ロミュラス・ウィトカー「水中に潜む本当の危機」
TED 12月14日(月)12時43分配信
Romulus Whitaker
『翻訳
先入観は捨ててください 爬虫類はなにも恐ろしいものではないんです 先入観は話の理解を妨げてしまいますから ところでちょっと過激なヒッピーの 自然保護者だなぁと思われた方 それは単なる想像の産物です (笑)
さて 人類は地球で初めて自身の 生存を脅かす程に繁殖してしまった種族です 人間の地球上での悪行については 感覚が狂ってしまうほど見聞きしてきたでしょう まるで欲ばりの子供じゃないでしょうか? 今日 私は水について話をしたいと思います これは私達が水とかその他の素敵な派生品 ビール ワインなどが好きだからというわけではありません もちろん空から雨となり降ってきて 川にも流れていきますが 理由は他にもあります
ニューヨークで育った幼少時代に 私は蛇の虜になりました 他の子がコマ おはじき 自動車 電車 クリケットボールに 夢中になるみたいにね 私の母は勇敢な女性でした 彼女にも非があります 私をニューヨーク自然史博物館に連れて行き 蛇の本を買ってしまいました こうして私のキャリアは始まったのです そしてその結果 60年前に母 ドリス・ノードンと 義父ラマに連れられて インドを訪れることになりました
まさに興奮の連続でした 私をはじめから魅了したのは 2種類の象徴的爬虫類でした まずこの素敵なガビアルです 北部の川に生息する このワニの体長は6mにも達します こちらのカリスマ的なヘビはキングコブラです 私の話の真の目的とは このカリスマ的で荘厳な生物たちを 皆さんの心に刻み込むことです こうすれば皆さんに自然への興味を 再び取り戻してもらえると思っています
キングコブラが注目すべきである理由はいくつかあります 今ご覧いただいているのは近くの森で 最近撮影したものです メスのキングコブラが巣作りをしています この手足のない動物が葉をかき集め山を作り その中に卵を産むんです 小さなキングコブラが孵化するまでの 約90日の間卵を5-10 mの降雨から 守らなくてはいけません 彼女が卵を守り 3か月もすれば 遂に卵が孵化します もちろん過半数は死にます 30cmにも満たない 爬虫類の赤ん坊はほとんどが死んでしまいます
私が初めてキングコブラと触れ合ったのは 1972年 ここカルナタカ州の アグンベという魔法のような場所でした ここには壮大な熱帯雨林が広がっています この初対面はある意味 戦士になるためにマサイの 少年がライオンを殺したような体験でした 私の人生が360度変わりました ここから私の自然保護の戦いが始まりました 最終的に今の研究と アグンベの教育機関に落ち着きました ここはもちろん誰でも歓迎なんですね
ここはまぁ人が集っては この驚異的に複雑な森林の 生物多様性を学び取り 今残されている自然の保護に取り組んでいます そして水資源の保護も 同時に行ったりして私達も もちろん楽しく過ごしてもいますよ 私達のいるキャンプ地からは ドンドンとドラムの音も聞こえてきます 私達はまず現地の人達と知り合いになる必要がありました そこで子供達がカギになります 子供達は蛇に釘付けです 彼らは大人とは違って爬虫類に対しての恐怖感― 軽蔑 毛嫌いといった観念には取りつかれていません ただただ興味津々なので 子供達はうってつけなんです これを見ればヘビのサイズがわかるでしょう
これは平均的なキングコブラで約3.6 mあります 実際に誰かのトイレに侵入して 2-3日過ごすこともあるんですよ インドのこの地域の人々は キングコブラを崇拝しています 私達も「殺さず捕まえて」と頼まれました 私達はここ3年で100匹以上の キングコブラを捕獲しては 森の近くに放してきました
しかしこの生物の真の秘密を知るには ヘビの体内に小型の電波発信機を とりつける必要がありました こうして彼らの居場所を特定し秘密を解明できます 孵化した仔の行く先や これからご覧いただく素晴らしい光景もそうです この映像は数日前アグンベで撮りました 毒の有るクサリヘビを捕食するこの大型のキングコブラを 見られてうれしかったです 自分は噛まれないよう上手く捕獲していますね それとキングコブラはヘビしか食べないんです このクサリヘビでは物足りなさそうですよね いわばおやつみたいなものですね (笑)
通常はもっと大きいやつを食べます この前の繁殖期に少し変わった 説明のつかない出来事に遭遇しました 大きなオスのキングコブラがメスに噛みついたと思ったら 交尾はせずに食べてしまったんです 私達は今もこの行為の 進化における利点の解明に取り組んでいます
