脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

未破裂脳動脈瘤の治療について

2010年11月17日 | くも膜下出血
先日地元の新聞に未破裂脳動脈瘤にどう対応するかというテーマでコラムを書きました。
見出しが「動脈瘤あれば手術」となっていたので、最後に「?」を加えました。
動脈瘤に対する治療は切る手術にしろ切らない手術にしろ、治療するかしないかを決定すること。
それが重要なのだというメッセージです。
未破裂脳動脈瘤と診断された場合、皆が悩みます。
この記事が、少しでもサポートとなれば幸いです。
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脳梗塞血栓回収実践ガイド

2010年11月13日 | 報道・出版関係
神戸市立中央病院の坂井信幸先生編集の「脳梗塞血栓回収実践ガイド」が発売されます。
国立循環器病センター脳血管内科の峰松先生、岩手医科大学放射線科の佐々木先生と坂井先生、
そしてなぜか私も執筆させていただいています。
大御所の先生方に私が混じって恐縮ですが、メルシー発売後、まさに時を得た出版です。
本屋さんで見かけたらみてくださいね。
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栗きんとん

2010年11月11日 | グルメ
栗きんとんのおいしい季節になりました!

川上屋(右)と、すや(左)です。
川上屋は岐阜県の那市にあります。
http://www.enakawakamiya.co.jp/
すやは岐阜県中津川市。
http://www.enakawakamiya.co.jp/
どちらも有名です。

今回、この二つ、食べ比べてみました。
右の川上屋は表面がしっとりとして、たべると少しドライで甘い。お茶によく合います。
左のすやは手作り風で、つぶつぶが入っていて意外としっとり。甘さ控えめです。
どちらもおいしくて、甲乙つけがたい感じです。

一度食べてみてくださいね!
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二刀流の会

2010年11月09日 | 学会/研究会
先週末、大阪で「二刀流の会」にお招き頂きました。
最近、一人の術者が開頭手術と血管内手術を行うことを「二刀流」と呼ぶようになっています。
私の今回の講演の題名は「脳動脈瘤治療:二刀流」です。
自身が考える、開頭手術と血管内手術の使い分けによる理想の治療についてお話しさせて頂きましたし、後輩の育成についても触れました。
また最新のデバイスを用いた治療の経験と、最後には現時点での自身の治療成績も提示しました。
発表後、治療成績がいいことについてコメントを頂きました。
現在の施設に移転して6年半、自分が血管チームのチーフとなってから未破裂脳動脈瘤のクリッピングでは重症の合併症は1例もなく、すべて良好な結果です。
巨大動脈瘤には主に親動脈閉塞&バイパス手術かステント併用の血管内治療を行うため、リスクがそちらの治療に分配されているためもありますが、未破裂脳動脈瘤に対するネッククリッピング術の治療成績はここ数年ずっと良好です。クリッピングというのは「切る治療」だけあって痛みを伴いますが、未破裂脳動脈瘤の場合には出血のない術野で細かな血管まで温存して治療できるため、合併症が少なく、非常に安全であると考えています。
フロアーでは、「なぜそんなに良いのか」という質問もありました。
ひょっとしたら運が良いということもあるのかもしれませんが、自分としては血管内手術と開頭手術を使い分けていること(より安全性の高いものを選んでいること)、さまざまなモニターをしていること、バイパスを積極的に使うことなど、さまざまな工夫をしていることが治療結果につながっているのではないかと分析しています。

最近は徐々に治療難易度の高い症例を担当する機会が増えていますが、今後も良い治療成績が続けられるよう、気を引き締めていきたいと思っています。
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もやもや病の遺伝子異常について

2010年11月07日 | 脳梗塞
もやもや病患者さんから質問がありました。
「今後予防につながれば…と、先生の日記にありましたが『予防』とはもやもや病にならない予防なのでしょうか?それとも、もやもや病とわかってからの脳卒中にならない予防なのでしょうか?」

今回の発見がどのように現場の医療に生かされていくか考えてみましょう。
1)診断が正確になる
 現在もやもや病の診断基準は、下記のように定められています
 (難病情報センターホームページ:http://www.nanbyou.or.jp/pdf/115_s.pdf)
 抜粋すると、脳血管撮影において
  1 頭蓋内内頸動脈終末部,前及び中大脳動脈近位部に狭窄又は閉塞がみられる。
  2 その付近に異常血管網が動脈相においてみられる。
  3 これらの所見が両側性にある。
 の3つを満たし、かつ下記の基礎疾患に伴う類似の脳血管病変は除外する。
  1動脈硬化 2自己免疫疾患 3髄膜炎 4脳腫瘍 5ダウン症候群 
  6レックリングハウゼン病 7頭部外傷 8頭部放射線照射 9その他

