08月29日 09:24
数日前から少し風邪気味でだるいとクリニックを受診した40代男性は、見るからに調子が悪そうでした。話を聞くと、だるさは実は1カ月前からあり、一向に良くならないが、我慢できないことはないのでそのままにしていたそうです。血液検査の結果、ひどい肝機能障害があることが分かったため専門病院へ紹介、緊急入院となりました。病気になるのに平日か休日かを選ぶことはできませんが、緊急入院するのが平日か休日かによって死亡率に差があることがこれまでの研究で分かっています。最近、英国で報告された研究でも、緊急入院が土日や祝日では、平日に比べ1カ月以内の死亡率が高いという結果でした。原因として、休日はスタッフの人数が少なく、検査や治療の準備などが不十分だからではないかとこれまで考えられていましたが、これを裏付ける根拠はありませんでした。そこで英国の研究ではスタッフの仕事量が平日と休日で違いがあるかを調べました。その結果、休日だからスタッフの仕事量が多いわけではありませんでした。つまり、原因が病院側にあるわけではなさそうです。 この研究ではまた、患者さんの血液検査の結果を平日と休日で比較しています。その結果、土日と祝日は平日よりも悪く、とくに日曜日と祝日は平日よりかなり悪い状態でした。死亡率の違いは、患者さんの状態が平日と休日では大きく異なることが影響していると考えられます。
これにはいろいろなことが考えられます。若い人では平日は仕事などで忙しく、症状があっても休めばよくなると思って週末を迎えたものの、やはりよくならないで受診することもあるでしょう。家族と同居する高齢者では、平日は家族が忙しく、休日になって初めて体調変化に気付いてもらえるかもしれません。いずれにしても、休日に受診するのは、平日よりも切羽詰まった状況の人が多く、そのことが死亡率の悪化につながっている可能性があります。体調不良を自覚している人は、我慢せず早めに受診することが大切です。もちろん、休日に体調が悪くなった場合も同様です。ただし、風邪のような明らかに緊急性のない病気で休日に救急外来を受診するのは控えるべきです。緊急性があるかどうか分からないときは、救急外来に行く前に地域の救急相談センターに電話で相談すると良いでしょう。ネットが使える人は総務省消防庁の「全国版救急受診アプリ」も便利です。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)
休日は、ベテランの専門医の当直が、少ないのではありませんか。