年末のこの時期になると巷ではベートーヴェンの「第九」を合唱するのが恒例行事になっていますが、同じベートーヴェンの合唱曲でも「ミサ・ソレムニス」を耳にする機会は多くありません。「第九」と違って全編が合唱ということ、そして80分に及ぼうかという長大なボリュームが演奏機会を制限しているのかもしれませんが、内容的には「第九」に引けを取らない大傑作と言えます。「ミサ・ソレムニス」とは元来カトリック教会のミサの一種で、ベートーヴェンのこの曲も歌詞をはじめ形式的には教会の典礼に則っていますが、そこで繰り広げられる荘厳な音世界はベートーヴェンならではです。
曲はまずゆったりしたテンポの「キリエ」で始まります。続く2曲目「グロリア」は18分を超す大曲で、序盤に爆発的なコーラスで始まった後、中間部を経て終盤に空前の盛り上がりを見せます。3曲目「クレド」も20分超のボリュームで同じく終盤のコーラスが圧巻です。4曲目「サンクトゥス」はいわゆる緩徐楽章で地味ながらも美しい曲。途中で挟まれる独奏バイオリンの哀愁に満ちた旋律が胸にしみます。5曲目「アニュス・デイ」はこの大曲のフィナーレを飾る曲ですが、意外に静かで厳かに幕を閉じます。もともと教会音楽なのでコンサートのように拍手万雷なんてことは想定していないのでしょう。CDはカラヤン、ベーム、ショルティなども出回っていますが、私が買ったのはオットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のものです。1965年の録音ですが、未だにこの曲のスタンダードとされている名盤です。
曲はまずゆったりしたテンポの「キリエ」で始まります。続く2曲目「グロリア」は18分を超す大曲で、序盤に爆発的なコーラスで始まった後、中間部を経て終盤に空前の盛り上がりを見せます。3曲目「クレド」も20分超のボリュームで同じく終盤のコーラスが圧巻です。4曲目「サンクトゥス」はいわゆる緩徐楽章で地味ながらも美しい曲。途中で挟まれる独奏バイオリンの哀愁に満ちた旋律が胸にしみます。5曲目「アニュス・デイ」はこの大曲のフィナーレを飾る曲ですが、意外に静かで厳かに幕を閉じます。もともと教会音楽なのでコンサートのように拍手万雷なんてことは想定していないのでしょう。CDはカラヤン、ベーム、ショルティなども出回っていますが、私が買ったのはオットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のものです。1965年の録音ですが、未だにこの曲のスタンダードとされている名盤です。