脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

二刀流の会

2010年11月09日 | 学会/研究会
先週末、大阪で「二刀流の会」にお招き頂きました。
最近、一人の術者が開頭手術と血管内手術を行うことを「二刀流」と呼ぶようになっています。
私の今回の講演の題名は「脳動脈瘤治療:二刀流」です。
自身が考える、開頭手術と血管内手術の使い分けによる理想の治療についてお話しさせて頂きましたし、後輩の育成についても触れました。
また最新のデバイスを用いた治療の経験と、最後には現時点での自身の治療成績も提示しました。
発表後、治療成績がいいことについてコメントを頂きました。
現在の施設に移転して6年半、自分が血管チームのチーフとなってから未破裂脳動脈瘤のクリッピングでは重症の合併症は1例もなく、すべて良好な結果です。
巨大動脈瘤には主に親動脈閉塞&バイパス手術かステント併用の血管内治療を行うため、リスクがそちらの治療に分配されているためもありますが、未破裂脳動脈瘤に対するネッククリッピング術の治療成績はここ数年ずっと良好です。クリッピングというのは「切る治療」だけあって痛みを伴いますが、未破裂脳動脈瘤の場合には出血のない術野で細かな血管まで温存して治療できるため、合併症が少なく、非常に安全であると考えています。
フロアーでは、「なぜそんなに良いのか」という質問もありました。
ひょっとしたら運が良いということもあるのかもしれませんが、自分としては血管内手術と開頭手術を使い分けていること(より安全性の高いものを選んでいること)、さまざまなモニターをしていること、バイパスを積極的に使うことなど、さまざまな工夫をしていることが治療結果につながっているのではないかと分析しています。

最近は徐々に治療難易度の高い症例を担当する機会が増えていますが、今後も良い治療成績が続けられるよう、気を引き締めていきたいと思っています。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする