2002年発行の東野圭吾のSF小説。
SFはお得意だね。
主人公の宮本拓実が19歳の息子:時生の臨終の際に過去を思い出す。
息子は妻からの遺伝で長く生きられない病を発症していた。
もともと結婚する時に妻から男の子が生まれたら難病を発症するから、
子供は産めない事を告げられていた。
ところが・・・50%の確率に賭けて産んでしまったわけで、
男の子だった瞬間から夫婦の苦悩は始まっていた。
臨終を見守りながら拓実は思い出す。
「俺はこの子に昔、会った事がある。」と。
1979年、25歳の拓実は、どうしようもないダメ男だった。
仕事はしないし、知人や恋人に金を無心したり、
嘘をついてタカリを繰り返していた。
「小さい事なんかやってられるか、俺は、大きな事をするんだ。」
と馬鹿丸出しの口癖で仕事は長続きしない。
先輩を殴って仕返しされボコボコにされた拓実を家まで送ったのは、
浅草の花屋敷で知り合ったトキオだった。
恋人の千鶴の紹介で面接に行った拓実は遅刻した挙句に、
逆切れして面接を受けずに帰ってしまう。それを知った千鶴は、
絶望して姿を消してしまう。
現代から過去に来たトキオは拓実が千鶴とは結ばれない事を
知っているが、二人で千鶴を捜しに大阪に行く。
千鶴を捜しているのは拓実だけではなく、ヤクザのような男たちと
敵か味方かわからない別の男たち・・・。トキオの手助けで
千鶴を探すが危険にも巻き込まれて行く。
若かりし拓実がどーしょーもない馬鹿男で、
よくぞ改心して現代の拓実になったなぁ。と思った。
それくらい別人格と言うか全く別の人間だった。
長く一緒に暮らせないとわかっていた拓実夫婦が、
19年と言う短い間だったけど、しっかり生きていた。
時生も自分のサダメをうすうす知っていたようだが。
ダメ人間だった拓実の過去に影響を与えて、
自分の一生を変えてしまった(みたい)。
NHKでドラマ化された時、宮本拓実役は国分太一、
トキオ役は櫻井翔、千鶴役は富田靖子だった。