商店街入り口にある観光案内所に立ち寄り、近場で、地元の名物が味わえるところを
訪ねると、すぐ前の食事処の名物を教えてくれた。
温泉の前に先ずは腹ごしらえ、案内所で教えられた名物の“鯛めし”を味わってみる。
“鯛めし”に南予風と中予風があるらしい。
南予風は、刺身にしたタイをお重のご飯の上に並べ、山芋とねぎやゴマを混ぜた特製の
出汁をかけて食べるもので、中予風はタイ一匹を丸ごと釜飯として炊き込み、炊き上がっ
たらタイの身をほぐし五目飯に混ぜ込んで食べる。
どちらも捨て難く、両方と欲が出たが、散々悩んだ挙句、中予風を注文した。
「炊き上がるまで暫く時間がかかります・・」と言われ、待つこと10分、ようやく目の前に
鍋が運ばれてきた。
「さあー」と思ったら、炊き上がるまでもう10分ほどお待ちくださいとのこと。
鍋の下では、まだ青白い炎を上げて固形燃料が燃えている。
「10分後に、吸い物をお持ちします」とのことだ。
鍋蓋の隙間から薄い湯気が上がり始め、いい匂いが漂ってきた頃合い、吸い物が
運ばれてきた。「もう良いですよ」蓋を取ると湯気が一気に立ち上がり、タイの蒸せた
潮の香りが辺りに漂う。
鍋から慎重にタイを取り出し、丁重に身をほぐし炊き上がった五目飯に混ぜ込んで、
お茶碗に移し、一気にかきこんでみる。
薄い醤油飯に甘いタイの身がからみ、おこげの香ばしさも絶妙で、何とも言いようの
ない美味しさに大満足、20分待ったかいがあった。(続)
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