ほかにも驚くべきことをします こちらも通信機のおかげで 見ることができました こちらのオスは 約3.6 mありますが別のオスに遭遇すると 素敵な儀式のような戦いの踊りを披露してくれました まるで発情期の哺乳類みたいです ヒトも含めて 違いを探り合い しかしもっと優しく 噛まずに これは単にレスリングマッチなんですが 素晴らしい営みです
この情報をどう利用するのかって? 何のための活動なのか? キングコブラは当にこの森における 根本ともでもいえる種族なんです 私達は当局にこの森林保護の必要性を 認識・理解してもらうことです この活動はその一環なんです この雨林の象徴ともいえる この素敵な動物について調査をすることで 木々・動物そして水資源を 保全しているんです
Project Tigerは聞いたことがあるでしょう これは70年代初頭という自然保護の 激動の時代に始まったものなんです 独裁色の極めて強い女性政治家に 導かれていたようなものです しかし彼女は環境保全への情熱も持っていました これがProject Tigerが始まった時代です そしてProject Tigerと同様に 私達はキングコブラに狙いを絞って その生息地をはじめとする あらゆるものの保全に取り組んでいます トラは象徴的な動物ですが 最近はキングコブラが新たな象徴です
インド南部の大きな川は全て インド西海岸に沿う 西ガーツ山脈から流れてきています 毎時間 数百万ガロンの水を放出しており 少なくとも3億の人々に飲み水を提供しており たくさんの赤ん坊がこの水で洗われています これは家畜野生を問わずたくさんの 動物たちの食料も提供しています 何千トンもの米を作ってくれるんです
私たちはこの水に何をしているでしょう? まぁ これをせき止めては殺虫剤や 除草剤・防カビ剤を投与し汚染してしまいます これを飲めば命を危険にさらすことになります つまり実を言うと 原因は一大産業や 河川工学者たちだけの過ちではなく 私たち自身なんです なんだか最適なごみ処理の方法を水資源に 見出したような感じですね これからはインドのもっと北の話です
インド北部のチャンバル川は 私達のキャンプがあるところです ここはこの荘厳なワニ ガリアルの生息地です ガリアルが地球に誕生してから 約1億年がたっています 彼らは恐竜が絶滅した時代さえ生き抜いてきました ガリアルには驚くべき特徴があります 体長は6m程になりますが 魚を餌とするため 人間には危害を加えません しかし彼らの巨大な歯のために 人々にこの生物の無害性を 納得いただくのは少し難しいところもあります
しかし我々が70年代の初頭に 行った調査の結果 彼らは絶滅の危機にあることが判明しました 事実 この地図を見るとわかりますが 元々はパキスタンのインダス川から ずっと離れたビルマのイラワジ川まで 彼らの生息地でしたが 今ではネパールとインドの 数か所だけとなってしまいました 現在 野生で繁殖している ガリアルは200匹しか残っていないんです かくして70年代中頃 つまり 環境保全の創始の時代に 私達は政府後援のもとプロジェクトを 立ち上げて野生に残る 数少ない巣から卵を回収して 5000匹のガリアルを自然に 帰すことができました するとすぐにこんな光景が見られました 再び川でガリアルの群れの日向ぼっこが 見れるなんて信じられません
しかし自己満足はしばしば蔑視を生むものです そしてもちろん川に迫る脅威は他にもあります 例えば採砂とか 川岸すぐそばまでの土地耕作により 動物たちは繁殖が出来なくなったり ガリアルにとっては先ほどの うれしい知らせも虚しく 問題が次々と 山積みになってしまっています 川沿いのガリアルの繁殖地では何百もの 仔ワニが見られます 素晴らしい光景です 実はこの写真は去年のものです しかし不幸にもモンスーンがやってくると 下流にはダムや 堰があって 洗い流されてしまうのです
幸いにもガリアルを保全しようとする 団体は他にもあって 国際自然保護連合のワニ専門班や マドラス・クロコダイルバンクやある非政府団体や 世界野生生物基金 インド野生生物研究所に州森林局そして 環境局と共同で私達は活動しています でもこれでも全くもって不十分なんです 例えば2007年と2008年の冬には チャンバル川で信じられない大量死が見つかりました 突如として 川は死体で溢れかえりました なぜこんなことに?
