10月で廃止された元市営バスの路線を記録(一部のみ)しておくシリーズ、そろそろ終わりそうです。※前回は泉山王環状線
今回は、廃止→同名の新路線開設、すなわち実質的に経路変更された「卸町経由新屋線」について。「茨島牛島環状線」が再編された「茨島環状線(茨島卸町環状線とでも呼ぶべきか)」のことも少々。
そもそも「新屋線」は、秋田駅西口と新屋駅前の西部市民サービスセンター(バスの新屋案内所併設、バス停名は西部サービスセンター)を、茨島・秋田大橋・美術大学前経由で結ぶ路線。
もともとは、駅-通町-大町-旭南-茨島-秋田大橋-新屋の経路だけで、後から追加で登場したのが、大町や旭南を通らない卸町経由。それ以降、従来からの経路は「大町経由」として区別されるようになった(単に「新屋線」と言えば、大町経由と認識することも多い)。
9月までの旧・卸町経由は、駅-北都銀行前-有楽町-イオン秋田中央店前-卸センター-茨島…と運行するもの。
卸町経由と大町経由が合流(=卸町経由が広義の新国道である県道56号線に出る)するのは、ハローワーク秋田入口の交差点。バス停では「茨島三丁目」以降が共通。1つ手前(駅寄り)の「ハローワーク前」は、大町経由と卸町経由で別の位置にあった(関連記事)。
大町経由は、通町へ迂回するよう立ち寄ったり、旭南で一方通行の狭い道を通ったり、回りくどいと感じるルート。自家用車やタクシーで秋田駅と新屋を行き来する場合なら、まず通らない道だろう。卸町経由のほうが、幹線道路を直線的に走って、合理的に思える。
新屋線は、戦前に運行が始まった秋田市最古のバス路線の1つ。
運行開始当初は、そこしか道路がなかったのだろうし、卸町のほうは道路が未整備どころか一面が荒れ地か田んぼだったはず。また、通町から大町には多くの商店があり、その買い物の足となるべく、立ち寄る必要があったのだろう。
今も、買い物やバス相互の乗り換え(駅だと運賃も時間も無駄)で、通町を通る需要は皆無ではない。
実際には、走行距離では大町経由より旧・卸町経由のほうが200メートルくらい短いだけ。所要時間では卸町経由のほうが5分前後短いものの、両経由とも秋田市有数の渋滞地点を通過するため、絶対的に卸町経由が優位というわけでもない。同じバス停間の運賃は、両経由で同額。
卸町経由の運行開始時期は分からないが、1988(昭和63)年の時点で既に、平日(当時は週休二日制一般化前なので土曜も含む)限定ながら3~5本が運行されていた。近年と比べて、朝早くと夕方に重きをおいたダイヤで、朝は美工専前(※)始発秋田駅行きというのもあった。市営バス時代は「卸センター経由」と呼ばれることもあったが、最近はあまり聞かない。
※当時のバス停名は「美工専入口」だったはずだが、資料では「~前」になっている。位置は現在の「美術大学前」とほぼ同じはず。(関連記事)当時は、大町経由でも美工専始発ダイヤが設定されていた。この辺は後日。
しかし、1989年頃からは、朝と夕方に片道計1~2本が運行される程度に減便される。【26日追記・美工専発の卸町経由はなくなった】
ところが、1997年前後には、朝がなくなって昼間の運行が始まり片道計2~3本に微増。沿線に1995年に秋田サティが開店(現・イオン秋田中央店)したのも一因かもしれない。土日はまだなし。
その状態で2002年に中央交通へ移管。
2005年の時刻表では、平日は同じで、土日にも運行が始まっていた。たしか市営バスからの移管路線では、移管後3年間は移管時のダイヤを維持するという取り決めがあったらしいので、2005年から運行が始まったのかもしれない。
その後、わずかに増えて、近年は平日・土日とも片道4~5本の運行であった。
個人的には、大町経由も含めた新屋線が、茨島地区で県道56号線を進むのは、改善の余地があるように感じていた。
沿道には民家が少なく、特に道路西側はほぼすべてが工場。一方で、県道東側、羽越本線までの一帯(卸町南部や茨島東部)には民家が続き、そこを県道と同じ方向に貫く広い市道が開通している。
また、県道の歩道は除雪体制が充分とは言えず、特に工場側の上りバス停へは、雪をかき分けてバス停へたどり着かなければならないこともあった。
だったら、新屋線が県道ではなく東側の市道を走るようにして、住宅街により近いところにバス停を置くのも、ひとつの手ではないかと考え、秋田市のパブリックコメントなどで提案したことがあった。
※県道の茨島四丁目バス停前にある、イオンタウン茨島に新屋線で行き来する一定の利用もあり、県道にバスが不要というわけでもない。
それが効いたのかは分からないが、10月から、卸町経由が県道に代わって、雄物川の堤防に突き当たるまでその市道を走るようになった。
突き当たってから堤防沿いを走って、秋田大橋北詰の交差点で県道56号線に出る。バス停では、雄物川の対岸の「美術大学前」でやっと大町経由と合流する。
