雀の手箱

折々の記録と墨彩画

蟹と戯る

2010年08月28日 | すずめの百踊り
 今年の蟹のはじまりは、作陶した大小の皿への絵付けからでした。五月、魯山人の蟹の皿をなぞって、墨彩画の仲間や、弟と一緒に蟹を描きました。もともと好きな画題で、応挙と蕪村のコラボで描かれた蟹にまで手を出し、かくて、さまざまな蟹が横行することになりました。
 「世人皆直行 我獨横行」とばかり時に時流に流されることなくゆったりと、時にはすばやく走る姿は見ていて飽きることがありません。

 夏の季語として俳句に登場する蟹は、タラバや、ズアイ蟹、松葉蟹といった大型の海の蟹ではなく、主として淡水に棲む蟹です。





   夕雨やをかに出揃ふ蟹の穴    暁台

   紺青の蟹のさみしき泉かな    青畝

   沢蟹のあらがふことを愛しとす  風生

 蟹曼荼羅の蟹の俳人、今村俊三の句  蟹暮れてひたすらしぼむ盆の空
                   蟹を追ふ躓かざるも手を前に

 などの句に共感します。

  条福に漢詩を書いている夫の練習用の料紙を失敬して、興の赴くままに蟹、また蟹です。
 これなら物議をかもすこともありますまいから、四畳半襖の下張りにでもしますか。 3枚です。

 残暑と呼ぶには厳しすぎる酷暑の日々、どうぞお大事にお過ごしください。


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