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脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

埼玉医科大学国際医療センター

2010年03月13日 | 学会/研究会
昨日、埼玉医科大学国際医療センター(写真左上)にお招き頂き、講演をしてきました。
到着後、すぐに脳卒中センターの先生方(写真左下)にお話ししたのは「脳卒中の急性期治療」についてです。ここでも何度かお話ししているtPAと救済療法、そしてもうすぐ始まるRESCUE registryの紹介をしてきました。上の写真で、私の向かって右側に座っておられるのは脳卒中内科の棚橋紀夫先生です。棚橋先生は岐阜のご出身で、岐阜高校の私の先輩に当たる方です。講演の後もRESCUE studyへのご協力に関して、大変心強いお言葉を頂きました。
さて、今回お招き頂いた石原正一郎先生は脳血管内治療で有名ですが、神経内視鏡でも有名です。ですからご自分のオフィスに二つ机をおいて、テーマごとに分けておられるそうです。写真では奥の血管内治療の机についておられます(写真右上)。とても面白いので写真を撮らせて頂きました。
また石原先生は治療器具などを工夫されることで知られています。脳血管内治療は一階の血管造影室と、手術室内の血管造影室で行われていましたが、特に手術室の方は徹底的に細部にまでこだわっておられ、自ら「この部屋はF1カーです!」とおっしゃられていました。
オープンされて3年というこの施設は、がんセンター、心臓病センター、救急救命センターの3部門からなっていて、救急救命センターの中に脳卒中センターがサブセンターとして置かれています。その中に脳卒中内科、脳卒中外科、脳血管内治療科の3つがあり、それぞれが協力しつつ独立して診療に当たっているということです。新しい形のセンターで、とてもやりやすそうだと感じました。
棚橋先生の向って右におられる救急救命センター長の佐藤 章先生にもとても温かいお言葉を頂きました。
石原先生は、「ここはほんとに田舎なんです」と謙遜されていましたが、症例数も非常に多いそうで、血管内治療を目指す若いスタッフも多く集まっており(写真右下)、新しい息吹を感じる素晴らしいセンターでした。
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脳卒中ガイドライン2009

2010年03月12日 | 学会/研究会
昨日岐阜地区の脳卒中地域医療連携の会がありました。
そこで私は「脳卒中ガイドライン2009の概要」というタイトルで講演をしました。
今回、準備するにあたって新しいガイドラインをもう一度見直しましたが、大変勉強になることが巻頭に書いてあります。篠原幸人先生のお言葉なのですが、「ガイドラインとは何か?」ということについて深く考えさせられる文章です。
昨日の講演ではこれをまず冒頭に紹介し、それからガイドラインの概要と、現在のエビデンスや医療現場がもっと進んでいるということについて紹介しました。脳卒中の領域はホットで、エビデンスも次々に塗り替えられます。先々週、サンアントニオで得た最新情報も紹介しました。できるだけ分かりやすくお話ししたつもりですが、評判が良かったようでほっとしています。

会場はほぼ満席で、200名(医師45名)の参加があったということです。脳卒中は後遺症が残ってリハビリや介護が必要となる人が多いので、その治療やアフターケアには多くの職種の人たちががかかわっていることを再認識しました。
会場はすごい熱気でしたよ。会場でもたくさんの人に声をかけて頂けました。みなさんの期待に応えられるよう、これからも頑張ろうと思います。
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フルーツ大福

2010年03月10日 | グルメ
美味しいものをいただきました。
養老軒のフルーツ大福です。
まわりはマシュマロみたいにふわふわで、中にイチゴやバナナ、つぶあんがはいっています。
とても美味しくて、この季節はお店の前は行列という人気のお菓子です。
最近はチョコレート味もあるのです。
一つ食べるだけで幸せな気分になりますよ!
インターネットでも買えます。
http://www.yoroken.com/index.php?main_page=
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胸郭出口症候群:治療について

2010年03月07日 | 関連疾患
大分間が空きましたが、胸郭出口症候群の後編です。
この病気は骨や筋肉で神経と血管がはさまれて症状が起きることを説明しました。
ですから治療法は下記のようになります。

5)治療
5-1. 症状を悪化させる動作を避ける
5-2. 消炎鎮痛薬
5-3. ブロックなどの注射
5-4. 手術

まず5-1です。
 避けるべき動作は
  重い物をもつ(重い手提げ、肩掛けバッグ、リュックサックなど)
  姿勢(仰向け、うつぶせ) 
  長時間のスポーツ自転車など
  長時間のコンピュータ作業
  これ以外の手がしびれる姿勢
 自分の経験からは、とにかく症状が起きるようなことをすると、数日間具合が悪いことがあります。ですからできるだけ避けることです。

 行うべき筋力トレーニング・運動
  腕立て伏せ 
  壁面を押すトレーニング
  肩を挙上するトレーニング
  スイミング
 肩をすくめるような運動を毎日行うとずいぶん良くなります。薬に走るよりもなるべく運動療法を取り入れて頑張ることが大事だと思います。

