雀の手箱

折々の記録と墨彩画

櫻づくしの古都

2018年04月03日 | 雀の足跡


 新幹線から近鉄に乗り継いで4時過ぎに到着した西大寺の駅には妹が車で待っていてくれました。
 先年大極殿の復元の折に観た遣唐使船の模型が、新たに大きく復元されているというので、帰り道だからと平城京跡に立ち寄りました。広々とした空間を邪魔することがないよう、国道沿いにそれは浮かんでいました。大きくなったとはいえ全長30メートル余のこんな小さな手漕ぎの船旅はさぞかし心細いものだっただろうと想像し、鑑真和上も座したと思しき小さな部屋を覗きました。
 昏れるには少し間がある夕影の陽ざしの中、佐保川堤の桜が満開だから見せたいというので、万葉集にしばしば登場する「佐保」の地名に惹かれる私はわくわくしながら車に揺られていました。
 ここには場所取りのブルーシートや、酒宴の痕跡なども全く存在しなくて、そぞろ歩きの住民と思しき方々もゆっくりと桜を愉しむ風情で、さすが亀井勝一郎も讃えた「由緒正しい春の景観」でした。
 準備されていた妹の手料理の夕食の間も、もっぱら桜の話でした。











春日原生林を水源とする佐保川堤の桜並木は1200本余が延々5キロ、大和郡山まで続いているそうです。中には樹齢160年という植樹した人の名にちなむ川路桜もある由でした。