ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジジ・グライス&ドナルド・バード/ニュー・フォーミュラズ・フロム・ザ・ジャズ・ラブ

2015-10-30 19:04:53 | ジャズ(ハードバップ)

本日も「ジャズ・コレクション1000」シリーズからつい先日発売されたジジ・グライス&ドナルド・バードの“ジャズ・ラブ”の作品をご紹介します。ジャズ・ラブについては以前本ブログでもコロンビア盤をUPしましたが、ジジとバードによる双頭コンボです。活動期間は1957年の1年のみですが、その間に様々なレーベルに計6枚のアルバムを残しました。本盤はRCAに吹き込まれた1枚で、録音当時はお蔵入りになったものの1970年代になってレコード化された作品だそうです。メンバーはジジ(アルト)とバード(トランペット)のリーダー2人に加え、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)といずれもハードバップ・シーンを代表する名手ばかりが名を連ねています。



曲は全6曲。3曲目のレイ・ブライアント作“Splittin'”を除いて全てメンバーのオリジナル曲が占めています。以前のエントリーでも述べたようにジャズ・ラブのラブはLoveではなく実験室のLabのことですが、音楽そのものには実験的要素は全くなく、むしろ直球ど真ん中のハードバップ・チューンばかりです。1曲目のジジ作“Exhibit A”はブラウン=ローチ・クインテットの“Parisian Thoroughfare”を彷彿とさせるような明るくエネルギッシュなナンバー。2曲目の“Capri”もジジ作で、アート・ファーマーとの「ホエン・ファーマー・メット・グライス」でも演奏されたジジの代表曲です。個人的にはバードの切れ味鋭いラッパが聴ける本作の方が高評価ですね。4曲目“Byrd In Hand”はバードが書いたミディアム・チューンで、やや哀調を帯びたメロディが印象的な隠れ名曲です。5曲目“Passade”“Ergo The Blues”はハンク・ジョーンズのオリジナルで、特にファンキーな後者が素晴らしいです。以上、曲良し演奏良しと文句なしの1枚ですが、長らくCD化されずに幻の名盤と化していただけに、今回の再発は嬉しい限りですね。

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