 誰がみてもこの基準にきっちりと当てはまる場合もあるのですが、逆に、判断に迷う場合もあります。たとえば、
  1 片側だけに典型的な所見がある場合
  2 異常血管網の発達が少ない場合
  3 軽度の動脈硬化や頭部外傷などは、どの程度からを基礎疾患として含めるか
などです。現在1はもやもや病とは認められません。2や3は「程度の問題」です。たとえば動脈硬化などは年齢を重ねるとすべての人が有しており、どの程度からを基礎疾患に含めるか、なかなか判定が難しいところです。こういった場合に遺伝子異常があれば、診断の大きなサポートになると考えられます。
 ただし今回の遺伝子異常は「もやもや病患者さんの7割に陽性」ということですから、「基準に当てはまっても遺伝子が正常な場合」、「遺伝子異常はあるが、診断基準に当てはまらない場合」などが想定されます。今回の発見が診断基準にどのように組み込まれていくかが注目されます。

2)予防がやりやすくなる
 究極的にはこの遺伝子異常を遺伝子治療によって直してしまう時代がくるかもしれません。ただし現時点ではそれは困難です。それではどのように予防に役立つのでしょうか?
 たとえばもやもや病の疑いの場合にこの遺伝子異常が陽性であれば、
 1 定期検査を受けて、進行しないかどうかチェックする
 2 予防治療を受ける(内服薬や手術)
 などが考えられます。
 また、遺伝子異常があっても発症しにくい条件が見つかる可能性があります。その場合には、もやもや病の方が家族内にいる場合、この検査を受けて自分が遺伝子異常があるかどうか調べておくことが真の予防につながる可能性があるわけです。

 「この遺伝子異常があった場合、何割が発症するか?」、「この遺伝子異常がある場合には、異常のない人よりも経過がいいのか悪いのか?」などがまだわかっていません。まだまだ糸口が見つかったということなのかもしれませんが、今後今回の発見を契機として急速に研究が進むことと思います。その意味でも今回の研究は大変すばらしいものだと思います。発見者の先生方に敬意を表したいと思います。

 ご質問のお答えになったでしょうか?これから徐々に情報が増えてくると思います。もやもや病のみなさんの参考となれば幸いです。
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もやもや病の原因遺伝子解明

2010年11月05日 | 脳梗塞
一昨日、ニュースでもやもや病の原因遺伝子が解明されたと報道がありました。

「東北大学の研究チームは、日本人の患者約70人と正常な人約460人からDNAを採取し、塩基配列が人によって異なる「多型」を比較。その結果、患者の約7割は「RNF213」という遺伝子に変異があることを発見した。この遺伝子の役割は、これまで不明だった。」
と報道されています。

もやもや病は家族内発生が多いのですが、これまで原因不明でした。
今回の研究で、もやもや病が遺伝子疾患であること、さらに、この遺伝子を調べればもやもや病発症のリスクを予測でき、脳卒中を未然に予防する治療につながると考えられます。
もともと1969年に東北大学で命名されたこの疾患が、40年を経て同じ東北大学でその原因が解明されたのです。

この研究が患者さんの正確な診断や予防につながることを期待します。
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指導医講習会

2010年11月02日 | 学会/研究会
土日で臨床研修指導医講習会に参加しました。
これまで多くの後輩と一緒に仕事をしてきましたが、よく考えれば指導方法を勉強したことなどなかったのです。自分の体験を元に感覚的に指導していましたので、まとまった講習を受けてみたい気持ちがあり参加してみました。
参加してみると講義だけでなく、グルーブでの作業もあり、なかなかよく考えられたワークショップ形式でした。シミュレーションと分かっていてもロールプレイなどで研修医役が当たると、その気持ちが良く分かります。今後の指導方法を考える上で、参考になることが多くありました。

さて今回の講習会は厚生労働省の「医師の臨床研修に関わる指導医講習会の開催指針」にのっとったものでした。このため講習の時間は2日間で19時間!
海外では1週間合宿形式で行われるそうですので、それに比べれば2日間に凝縮されているので、まだ負担が少ないのかもしれません。しかも厚労省認定の修了証書も出ますしね。

同じ医療のテーマであっても、普段とは違う側面から学ぶことが多く、とても勉強になりました。講師の先生方、有り難うございました。


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