実際にはカーブがあるが、広小路西交差点/北都銀行本店前交差点から雄物川堤防まで、3キロ以上を一度も右左折せずまっすぐ走る。
地理院に加筆。茨島・卸町地区以外のバス停位置は省略
旧経路と新経路では、距離としては新経路のほうが100メートルほど長くなった。
しかし、丁字路や右折矢印信号が出る交差点で右折するようになったので、旧経路よりはスムーズに運行ができるのではないだろうか。
時刻表上の駅-新屋の所要時間は22分で、旧経路の下り24分・上り23分と比べてわずかに短縮。
【2018年9月22日追記】2年後2018年10月のダイヤ改正では、秋田駅→卸町→新屋の下りが27分に見直された。なお大町経由下りは28分。旧経路よりも時間がかかってしまうことになったが、遅れが常態化していたのだろうか。
変更区間のバス停は、
※「●」が運賃が変わる停留所。
旧経路では1.7キロに6停留所、新経路では1.8キロに3停留所なので、半減してしまった。
特に雄物川茨島側にいちばん近いバス停「茨島七丁目」で、大町経由の「秋田大橋前」に相当するバス停がないのはいかがなものか。
車の流れ、カーブや縁石など道路形状の制約、片側が堤防で横断歩道が少ないなど、条件が厳しいのかもしれないが、堤防沿い付近にもう1つバス停があってもよさそう。旧経路では、下りの「三菱マテリアル前」と「秋田大橋前」など近すぎる(秋田大橋架け替え時に移動)ところもあるけど。
それと、県道の秋田駅行き側では、屋根付き待合所が設置されているところがある(沿道の工場など企業が設置したものもある。ただ窓が小さくて見通しが悪く、待つ客も通る運転士も気を使う)が、新設区間には当然ない。その代わり、除雪体制は良いでしょうけど。
秋田駅からの運賃では、大町経由・旧卸町経由では茨島三丁目まで290円、秋田大橋まで330円。
新しい卸町経由では卸町五丁目まで250円、茨島七丁目まで280円。
次は対岸の美大前で370円なので、間に橋があるとはいえ、新・卸町経由では一気に90円上がる。なお、1区間手前の卸センター前までは230円。
旧経路当時の卸町経由秋田駅行きが、茨島三丁目を発車して卸町へ右折する場面を、歩道橋から撮影した。
茨島三丁目発車直後に車線変更が必要。この時は後ろの軽自動車が入れてくれた
中央車線を走り
ハローワーク入口の交差点で右折
この交差点、右折専用レーンがなく時差式信号ではない。ハローワーク側へ出入りする車もちょこちょこして、ごちゃごちゃしている。【26日追記】ここを避けただけでも、新経路にした意味があるのかもしれない。新経路の秋田大橋北の交差点は、方向別レーンや右折矢印がある。
運行本数は、9月までと変わらず平日下り5本・上り4本、土日下り3本・上り4本。
運行時間帯もおおむね変わらないが、土日の上り新屋発15時15分は13時40分に繰り上がった。(15時台は代替措置がなく、大町経由が減便された形)
改正前の土日15時15分発には、イオン秋田中央店前から、買い物帰りなのか秋田駅方面へ行く若者や高齢者の利用が一定数あった。場合によって異なるが、10人以上が乗り込む日もあった。
改正後は、この先同経路の柳原(卸センター入口)経由御野場団地発を含めても、改正前から運行されている14時台と16時台だけになってしまった。これでいいのだろうか…【26日追記】しかも、改正後のイオン秋田中央店前の時刻では、卸町経由新屋線が13時52分、御野場団地線が14時12分と20分間隔であり、その次は16時までない。新屋線を15時台に残しておいたほうが良かったのではないか。【この後、2017年には大住団地線が旧道経由から卸センター入口経由に変更され、イオン秋田中央店前を通るバスは大幅に増えた。この点では問題は解消された】
経路変更後の卸町経由が新規区間を走っているのを、3度ほど、見たり乗ったりした。
新規区間の前後を乗り通す客のほうが多いのは従来と変わらないので、乗車率は同じ。
新規区間で乗降する人も少なからずおり、「卸町四丁目」では3度とも利用があった。
「卸町四丁目」は、旧経路の「茨島東町」とは道のりで350メートル、大町経由で最寄りとなる「ハローワーク前」とは700メートルは離れている。【26日追記】継続している1つ駅寄りの「卸センター前」とは250メートルほど。
卸町四丁目を利用する方々にしてみれば、「経路が変わってバス停が近くなって、しかも運賃は40円も安くなって便利になった」と思っているのか、「経路が変わってバス停が遠くなったけど、仕方なく使っている」のかは分からないけれど…
※したがって、ハローワーク秋田へ行く人は、新しい卸町経由は利用しないほうが無難ですが、どうしても乗るのなら、「卸センター前」で降りて歩くことになる。
【26日追記】旧経路時代は、卸センター前や茨島東町での乗降が比較的あったように記憶している。その人たちが卸町四丁目へシフトしたのか?
