佐賀市で10月31日に開幕したアジア最大級の熱気球大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」は大雨の影響で1日以降の関連イベントが全て中止となり、会場で販売するため準備したプリン約3000個が行き場を無くした。「助けてください」。販売予定だった業者らがSNS(ネット交流サービス)でそう訴え、1日に佐賀市のJR佐賀駅前で急きょ販売したところ、約7時間で完売した。

 バルーンフェスタは10月31日に佐賀市の嘉瀬(かせ)川の河川敷で始まった。佐賀県では近年、「プリン県さが」と銘打ち、菓子店などでつくる実行委員会がプリンによる地域活性化を進めており、河川敷の会場では県内7業者がプリンを売ってイベントを盛り上げる予定だった。

 ところが、大雨の影響で1日から一部の競技を除いて最終日の4日までのイベントと出店が中止になった。河川敷は冠水が想定されたためプリンを保管する冷蔵庫は撤去することになり、日持ちしないプリンは廃棄される恐れもあった。

 「何とか乗り越えなければ」。出店者の一人で佐賀県みやき町でプリンを販売する大富藍子さん(45)は突然の中止発表に奮起した。県内の商業施設などに掛け合った末、JR佐賀駅前での販売にこぎ着けた。

 1日午前8時半。販売を始めると早速長い列ができ、次々にプリンが売れた。SNSを見て県外から駆けつけた人もおり、「頑張ってください」などと声を掛けられた。サッカーJ1・サガン鳥栖やバスケットボール男子Bリーグ1部・佐賀バルーナーズなど地元のプロスポーツ選手らも駆けつけてくれた。2日以降も販売する想定だったが、午後3時半にはすべて売り切れた。

 「誰かを助けたいという皆さんの温かい気持ちに触れた」と大富さん。土曜を含め今年最後の3連休は各地で大雨に見舞われ、多くのイベントが中止になっており、「今回の大雨で困っている他の業者さんたちにも支援が集まれば」と願った。【山口響】

インターネットの普及した日本のSNSの力と効果、今令和の時代に忘れられている人情とプリンの食材も無駄にならず食べ物を無駄にせず生かせた事は、本当に良かったと思います。