九州国立博物館の会館5周年記念の特別展にやっと出かけることができました。
七月末、予定していた日に親戚の訃報がはいり、次々と葬儀が重なりました。お盆をはさんで、異常と報じられる暑さ続きに延び延びになっていました。
かつては自馬を持ち、国体選手として出場している夫は、中学生時代以来の馬との関わりは海外暮らしの間も続いていたので、この企画には並々でない期待を寄せていました。
9月に入って5日までの間になんとしても出かけると意気込んでいましたので、今日2日遂に念願を果たすことができ、期待以上の展示に大満足していました。
昨日から始まった太宰府と筑紫野ICの間の向佐野橋の工事のため、車線規制の渋滞予告がテレビにも出ていたので心配しましたが、往復とも支障なく高速道が通行できました。
展覧会は日本最古の馬の全身骨格(大阪府蔀屋北遺跡出土 5世紀)が窺える馬骨や中国最古の騎乗用馬具(4世紀)から始まって、アジアを駆けた馬は、朝鮮半島を経て日本に渡来して2千年の時を経て今、出土品として眼前にありました。
特に王や豪族達が、威信の象徴として黄金で飾った馬具の数々には圧倒されました。初めて目にする馬冑(バチュウ)や、藤ノ木古墳出土の繊細な細工が施されたすぐれた文様にみる匠たちの美意識とその技は驚くばかりでした。
「国宝23件、重要文化財24件、日本初公開を含む中国・韓国の文化財23件」の百点を超える重量感は、いつもは私が待たせるばかりの展覧会ですが、今回は逆で、杏葉(ギョウヨウ)や、鐙(アブミ)、轡(クツワ)の前では時間がかかっていました。
馬装の馬具位置に関してはこちらから。
私のほうは、賀茂競馬図屏風や、厩図屏風の躍動感溢れる馬に見とれて、これに文学とのかかわりで、人と馬が捉えられていたら、もっと奥行きのあるものになったのではと、万葉集に詠われた多くの赤駒、黒駒、青馬。平家物語の宇治川の先陣争いの「生月」「磨墨」の名馬はじめ、鵯越のことなど思っていました。
夏休みの子供たちのための企画も、「馬に親しむ」のテーマに沿ったものでしたが、馬に纏わる諺も、紹介されていてもよかったのではないでしょうか。「人間万事塞翁が馬」や、「馬の耳に念仏」、「馬耳東風」などなど。
ともあれ、2千年を駆け抜けた出土品を中心とした展示は、網羅されていて、地方に住む私達にはありがたい企画でした。
帰途には、先年訪れた韓国は慶州の天馬塚古墳でみた障泥(アオリ)に描かれた躍動する馬の姿や、馬具。耳飾に見る杏葉との共通する装飾など、話題は尽きることがありませんでした。
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画像は九州国立博物館よりの提供です。マウスオンで画像は止まります。
赤駒の越ゆる馬柵ウマセの標シメ結ひし妹が心は疑ひもなし
黄金で飾られた馬具… 名馬を飾る芸術品、透かし彫りなど溜息が出ます。馬冑も珍しく、現代的な造形に惹かれました。
馬のつく言葉も多いので驚きます。お若い頃は馬が合うので馬煙をあげて郊外まで遠乗りなさったことでしょうね。 映画のようにすてきです。
こちらは襦袢の馬乗り、遊園地の馬くらいしかしりませんが、駿馬が躍動する姿は大好きです。馬具も美しいこと、杏葉は何処につけるのですか。おしゃれですね。
藤ノ木古墳の馬装は特別豪華絢爛ですが、お尋ねの杏葉の位置は画像を追加しましたので「こちら」からのぞいてください。飾り金具はその数も、3枚、7枚と決まりはなさそうです。大きさも形も文様もさまざまです。写真の藤ノ木のものは幅15㎝丈20㎝です。そのほか8X20、13X10といろいろです。
馬の動きにつれて、黄金の煌きとその擂れる音を目前にする人々の嘆声が聞こえてきそうです。
実用そのものの乗馬用のわが家の馬具とは別世界のものです。
鐙は、初期の実用の装具は、現代に近い形ですね。
このほかにも、尻上の革帯の交差する場所に留める雲珠ウズなど豪華なものです。鞍にも杏葉にも埋め尽くすパルメット文が目だち、シルクロードへの夢をかき立てます。
中国からの陶馬、埴輪の馬の日、中、韓の違いも興味がありました。地方ではなかなか機会に恵まれないだけに、じっくり時間をかけて鑑賞してきました。
先日のコメントでなまえを間違えていました。田中一村です。ごめんなさい。12日の日曜美術館で放送されますね。楽しみです。
台風がちかずいています。 お気をつけて…