それと、上記の通り、秋田大橋から「茨島七丁目」の間が長いことを実際に乗って実感。沿道に家は多くあるのに、こんなに長い間隔でバス停がないのかともったいなく感じた。【2018年7月24日追記】雄物川の堤防付近では、道路の角度が何度か変わるのと、堤防が高くて川や対岸が見えないため、地理感覚が狂うというか、未知の土地を走っているかのような不思議な感覚になる。
卸町五丁目は秋田銀行と北都銀行が向かい合う所。特に秋銀は車の出入りが激しい
秋銀側の秋田駅方面行き
卸町経由で新設されたバス停のポールは、頭でっかちで低いタイプ。同時に設置された泉八橋環状線のイサノ1・2丁目と同じではあるが、こちらは丁目は漢数字。※秋田市の地名としては、いずれも漢数字が正当。
↑新タイプの表示板には、ネジ穴が2通り開いており、旧タイプの棒に取り付けることもできる構造らしい。
※その後、2018年に卸町四丁目の下り側だけ、頭でっかちでないタイプであることに気付いた(この記事後半)。当初からそうだったのか、後から交換されたのかは不明。
もう1つの廃止・再編路線、茨島牛島環状線について少々。
秋田駅西口から大町経由新屋線と同経路で秋田大橋まで進み、東方向の羽越本線沿いの牛島地区へ抜け、国道13号線をくぐって牛島経由各路線に合流して牛島東一丁目-牛島橋-有楽町を経て秋田駅へ戻っていた路線が廃止された。
代替路線は、秋田大橋付近までは旧環状線と同じで、牛島へは行かず、新しい卸町経由新屋線と同じ卸町の市道へ出て、まっすぐ駅へ戻るという、ヘアピン状の環状線となった。
ただし雄物川堤防付近では、新・卸町経由とは経路が異なり、「茨島七丁目」は通らずに、旧環状線のルートを使い、三皇神社(三皇熊野神社本宮)、変電所前まで行って線路際で取って返し、卸町五丁目から合流。
どこか不自然なルートなのは、スクールバス的な性格があるためだと思われる。
先に回る地名を取って、「大町回り」と「茨島回り」が運行されているが、「茨島回り」は直感的に分かりづらい。「卸町回り」とするべきではないだろうか。
旧・茨島牛島環状線の正面の行き先表示は、
(再掲)「茨島環状」。逆回りも同様
新しい環状線は、
系統番号変わらず「茨島環状線」
泉八橋環状線のほうもそうだけど、なぜか「線」も表示されるようになった。
夕方の大町回りの便は、旧環状線時代は元市営バスの車両やせいぜい小田急中古のノンステップバスが入ることが多かった印象だが、ダイヤ改正後は、上の写真のような新車のノンステップバスがよく充当されている。(最近は見ていないので不明)
運行開始から間もない頃、夕方の大町回りに、卸町五丁目から乗車する機会が1度だけあった。
どうせ遅れてくるだろうと思って待っていたけど、一向に来ない。不安になってきた頃、雄物川方向の先の道、つまり三皇神社手前を、バスが横切るのが見えた。
それから約5分(これだけでも時刻表より3分ほど長くかかった)。時刻表より10分以上遅れて到着。乗客は誰もいない。スクールバスの乗降に手間取って遅れ、全員降りた後だったのだろうか。
その後も誰も乗ってこず、やはりこの時も新しい車で、それを独占できたものの、複雑な心境で下車した。
【26日追記】イオン秋田中央店前から先は、9分後を柳原経由御野場団地線が続行するダイヤ。この時は環状線が遅れていたので、先行してしまっていたのだろう。
【27日追記】ちなみに、秋田駅から秋田大橋までは大町経由新屋線が30分間隔で走る、ちょうど中間に収まるダイヤ。そのため、買い物や学校帰りとおぼしき客がそれなりに乗車している(前後の新屋線ほど混雑せず、確実に座れる程度)ようで、この区間では新屋線を補完する役割を果たしていると言える。数年前は、新屋線の5分後に設定されていて、あまり機能していなかった。
【2017年7月14日追記】2017年7月に夕方の大町回りを2度確認したところ、イオン秋田中央店~秋田駅に戻る辺りで、10分弱の遅延が生じていた。