5-2. 消炎鎮痛薬
 鎮痛剤(ロキソニン、ボルタレン、ロルカムなど)
  痛みはひどい時には内服薬が有効です。  
 筋弛緩剤(テルネリン、ミオナールなど)
  しびれ、痛みが強い時には有効です。ただし眠気やのどの渇きが出ることがあります。

5-3. 神経ブロック
 痛みがひどい時にはこの方法で楽になることがあります。ただし治療を受ける場合にはペインクリニック等の専門医に行ってもらう必要があります。

5-4. 手術
 この方法を行わなければならないことはかなり稀です。
 症状がひどく、以上の方法でも改善が得られず、日常生活の障害になる場合にだけ適応になります。
 a) 斜角筋切断術
  従来、胸郭出口症候群の代表的手術としてこの方法が行われてきました。
  手術は小さな傷で行うことができますが有効性に劣ることが報告され、最近はあまり行われません。
 b) 第一肋骨切断術
  腋窩からのアプローチで行う方法と鎖骨の上からのアプローチで行う方法があります。
  第一肋骨の切除に加え、斜角筋の付け根も切除することで根治性が向上するとの報告があります。
 c) 頚肋切除術
  先天的に「頚肋」というくびの骨の異常がある場合に行われることがあります。
  「頚肋」はレントゲン撮影にて容易に判明します。
 この病気に対する手術は急いで行う必要はありませんし、一般的には手術以外の治療法でほとんどの方が良くなります。もし手術を勧められてもしばらく様子を見るか、セカンドオピニオンを受けられることをお勧めします。

以上、胸郭出口症候群の治療について一通り説明しました。
要は、痛みやしびれる姿勢を避けることが一番。
症状のひどい場合には薬を継続しながらトレーニング等を行う。
これらで直らない、余程ひどい場合にだけ手術を考える。
ということです。自身の経験を踏まえて紹介しました。
胸郭出口症候群の患者さん達、参考にしてください。
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シロスタゾールの効果

2010年03月06日 | 脳梗塞
脳梗塞の予防薬として現在、日本では4種類の薬が使用可能です。
その中で日本国内で開発された薬が「シロスタゾール」です。
この薬は比較的新しいため、既存の薬との比較試験が義務づけられていました。
今回のISCでその結果が公表されました。

ISCの最後のセッションで発表されたそのデータはセンセーショナルで、これまでの脳梗塞予防のスタンダードであったアスピリンと比べ、シロスタゾールの方が脳卒中発症抑制効果が強いこと、しかも重篤な副作用である出血性イベントもシロスタゾールの方が少ないことが示されました。
英語圏からの発表が多いこの学会において、日本からのこのデータはかなりのインパクトを与えたものと思われます。

それにしても出血性イベントが少ないことは臨床経験で気づいてはいましたが、脳卒中抑制効果まで高いとは...
正直驚きました。
この薬は内服すると脈が速くなったり、頭痛が起きたりすることがあるのですが、それであっても「効果と安全性」が高いのであれば、患者さんに頑張ってもらう理由があるということが分かりました。

日本からの素晴らしい発表に胸が空くような思いでした。
メディアでもこの発表が取り上げられていますよ。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/ebm/csps2/kekka/201003/514337.html
コメント (1)
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もう一つの衝撃:Enterprise

2010年03月03日 | 動脈瘤
今回の学会のブースでもう一つ見たかったもの。
それはEnterprise、動脈瘤コイル塞栓の補助に使うステントです。
正式には「VASCULAR RECONSTRUCTION DEVICE」というそうです。

今回モデルの回路の中でreleaseさせてもらいましたし、実際に指でつまんでみました。
ものすごく柔らかい!
想像を絶する柔らかさです。
これなら血管にも相当優しいはずです。現在最も使いやすいと言われる塞栓補助用ステントなのです。
このおおざっぱなアメリカでこれほど繊細なデバイスが作れるんですね。
アメリカの奥深さを見た気がします。

このデバイスは今年の夏には使えるようになると思われます。
動脈瘤塞栓術の未来を変える衝撃のデバイス。
Enterpriseは以前から我々が思い描いていた理想の治療器具なのです。
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CRESTの衝撃的な結果

2010年03月02日 | 脳梗塞
今回の学会の、最後の最後に衝撃的な発表がありました。
頚動脈狭窄症にステント(CAS)が良いのか手術(CEA)が良いのか、比較研究がなされていることを紹介してきました。
実はCEAがハイリスクな患者さんだけしかCASの有効性は証明されておらず、脳梗塞の既往のある症例におけるCASとCEAの比較研究は、ここ3つ連続でCEAが優位でした。
このためヨーロッパではCASは減少しており、今回アメリカで行われているCRESTに注目が集まっていました。
その結果が今回報告され、何と症候性・無症候性どちらも含んだこの研究で、CASとCEAは同じ治療成績を出していました。
とうとうCASがCEAと並ぶ報告がされたのです。CEAハイリスクではありません。any risk、つまり、全ての患者さんが対象です。
この結果は相当大きなインパクトがあると思われます。
その歴史的瞬間に立ち会えたのは幸運でした。
これからまた忙しくなりそうです。
コメント (2)
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