今日も声楽曲を取り上げますが、宗教音楽ではなく世俗の歌、いわゆる“歌曲”というものを取り上げます。この分野ではシューベルトやシューマンがつとに有名ですが、正直私にとっては未開拓の分野で敷居が高く感じます。その点、同じ歌曲でもリヒャルト・シュトラウスの「4つの最後の歌」や今日取り上げるマーラーの歌曲集なんかはオーケストラの伴奏付きなのでまだ取っつきやすいですね。特にマーラーは自作の交響曲にも一部を引用したりしていますので、聴いたことのある旋律もちらほらあります。
今日ご紹介するのはマーラー演奏の大家として知られるエリアフ・インバルがメゾ・ソプラノのドリス・ゾッフェルを歌手に迎え、ウィーン交響楽団を指揮して録音したものです。マーラーの歌曲の中でも代表的な「亡き子をしのぶ歌」「リュッケルトの詩による5つの歌曲」「さすらう若人の歌」が収録されています。前半の2つはドイツの高名な詩人であるフリードリヒ・リュッケルトの詩に曲をつけたもので、特に詩人が我が子の死を悲しんで作られた「亡き子をしのぶ歌」が有名です。歌詞はもちろん悲痛な内容ですし、曲調もそれにあわせて全体的に暗めですが、その中にハッとした美しさを感じさせるあたりがさすがマーラーといったところでしょうか。一方、「さすらう若人の歌」はもっと明るく親しみやすい内容。とりわけ第2曲「朝の野を歩けば」は心が浮き立つようなチャーミングな曲で、マーラーもよほど気に入ったのか交響曲第1番第1楽章にメロディがそっくりそのまま転用されました。他ではオーケストレーションがダイナミックな第3曲「僕の胸の中には燃える剣が」、幻想的な旋律で静かにフィナーレを迎える「恋人の青い瞳」もおススメです。
今日ご紹介するのはマーラー演奏の大家として知られるエリアフ・インバルがメゾ・ソプラノのドリス・ゾッフェルを歌手に迎え、ウィーン交響楽団を指揮して録音したものです。マーラーの歌曲の中でも代表的な「亡き子をしのぶ歌」「リュッケルトの詩による5つの歌曲」「さすらう若人の歌」が収録されています。前半の2つはドイツの高名な詩人であるフリードリヒ・リュッケルトの詩に曲をつけたもので、特に詩人が我が子の死を悲しんで作られた「亡き子をしのぶ歌」が有名です。歌詞はもちろん悲痛な内容ですし、曲調もそれにあわせて全体的に暗めですが、その中にハッとした美しさを感じさせるあたりがさすがマーラーといったところでしょうか。一方、「さすらう若人の歌」はもっと明るく親しみやすい内容。とりわけ第2曲「朝の野を歩けば」は心が浮き立つようなチャーミングな曲で、マーラーもよほど気に入ったのか交響曲第1番第1楽章にメロディがそっくりそのまま転用されました。他ではオーケストレーションがダイナミックな第3曲「僕の胸の中には燃える剣が」、幻想的な旋律で静かにフィナーレを迎える「恋人の青い瞳」もおススメです。