長くバスがなかった卸町南側~茨島東側付近に住む人たちは、自宅から路線バスを利用する習慣がなかったことだろう。現状の卸町経由のダイヤでは、通勤には使いづらいし、本数も多いとはいえない。今後、どうなっていくか。
【26日追記】今回の新設各路線は、新設とは名ばかりで、実態は「整理統合して合計運行本数を減らしたこと」に過ぎないものが多い(茨島環状線を含む)中、卸町経由新屋線だけは前向きさが感じられるもので、一定の評価はできそう。ただし、沿線の利用者がどうとらえるかが第一ですが。
一方、大町経由の元祖新屋線は、減便が徐々に進んでいる。乗客が少ないという理由なのだろうが、増やす努力はしているのだろうか。今後が心配になってくる。昔の新屋線の話題をいずれまた。あと、卸町経由廃止区間のバス停のポールのことも。
今回は、廃止→同名の新路線開設、すなわち実質的に経路変更された「卸町経由新屋線」について。「茨島牛島環状線」が再編された「茨島環状線(茨島卸町環状線とでも呼ぶべきか)」のことも少々。
そもそも「新屋線」は、秋田駅西口と新屋駅前の西部市民サービスセンター(バスの新屋案内所併設、バス停名は西部サービスセンター)を、茨島・秋田大橋・美術大学前経由で結ぶ路線。
もともとは、駅-通町-大町-旭南-茨島-秋田大橋-新屋の経路だけで、後から追加で登場したのが、大町や旭南を通らない卸町経由。それ以降、従来からの経路は「大町経由」として区別されるようになった(単に「新屋線」と言えば、大町経由と認識することも多い)。
9月までの旧・卸町経由は、駅-北都銀行前-有楽町-イオン秋田中央店前-卸センター-茨島…と運行するもの。
卸町経由と大町経由が合流(=卸町経由が広義の新国道である県道56号線に出る)するのは、ハローワーク秋田入口の交差点。バス停では「茨島三丁目」以降が共通。1つ手前(駅寄り)の「ハローワーク前」は、大町経由と卸町経由で別の位置にあった(関連記事)。
大町経由は、通町へ迂回するよう立ち寄ったり、旭南で一方通行の狭い道を通ったり、回りくどいと感じるルート。自家用車やタクシーで秋田駅と新屋を行き来する場合なら、まず通らない道だろう。卸町経由のほうが、幹線道路を直線的に走って、合理的に思える。
新屋線は、戦前に運行が始まった秋田市最古のバス路線の1つ。
運行開始当初は、そこしか道路がなかったのだろうし、卸町のほうは道路が未整備どころか一面が荒れ地か田んぼだったはず。また、通町から大町には多くの商店があり、その買い物の足となるべく、立ち寄る必要があったのだろう。
今も、買い物やバス相互の乗り換え(駅だと運賃も時間も無駄)で、通町を通る需要は皆無ではない。
実際には、走行距離では大町経由より旧・卸町経由のほうが200メートルくらい短いだけ。所要時間では卸町経由のほうが5分前後短いものの、両経由とも秋田市有数の渋滞地点を通過するため、絶対的に卸町経由が優位というわけでもない。同じバス停間の運賃は、両経由で同額。
卸町経由の運行開始時期は分からないが、1988(昭和63)年の時点で既に、平日(当時は週休二日制一般化前なので土曜も含む)限定ながら3~5本が運行されていた。近年と比べて、朝早くと夕方に重きをおいたダイヤで、朝は美工専前(※)始発秋田駅行きというのもあった。市営バス時代は「卸センター経由」と呼ばれることもあったが、最近はあまり聞かない。
※当時のバス停名は「美工専入口」だったはずだが、資料では「~前」になっている。位置は現在の「美術大学前」とほぼ同じはず。(関連記事)当時は、大町経由でも美工専始発ダイヤが設定されていた。この辺は後日。
しかし、1989年頃からは、朝と夕方に片道計1~2本が運行される程度に減便される。【26日追記・美工専発の卸町経由はなくなった】
ところが、1997年前後には、朝がなくなって昼間の運行が始まり片道計2~3本に微増。沿線に1995年に秋田サティが開店(現・イオン秋田中央店)したのも一因かもしれない。土日はまだなし。