この川は比較的きれいな方です チャンバル川の水は透き通って見えます インド北部では基本的に川の水は 飲みませんが 地元住民はここの水を飲んでいます そこで原因究明のため 世界中から 獣医を招集して インドの獣医と 共同で何が起こったのか調査しました 私は現場で検視の多くに付き添いました 私達はあらゆる内臓器官を調べ上げて 原因解明に当たりました すると痛風というものだと判明しました これは腎不全が原因で 尿酸結晶が体内のいたるところに生じ 特に関節部にこれが蓄積することで ガリアルの泳力を奪っていたのです ひどい痛みを伴う死に方です
チャンバル川の南には汚れた ヤムナー川 聖なるヤムナー川があります 皮肉をいうのは好きではないんですが事実です これは極度に汚染が進んだ川の一つに挙げられます この川はデリー マトゥラー アグラを流れており 都市部の下水が大半が流れ込んでしまっています このことから食物連鎖を通じて魚の体内の毒素が ガリアルを死に至らしめたと 考えるのが自然です 更に 食物連鎖に毒素が 混入すれば人間にすら影響を及ぼします
この川は近隣住民の生命の源ですからね これらの質問に答えるべく 再び私達はテクノロジー 特に この場合には生物学の中の 遠隔測定法に立ち返り 10匹のガリアルに 発信器をつけて追跡しました 毒物の解明のために 24時間体制でガリアルを監視しました
チャンバル川は本当にすごい場所です 山賊や武装団について詳しい方には 名が知られている場所です そして今でもかなりの数がいるはずです 実はシェーカル・カプールが『山賊の姫』という 素晴らしい映画をここで撮影しています 見てください チャンバルの壮大な自然を望むことが出来ます
次の問題は 漁業です ここはハラジロカマイルカや 数種類のカメを始め 数千の渡り鳥にとって 数少ない生息地なんです しかし 漁業はこんな問題を引き起こしています そしてガリアルのような川の生き物たちが 網にかかっても溺れ死なないと 不品行な漁師達の中には 口を切ってしまうやからもいるんです ハラジロカマイルカは 頭数も少なくなっており 絶滅が危惧されています
次の被害者はだれ?私達? 私達は水資源に頼って生きているではないですか ナルマダー川は皆さん知っていますね ダム構想・一大計画の引き起こした悲劇が 住民の立ち退きを余儀なくし 水資源を破壊しました もう住むことは出来ません 成長指数を二けたに引き上げようとすれば 開発というものは狂ってしまうものなんですね この物語がどこに行き着くかは分かりません ハッピーエンディングでしょうか? 気候変動というものは 理論や予測を覆してしまうでしょうね これには今も懸命に取り組んでいます 私達はこの分野の人材にも恵まれています
実は権力を持った意志決定者は デリーといった都市部で 豪邸に暮らしており 水に困っていないんです それは良いことですが しかし川の周辺地域では何百万もの 人々が困窮状態にあるのです 彼らの将来は暗いものです そこでガンジス川・ヤムナ川の清掃計画を立ち上げました この計画に何億ドルもの資金を投入してきました でも結果をお示しできません 政治的意志も話題にあがります ガリアルの大量死に際して多くの方を喚起してきました 政府が面倒な手続きを省いてくれたので 海外から獣医を招集できました つまり 変えることが出来るんです しかしヤムナ川 ラクナウにあるゴマチ川 チェンナイにあるアディラ川 プネーのムラムタ川を見ればわたしたちが 河に対してできることが分かります 悲しいです
しかし最終的には私達には 変化を起こす力があるんです 企業 芸術家 環境保全狂 善良な周辺住民と協力すれば 昔の川を取り戻すことが可能なんです 最後にお伝えしたいのは キングコブラは私達の活躍を見守っているということです ガリアルも川から見守ってくれています 力強い川のトーテムなんです 正しいことをするまでは夢の中で付きまとってくるでしょう ナマスカール(ありがとうございました)
クリス:ありがとうございました 大抵の人はヘビに恐怖感を持っていますよね 世界で最後のキングコブラが死んでも 喜ぶひとはここにもかなりいると思いますが こんな話もしたりするんですか? どうやって共感を得ているんですか?
ロミュラス:私は そうですね まぁ控えめな アプローチをしています 「ヘビに抱きつこう」とは言いませんよ テディベアではありませんからね でも彼らにも無邪気なところはあるんです キングコブラが「シュー」と言えば 大抵の人は「おいおい こいつ キレちゃってるよ」とか言うでしょう 私からすればヘビが人類という危険な 動物に脅かされているという見方なんです これは本当なので ご理解いただければと思います
クリス:ヘビが食べられるシーンはすごかったですね ああいった映像は世界初なんですよね
ロミュラス:はい 私達も今回初めて遭遇したんです 先ほど言ったとおり おやつみたいでしょ? 普通はラットスネークとか大型のものや コブラを食らうこともあるんです でも今追跡しているこいつは森深くに生息していますが キングコブラはよく街中の 農園などでラットスネークを探しに 出てきたところを目撃されます こいつはクサリヘビ専門らしいですが 私達の中にマハラシトラ出身のやつがいて あいつは「'ナシャ'を求めてるんだ」とか言ってますよ (笑) 'ナシャ'とは'陶酔状態'という意味です こいつはクサリヘビを食べる度に発疹がでるんです 。
クリス:ありがとう
インドガリアルとキングコブラはインドの象徴ともいえる爬虫類ですが、水質汚汚濁のために存亡が危ぶまれています。環境保護者のロミュラスウィトカーがこの素晴らしい動物たちの貴重な映像をお見せして、彼らのそして私達の生活を支えている川の保全を訴えます。 ( translated by Takahiro Shimpo , reviewed by Masaki Yanagishita ) 』
インドガリアルとキングコブラはインドの象徴ともいえる爬虫類ですが、インドでは自然環境破壊、河川の水質汚染が進んでいると言う蛇から警告と思います。蛇は日本でも水の綺麗なところに生息し、良いお米の取れる水田地域であると昔から言われています。蛇は、水神様のお仕えです。
みずは生命の源です。本日は、偶然辛巳の日です。
キングコブラ - Wikipedia
ja.wikipedia.org/wiki/キングコブラ
興奮したり外敵を威嚇したりする際には鎌首をもたげて頚部を広げるが、フードコブラ属 のように甚だしく広げることはない。なお、他のコブラはこの威嚇の姿勢をとっている間は 移動できなくなるが、キングコブラは威嚇したままでも移動できるのでこの姿勢を...
分布-形態-毒-生態
キングコブラ
曖昧さ回避 この項目では、コブラ科の構成種について説明しています。その他の用法については「キングコブラ (曖昧さ回避)」をご覧ください。
キングコブラ
King Cobra 045.jpg
キングコブラ Ophiophagus hannah
保全状況評価
ワシントン条約附属書II
分類
界 : 動物界 Animalia
門 : 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 : 爬虫綱 Reptilia
目 : 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
科 : コブラ科 Elapidae
属 : キングコブラ属 Ophiophagus
Günther, 1864
種 : キングコブラ O. hannah
学名
Ophiophagus hannah
(Cantor, 1836)
和名
キングコブラ
英名
King cobra
赤で示した地域に分布する
赤で示した地域に分布する
キングコブラ(Ophiophagus hannah)は、動物界脊索動物門爬虫綱有鱗目コブラ科に分類されるヘビ。本種のみでキングコブラ属を形成する。
日本では「特定動物」に指定されている。
目次
1 分布
2 形態
2.1 毒
3 生態
4 世界最大の毒蛇
5 人間との関係
6 天敵
7 参考文献
8 関連項目
9 外部リンク
分布
インド東部、インドネシア、カンボジア、タイ、中国南部、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス
形態
雄のキングコブラ
成体の平均的な全長は3mほどで、大型の成体が最大限に鎌首をもたげた場合には、大人の胸元に迫る高さに達する。興奮したり外敵を威嚇したりする際には鎌首をもたげて頚部を広げるが、フードコブラ属のように甚だしく広げることはない。なお、他のコブラはこの威嚇の姿勢をとっている間は移動できなくなるが、キングコブラは威嚇したままでも移動できるのでこの姿勢を保持して近付いて来ることもある。ただし元々移動速度は速くはなく(蛇としては標準的だが)、威嚇姿勢では通常姿勢より遅くなるので落ち着いて立ち去れば噛まれる心配は無い(人間の側がむやみに刺激しなければ、通常はキングコブラの側から去っていく)。
体色は暗緑色や暗褐色で、濃褐色もしくは淡黄色の不鮮明な横縞が入り、いずれの体色のものも腹部は比較的明るい黄褐色である。虹彩は暗い金褐色で、瞳は丸い。体色は暗緑色及び黒色の系統のものと、暗褐色及び暗橙色の系統のものに大きく分かれている。インドコブラやタイコブラのような特徴的な頸部の紋様はない。幼体は全身が黒く、横縞が明瞭である。ただし、成体でも頭部だけが暗緑色で、ほぼ全身が黒い配色の個体も存在する。
毒
毒は神経毒で、毒自体の強さは他のコブラ科のほうが強いが、毒腺が大きいため、一咬みで注入される毒量は、他のコブラとは比較にならないほど多い。そのため、現地では「象をも倒す」「咬まれたら、まず助からない」と言われている。
生態
インド亜大陸の東部からインドシナ半島、インドネシアにかけての山地の森林に生息する。
食性は動物食で、他の種類のヘビを主に食べ、その他にトカゲ等の爬虫類を主に食べる。飼育下ではマウスを食べた記録もある。属名Ophiophagusは、「蛇を食べるもの」の意。英名の"キング”も、他のヘビを食べることから、ヘビの王様と考えられたことに由来する。
繁殖形態は卵生で、枯葉を集めた巣に20-51個の卵を産む。卵は60-80日程で孵化する。メスは卵に枯葉をかぶせて保温し、巣の周りにとぐろを巻いて孵化するまで卵を保護する。この様な習性を持つヘビは、キングコブラしか知られていない。
抱卵時のメスは巣に近づく者を激しく威嚇して容赦なく攻撃する。
世界最大の毒蛇
これまでに捕獲された個体の記録には全長400cmを超えるものが何例かある。明確な学術的記録が残されているものとしては、1951年にシンガポールで捕獲された、全長475cm、体重12kgの個体や、ニューヨーク動物園にて飼育されており1973年2月に死亡した、全長440cm 体重12.7 kg の個体がある。
その他、1937年にマレーシアで捕獲された個体で全長554cm、1924年、タイ南部で捕殺された個体で全長559cmという記録があり、これらは確認された現生の毒蛇としては世界最大である。
人間との関係
山地の森林に生息している為、インドコブラなどに比べれば人との接触は多くはないが、山間部にある村や人家には、餌となるヘビが鼠等を追って侵入するのを更に追う形で出没することもある。タイ王国ではキングコブラは「神聖な動物」として無闇に殺すことが戒められているため、キングコブラが頻繁に出没する地域では、屋内に侵入した個体を傷つけずに捕獲して人里離れた場所へ放す専門の職業が存在している。
基本的には温和な性格であるために飼育下や研究下で人への咬傷例は少ないが、パスツール研究所で研究員が餌をやろうとした際に指を咬まれた事例がある。幸い他の研究員たちの適切な処置によって一命を取り留めたが、実に1リットルもの抗毒血清を使ったという。
日本で飼育実績のある施設は、ジャパンスネークセンター、恩賜上野動物園両生爬虫類館(2007年9月17日死亡)体感型動物園iZooである。
天敵
クジャクは神経毒に耐性があるため、コブラにとっては天敵(サソリも同様)である。ここから転じてインドで誕生した仏教では邪気(毒)を払う象徴として孔雀明王の信仰が存在する。
参考文献
クリス・マティソン 『ヘビ大図鑑』、緑書房、2000年、181頁。
『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、131頁。
『小学館の図鑑NEO 両生類はちゅう類』、小学館、2004年、131頁。
山田和久 『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、107頁。