鳥取市役所本庁舎の移転に伴い、旧本庁舎内の食堂が25日閉店し、半世紀を超える歴史に幕を下ろした。看板メニューである「スラーメン(素ラーメン)」は市民に長年親しまれ、市出身の漫画家、谷口ジローさん(2017年死去)の人気漫画「孤独のグルメ」にも登場した。最終日は大勢の市民やファンがこの素朴な味との名残を惜しんだ。【阿部絢美】
1964年の開庁時に、職員互助会が運営を始めた。91年からは仕出し屋「富士割烹(かっぽう)」=尾崎成美会長(70)=が運営を受託している。スラーメンは250円と低価格。昆布と煮干し、かつおぶしで出汁(だし)をとったスープに中華麺を入れ、ネギとモヤシ、かまぼこを散らしたシンプルな味わいが特徴だ。漫画「孤独のグルメ」では、主人公が天かすとコショウを振りかけ「コショウの威力は甚大だ」と太鼓判を押す。
最終日のこの日は、開店直後から長蛇の列ができた。通常の10倍以上、約300食の売れ行きだった。深沢義彦市長も訪れ市職員時代を含む40年以上慣れ親しんだ味を堪能。「シンプルな味わいだけに多くの市民に親しまれた」と懐かしんだ。尾崎会長は「たくさんの方に食べていただきうれしい限り。本当にありがとうございました」と話した。
新本庁舎の食堂は別の業者が運営を担い、全面開庁する11月5日に合わせて本格オープンする。スラーメンについては、牛骨スープなどでアレンジしたオリジナルメニューでお目見え。担当者は「市民からも県外からも愛される素ラーメンを継承していきたい」と意気込んでいる。』
今後も素ラーメンの美味しいスープの味を引き継いで欲しいと思います。