その状態で2002年に中央交通へ移管。
2005年の時刻表では、平日は同じで、土日にも運行が始まっていた。たしか市営バスからの移管路線では、移管後3年間は移管時のダイヤを維持するという取り決めがあったらしいので、2005年から運行が始まったのかもしれない。
その後、わずかに増えて、近年は平日・土日とも片道4~5本の運行であった。
個人的には、大町経由も含めた新屋線が、茨島地区で県道56号線を進むのは、改善の余地があるように感じていた。
沿道には民家が少なく、特に道路西側はほぼすべてが工場。一方で、県道東側、羽越本線までの一帯(卸町南部や茨島東部)には民家が続き、そこを県道と同じ方向に貫く広い市道が開通している。
また、県道の歩道は除雪体制が充分とは言えず、特に工場側の上りバス停へは、雪をかき分けてバス停へたどり着かなければならないこともあった。
だったら、新屋線が県道ではなく東側の市道を走るようにして、住宅街により近いところにバス停を置くのも、ひとつの手ではないかと考え、秋田市のパブリックコメントなどで提案したことがあった。
※県道の茨島四丁目バス停前にある、イオンタウン茨島に新屋線で行き来する一定の利用もあり、県道にバスが不要というわけでもない。
それが効いたのかは分からないが、10月から、卸町経由が県道に代わって、雄物川の堤防に突き当たるまでその市道を走るようになった。
突き当たってから堤防沿いを走って、秋田大橋北詰の交差点で県道56号線に出る。バス停では、雄物川の対岸の「美術大学前」でやっと大町経由と合流する。
実際にはカーブがあるが、広小路西交差点/北都銀行本店前交差点から雄物川堤防まで、3キロ以上を一度も右左折せずまっすぐ走る。
地理院に加筆。茨島・卸町地区以外のバス停位置は省略
旧経路と新経路では、距離としては新経路のほうが100メートルほど長くなった。
しかし、丁字路や右折矢印信号が出る交差点で右折するようになったので、旧経路よりはスムーズに運行ができるのではないだろうか。
時刻表上の駅-新屋の所要時間は22分で、旧経路の下り24分・上り23分と比べてわずかに短縮。
【2018年9月22日追記】2年後2018年10月のダイヤ改正では、秋田駅→卸町→新屋の下りが27分に見直された。なお大町経由下りは28分。旧経路よりも時間がかかってしまうことになったが、遅れが常態化していたのだろうか。
変更区間のバス停は、
※「●」が運賃が変わる停留所。
旧経路 ●卸センター前-茨島東町-ハローワーク前(大町経由とは別の位置)-●茨島三丁目-茨島四丁目-三菱マテリアル前-●秋田大橋前-●美術大学前
新経路 ●卸センター前-卸町四丁目-●卸町五丁目-●茨島七丁目-●美術大学前
茨島東町とハローワーク前の2つのバス停が廃止され、これまでバスが通っていなかった区間に3つが新設された。新経路 ●卸センター前-卸町四丁目-●卸町五丁目-●茨島七丁目-●美術大学前
旧経路では1.7キロに6停留所、新経路では1.8キロに3停留所なので、半減してしまった。
特に雄物川茨島側にいちばん近いバス停「茨島七丁目」で、大町経由の「秋田大橋前」に相当するバス停がないのはいかがなものか。
車の流れ、カーブや縁石など道路形状の制約、片側が堤防で横断歩道が少ないなど、条件が厳しいのかもしれないが、堤防沿い付近にもう1つバス停があってもよさそう。旧経路では、下りの「三菱マテリアル前」と「秋田大橋前」など近すぎる(秋田大橋架け替え時に移動)ところもあるけど。
それと、県道の秋田駅行き側では、屋根付き待合所が設置されているところがある(沿道の工場など企業が設置したものもある。ただ窓が小さくて見通しが悪く、待つ客も通る運転士も気を使う)が、新設区間には当然ない。その代わり、除雪体制は良いでしょうけど。
秋田駅からの運賃では、大町経由・旧卸町経由では茨島三丁目まで290円、秋田大橋まで330円。
