今日も宗教音楽でイタリアの作曲家ロッシーニの「スターバト・マーテル」を取り上げます。これまで同名の曲はドヴォルザーク、プーランクでも取り上げましたが、我が子イエス・キリストの死を嘆く聖母マリアの悲しみを歌にしたカトリックの聖歌のことです。歌詞はあらかじめ定められているのですが、メロディは作曲家の自由と言うことで、各人の個性がいかんなく発揮されます。ロッシーニは言うまでもなく音楽史上に冠たる大オペラ作家でしたので、さながらオペラを思わせる魅惑的な旋律に溢れています。全部で10曲ありますが、いかにも宗教音楽らしいのは冒頭の「哀しみの聖母はたたずみ」、4曲目「人々の罪のために」、5曲目「愛の泉である聖母よ」、9曲目「肉体は死んで朽ちはてるとも」ぐらいで、後は歌詞を見なければオペラのアリアと言われても何の違和感もない歌心たっぷりのメロディに溢れています。でも、それらの曲が何とも魅力的です。2曲目の悦楽的なテノール独唱「悲しみに沈むその魂を」、続く美しいソプラノ二重唱「だれが涙を流さない者があろうか」、6曲目のイタリア民謡を思わせる素朴な四重唱「おお聖母よ」、ソプラノ独唱で静かに歌い上げる7曲目「キリストの死に思いをめぐらしたまえ」、ドラマチックな構成で終盤のソプラノの絶叫が鳥肌ものの8曲目「さばきの日にわれを守りたまえ」、フィナーレは「アーメン、とこしえにわたり」の歌詞を延々と繰り返しながら最後はオーケストラと一体となって感動のクライマックスを迎えます。
CDは韓国の世界的指揮者チョン・ミュンフンが天下のウィーン・フィルを振ったものです。数多くの名指揮者がこの曲を録音していますが、その中でも名盤の誉れが高いようです。上述のとおりオペラ的要素も強いので歌手も重要で、本盤ではリューバ・オルゴナソーバとチェチーリア・バルトリがソプラノ、ラウール・ヒメネスがテノール、ロベルト・スカンディウッツィがバリトンでそれぞれ熱唱を聞かせてくれます。宗教音楽と言うとどうしても堅苦しいイメージですが、この曲はある意味不謹慎と言ってもいいぐらい盛り上がる曲ばかりですので、敷居の高さから敬遠している人でも楽しめる内容だと思います。
CDは韓国の世界的指揮者チョン・ミュンフンが天下のウィーン・フィルを振ったものです。数多くの名指揮者がこの曲を録音していますが、その中でも名盤の誉れが高いようです。上述のとおりオペラ的要素も強いので歌手も重要で、本盤ではリューバ・オルゴナソーバとチェチーリア・バルトリがソプラノ、ラウール・ヒメネスがテノール、ロベルト・スカンディウッツィがバリトンでそれぞれ熱唱を聞かせてくれます。宗教音楽と言うとどうしても堅苦しいイメージですが、この曲はある意味不謹慎と言ってもいいぐらい盛り上がる曲ばかりですので、敷居の高さから敬遠している人でも楽しめる内容だと思います。