雀の手箱

折々の記録と墨彩画

施餓鬼法要の季節

2013年07月19日 | 雀の足跡

  今日は菩提寺のお施餓鬼に行ってきました。毎年の夏の行事ながら、格別の思いがあります。

 三悪趣(さんあくしゅ 地獄・餓鬼・畜生)の一つで、飢えと渇きに苦しむのが餓鬼です。この地球上には今、現実にこの餓鬼さながらの苦しみの中に生きるのを余儀なくされている人たちがいます。遠いアフリカならずとも、程度に差はあるにせよ、私の世代は、戦中戦後の一時期、食べる物に苦しみを味わった経験を持つ世代です。
 南方で戦場をさまよった兵士、シベリア抑留を経験した人たちも同様です。
 ほしいままの贅沢が可能な、飽食の時代を生きる若い人たちには想像することすら難しいでしょう。

 やがて終戦記念日が来るだけに、お寺の行事には参加しないことが多くなってきた私ですが、お施餓鬼だけは欠かさずに参加し、この日ばかりはしみじみと「いただきます」と手を合わせて食べ物に感謝しています。

 布施の心で、人だけでなく動物にも布施をし、食べ物を分かち合うという考え方から、お詣りには数々のお供えの食べ物を持参します。 施餓鬼の日の大願寺表門 今日は六角堂も扉はすべて開かれてお供えがしてありました。 開会前の祭壇に向かって永代経を上げるご住職 施餓鬼なので菓子果物野菜、もろもろの食べ物が供えられた供物棚  補注 お施餓鬼の由来は、『仏説救抜焔口餓鬼陀羅尼経(ぶっせつぐばつえんくがきだらにきょう)』に説かれる物語に基づくものと聞きました。
 この物語の主人公は、お釈迦さまの身近に奉仕し、お釈迦さまに一番多くの教えを聞いたので「多聞(たもん)第一」といわれる、「十大弟子」の一人、阿難(あなん)尊者です。 <