カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「リターンマッチ」後藤正治

2025年03月17日 21時50分59秒 | デリーNCR / DELHI NCR

「リターンマッチ」とは、
負けた相手に再戦を挑む事であるが、
この本では敗者復活戦として使っている。

1994年発行の後藤正治のノンフィクション小説。

主人公である脇浜義明は兵庫県西宮市にある西宮西高校と言う、
定時制高校に20年以上勤務している英語の教師である。
定時制高校にはいろんな生徒が通っている。
最も多いのは母子家庭や父子家庭に育った子供、
金銭的事情から中学卒業と共に働かざるを得なかった子供、
全日制高校からドロップアウトした子供、
グレてしまい高校に行かなかった(行けなかった)子供、
20歳を超えた生徒もおり、派手な服装であったり、
ほとんど出席しなかったり、授業中も勉学にいそしむ事もなく、
睡眠やおしゃべりに費やすことも多い。

定時制の教師もそんな授業に嫌気がさし、
数年で転勤を希望して辞めていく。

脇浜義明は自身が貧しさゆえに学べず、
その上、半端ないゴンタクレであったがゆえに、
他の教師と違い根気よく生徒と向き合っている。

ある時、生徒からの要望でボクシング部を創設する事になる。
実は脇浜は若い頃にボクシングをやっていた事があったため、
最初は乗り気ではなかったが、やがて授業は出なくても、
部活には来いというくらいにのめり込んで行く。

一般的な高校生の学校生活から落ちこぼれた子供たちに、
ボクシングに打ち込むことで人生の敗者復活戦に挑む事を教え、
負ける悔しさを教え、勝つ事へのたゆまぬ努力を教え、
なだめすかしながら勝つ喜びを教えて行く。

大半はドロップアウトを繰り返しながら帰ってこなくなり、
少数はそれでも脇浜について行く。
子供は変わっても脇浜は粘り強く、時にはくじけながら、
ボクシングで人生に勝つことを教えて行く。

なんか凄いのよ。脇浜センセは。
西宮市って関西でしょ。不良も凄そうじゃない、
センセが言うには筋金入りの不良って言うか、
根性の座った不良がいいんだって。
やっぱりハンパはよくないよね。(笑)

ノンフィクションだから実際にあった話なわけで。
センセもボクシングを教える事で人生の敗者復活戦に挑んでいる。
落ちこぼれてしまった子供たちを立ち直らせることが、
センセの敗者復活戦である。

コメント
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