雀の手箱

折々の記録と墨彩画

掌のメッセージ

2009年12月02日 | すずめの百踊り
 “たなごころ” 私の手のひらには、相変わらずシリコンの硬い固定装具が着いています。
 手のひらは、拇指の側と、小指の側ではっきり温度差があり、違和感の取れないままに見つめるうち、ふと口をついて出てきたのが”たなごころ”でした。
 80年のこし方、善き事も悪しき事もどれだけの仕業で酷使してきたことでしょう。その積み重ねが今のこの痛みと悟ると愛しくて、耐えることができます。

 た=手、な=の(上代の連体格助詞 水源みなもと)つまり「手の心」が「たなごころ」です。(和名抄にも「手之心」とあります。)
 確かに、緊張した時は手に汗を握ることになるし、感情を抑えて握りしめた掌が震えることもあります。
 中心的な心を持つからこそ、人との関わりでも、縁を断つのを「手を切る」と表現し、親愛の情を伝達して、あるいは妥協や協調して「手を握る」ことになるのでしょう。
 開いたたなごころにどのような心を読み取ればいいのでしょう。
 「掌のうち」は思いのままになることのたとえに用いられますが、「たなごころを返す」は態度の急変を意味することもあり、定めなき世情に流されることなくじっと見定めてゆく必要がありそうです。