、後にも先にもありません。それほど専門医試験というのは、重圧を感じる試験なのです。
山田先生は今回その試験に一発で合格しました。
これは本当に素晴らしいことですが、おそらく彼の頭脳の素晴らしさのみならず、受けてきたトレーニングの良さが影響しています。実際、山田先生は脳神経外科に入ってから大学病院でずっと修練を積んできました。
では彼ほどトレーニングのチャンスに恵まれない人はどうしたらいいのでしょうか?中小の市中病院では疾患や診療の種類も限られてしまうので明らかに不利です。
でも私の現在の印象を率直に言えば、「苦労して2-3度受験してから合格してもいい」のです。
「専門医になった」ということは、「土俵に上がった」ということを意味します。
でも土俵に上がってからが大事ですからね。上がること自体が目的ではない。
土俵に上がって、「いい相撲」がとれるようになることが目標なのです。
最後にひとこと。
脳神経外科は肉体的にも精神的にも大変な診療科です。
現在の研修医制度が引かれて最初の頃は、「医者自身の生活の質」を気にする研修医の先生には不人気でした。(そんなことを重視している先生には私自身はかかりたくありませんが...)
でも最近、徐々に「大変でも患者さんの命に直結したことをしたい」と、希望者が増えてきています。
やはり「医師になるのなら命を救いたい!」と思っているんだと知って、ほっとしています。
一人でも多くの人が脳神経外科専門医となり、自らの手で尊い命を救うようになってくれることを願ってやみません。
ご指摘の、今回山田先生が合格した「日本脳神経外科学会の専門医」とは何かについて説明します。
我々の所属する「社団法人 日本脳神経外科学会」の専門医認定制度には、
「卒後2年間の研修の後、学会の指定する訓練施設で4年間以上の研修を受けると受験資格ができる」
と規定されています。ですから卒業後7年目が最短の受験資格となります。
ちょっと聞くと簡単そうですが、「学会の指定する訓練施設で4年以上」ということろが厳しい条件です。実質上、本当の脳神経外科医として働いている人以外はまず受けられない、そういう資格です。
しかも受験資格を所得しても、合格率は約60%。この割合が微妙です。
1-2割なら特別な人が取るものという感じがしますし、9割と言われると受からない人は落ちこぼれ?という印象になります。6割というのはこのどちらでもない「微妙」な割合です。過半数が合格するけど、かなり頑張らないと受からない、そういう試験なのです。
大学によってはこれに受かるかどうかでその後の赴任先が決まってしまうという所もあり、「人生をかけた受験」という人もいるわけです。
また、「脳外科は外科だから手術のことだけを勉強する」と思われがちですが、そうではありません。
脳外科は内科や一般外科と同じ「基本診療科」ですから、脳神経に関することはほぼ何でも知っていなければならないのです。
基本的な疾患の診断や診療から、非常にまれな疾患のことまで試験問題になります。ものすごい勉強量が必要です。
私が受験したのはもう10年以上前ですが、大変緊張したのを思い出します。
なにしろ自分の専門分野の試験です。落ちたら、「専門家としてダメ」と判断されるのではないか?そういう恐怖感がありました。
また、自分が受験したのは国立循環器病センターから戻ってすぐですから、「落ちたら国循でお世話になった先生方に合わせる顔がない!」と強いプレッシャーを感じてがむしゃらに勉強しました。
あれほど勉強したのは、後にも先にもありません。それほど専門医試験というのは、重圧を感じる試験なのです。
山田先生は今回その試験に一発で合格しました。
これは本当に素晴らしいことですが、おそらく彼の頭脳の素晴らしさのみならず、受けてきたトレーニングの良さが影響しています。実際、山田先生は脳神経外科に入ってから大学病院でずっと修練を積んできました。
では彼ほどトレーニングのチャンスに恵まれない人はどうしたらいいのでしょうか?中小の市中病院では疾患や診療の種類も限られてしまうので明らかに不利です。
でも私の現在の印象を率直に言えば、「苦労して2-3度受験してから合格してもいい」のです。
「専門医になった」ということは、「土俵に上がった」ということを意味します。
でも土俵に上がってからが大事ですからね。上がること自体が目的ではない。
土俵に上がって、「いい相撲」がとれるようになることが目標なのです。
最後にひとこと。
脳神経外科は肉体的にも精神的にも大変な診療科です。
現在の研修医制度が引かれて最初の頃は、「医者自身の生活の質」を気にする研修医の先生には不人気でした。(そんなことを重視している先生には私自身はかかりたくありませんが...)
でも最近、徐々に「大変でも患者さんの命に直結したことをしたい」と、希望者が増えてきています。
やはり「医師になるのなら命を救いたい!」と思っているんだと知って、ほっとしています。
一人でも多くの人が脳神経外科専門医となり、自らの手で尊い命を救うようになってくれることを願ってやみません。