ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

プーランク/シンフォニエッタ&田園のコンセール

2019-02-21 22:18:57 | クラシック(管弦楽作品)

前回のヒンデミットに続き、本日も20世紀の作曲家であるフランシス・プーランクを取り上げたいと思います。プーランクについては過去にも当ブログでバレエ音楽「牝鹿」合唱曲「グローリア」を紹介しましたが、現代の作曲家では異端と言えるほど古典的で明快な作風を持ち味にしています。それでいて単にハイドンやモーツァルトの真似事に終わるのではなく、ドビュッシー等の近代フランス音楽のエッセンスも取り込んで洗練された楽曲に仕立てあげているところが素晴らしいですね。本日紹介する「シンフォニエッタ」「田園のコンセール」もまさにその好例といってもよい作品です。CDはシャルル・デュトワ指揮フランス国立管弦楽団のもので、こちらには上記2曲の他に「フランス組曲」と「牝鹿」も収録されていますが、前者は1~2分程度の短い曲ばかりを集めた小品、後者は以前のブログで解説していますので割愛します。



まずは「シンフォニエッタ」から。この曲が書かれたのは第二次大戦直後の1947年ですが、そんな時代背景からは想像もつかないくらい軽妙で明るい曲です。きびきびした序奏から一転して優美な旋律が現れる第1楽章、跳ねるようなスケルツォの第2楽章、穏やかなアンダンテ・カンタービレの第3楽章、疾走感あふれる導入部に引き続いて次々と魅惑の旋律が現れる第4楽章。どこを切り取っても親しみやすい旋律ばかりで、なおかつおフランス的な上品さも感じられます。

「田園のコンセール」はチェンバロを主楽器とした協奏曲形式の作品。チェンバロはバロック時代に鍵盤楽器として最もポピュラーだったもので、バッハによる一連のチェンバロ協奏曲群が有名です。ただ18世紀にピアノが発明されると徐々にそちらに取って代わられ、ロマン派の時代にはすっかり過去の遺物になっていました。にもかかわらずあえてピアノではなくチェンバロのために曲を書いたのが古典志向の強いプーランクならではです。とは言え、20世紀の作品ですので随所に現代的な旋律も挟み込まれており、いかにもバロック的なチェンバロの響きと複雑なオーケストラサウンドが組み合わさったユニークな曲です。もちろんこの曲でもプーランクの稀代のメロディメーカーぶりは存分に発揮されており、第2楽章アンダンテの優美な旋律と第3楽章の壮麗なフィナーレが特に素晴らしいです。

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