大晦日の行事も私達がこの寺(岩手一関市常堅寺)に来て10年で、すっかり定着しました。
それまで、大晦日といえど除夜の鐘をつくこともなく、訪れる人もなかったようです。
ところが、この梵鐘はとても価値がある鐘ということがわかり、市の重文指定を受け、その後皆さんの協力もあり、老朽化の鐘楼堂を立て直すことができました。
除夜の鐘の行事を復活させたことが、由緒ある梵鐘に光を当てたことになるでしょう。
午前0時のカウントダウン花火を上げたり、かがり火をたいたり、記念品を差し上げたりした努力?がこの数年、100人ほどの参詣になりました。
定着したことと言えば、
皆さんの暖をとるためにたき火を用意すること、
そして、除夜の鐘をついてもらったら、本堂に上がって頂き、皆さんのお名前を読み上げ、健康と家内安全を祈り元旦のご祈祷をすることです。
そして、そのあとは新年抽選会。
阿弥陀くじや福引はもともとお寺から始まった行事だとか、
そんなことから、新年一番の福引抽選会を本堂で開催するのです。
約100人の参詣者の中で3人だけですが、当たった人は嬉しいでしょう。
何と言っても、年の初めのお寺でのことですから、何か良いことがある希望の年になることとおもいます。
それから、もう一つ大切で定着した行事が合格御守りの授与です。
もう、3年前からになりますが、ある檀家さんのアイディアで、電車の滑り止めの砂を受験生のお守りにしてみました。
電車は秋になると、ゆるやかな坂を登る時、落ち葉で車輪がスリップします。その防止の為、専用の砂を撒くのだそうです。
そして、ある方の協力によりこの砂を入手し、小袋に入れ合格祈願と記入し祈祷し、大晦日に訪れた受験生に授与します。絶対スベラナイ受験お守りとして。
以前から受験生らしき学生たちが祈祷に参加していましたが、この御守りができたおかげで、「受験生いらっしゃい」と声を大きくして参詣を呼びかけることができます。
地元紙に掲載されたこともあり、遠くから家族で来る人もいるほど。
そして私が学生に授与する時、必ず話すことは”この御守りを手にして落ちた人はいませんから”・・と言って手渡します。
15歳で生まれて初めて臨む人生の大きなヤマ。受験。
お寺やお守りが勇気や自信、安心、大丈夫という気構え、そんな役に立ってもらえるならとても良いことです。
そして、人間のチカラを超えた大きな偉大な何かが、自分を見守ってくれる事に気付いてもらえれば、と思います。