
徳川の至宝展を見た後、4階で開催中のトピック展示「山の神々」展に立ち寄りました。
今年が竈門神社の肇祀から1350年になるのを記念した企画だそうです。
ここでは思いがけず端正なお顔立ちの十一面観世音菩薩にお会いできました。熊本は阿蘇外輪山の北麓南小国町の千光寺に氏子の方々に大事に保存されてきた平安時代の作で、全身を包む光背も、この仏像に最初からつけられていた木彫という珍しいものです。159㎝という等身大で、慈愛に満ちたお顔、天衣の素朴なさりげなさなど、弟はことのほか気に入っていました。
諫早からお出ましの不動明王と二童子は多良岳伝来の珍しい動きのあるものでした。地元英彦山神宮の祭神三座の中の一座は、厳しい修験道の聖地の祭神にしては、ふくよかで柔和なお顔立ちです。
阿吽一対の狛犬は、室町時代のもので竈門神社所蔵の福岡県指定文化財です。
遠い記憶の「本地垂迹説」など思い起こしながら日本人の宗教の持つおおらかな包容力をうれしいものに思いました。
富士の御山は信仰の対象として尊崇されてきた歴史があって文化遺産と認められたのだし、山は確かに水分(みくまり)の神が宿る水が生まれる場所であり祖霊が帰ってゆく場所でもありました。




竈門神社(かまどじんじゃ)は、九国博から少し離れた所にあります。宝満山の山麓で、大宰府の北東にあたり、大宰府建設の折、天智天皇が鬼門除けとして八百万の神を祭ったのが始まりだそうです。