新しい卸町経由では卸町五丁目まで250円、茨島七丁目まで280円。
次は対岸の美大前で370円なので、間に橋があるとはいえ、新・卸町経由では一気に90円上がる。なお、1区間手前の卸センター前までは230円。
旧経路当時の卸町経由秋田駅行きが、茨島三丁目を発車して卸町へ右折する場面を、歩道橋から撮影した。
茨島三丁目発車直後に車線変更が必要。この時は後ろの軽自動車が入れてくれた
中央車線を走り
ハローワーク入口の交差点で右折
この交差点、右折専用レーンがなく時差式信号ではない。ハローワーク側へ出入りする車もちょこちょこして、ごちゃごちゃしている。【26日追記】ここを避けただけでも、新経路にした意味があるのかもしれない。新経路の秋田大橋北の交差点は、方向別レーンや右折矢印がある。
運行本数は、9月までと変わらず平日下り5本・上り4本、土日下り3本・上り4本。
運行時間帯もおおむね変わらないが、土日の上り新屋発15時15分は13時40分に繰り上がった。(15時台は代替措置がなく、大町経由が減便された形)
改正前の土日15時15分発には、イオン秋田中央店前から、買い物帰りなのか秋田駅方面へ行く若者や高齢者の利用が一定数あった。場合によって異なるが、10人以上が乗り込む日もあった。
改正後は、この先同経路の柳原(卸センター入口)経由御野場団地発を含めても、改正前から運行されている14時台と16時台だけになってしまった。これでいいのだろうか…【26日追記】しかも、改正後のイオン秋田中央店前の時刻では、卸町経由新屋線が13時52分、御野場団地線が14時12分と20分間隔であり、その次は16時までない。新屋線を15時台に残しておいたほうが良かったのではないか。【この後、2017年には大住団地線が旧道経由から卸センター入口経由に変更され、イオン秋田中央店前を通るバスは大幅に増えた。この点では問題は解消された】
経路変更後の卸町経由が新規区間を走っているのを、3度ほど、見たり乗ったりした。
新規区間の前後を乗り通す客のほうが多いのは従来と変わらないので、乗車率は同じ。
新規区間で乗降する人も少なからずおり、「卸町四丁目」では3度とも利用があった。
「卸町四丁目」は、旧経路の「茨島東町」とは道のりで350メートル、大町経由で最寄りとなる「ハローワーク前」とは700メートルは離れている。【26日追記】継続している1つ駅寄りの「卸センター前」とは250メートルほど。
卸町四丁目を利用する方々にしてみれば、「経路が変わってバス停が近くなって、しかも運賃は40円も安くなって便利になった」と思っているのか、「経路が変わってバス停が遠くなったけど、仕方なく使っている」のかは分からないけれど…
※したがって、ハローワーク秋田へ行く人は、新しい卸町経由は利用しないほうが無難ですが、どうしても乗るのなら、「卸センター前」で降りて歩くことになる。
【26日追記】旧経路時代は、卸センター前や茨島東町での乗降が比較的あったように記憶している。その人たちが卸町四丁目へシフトしたのか?
それと、上記の通り、秋田大橋から「茨島七丁目」の間が長いことを実際に乗って実感。沿道に家は多くあるのに、こんなに長い間隔でバス停がないのかともったいなく感じた。【2018年7月24日追記】雄物川の堤防付近では、道路の角度が何度か変わるのと、堤防が高くて川や対岸が見えないため、地理感覚が狂うというか、未知の土地を走っているかのような不思議な感覚になる。
卸町五丁目は秋田銀行と北都銀行が向かい合う所。特に秋銀は車の出入りが激しい
秋銀側の秋田駅方面行き
卸町経由で新設されたバス停のポールは、頭でっかちで低いタイプ。同時に設置された泉八橋環状線のイサノ1・2丁目と同じではあるが、こちらは丁目は漢数字。※秋田市の地名としては、いずれも漢数字が正当。
↑新タイプの表示板には、ネジ穴が2通り開いており、旧タイプの棒に取り付けることもできる構造らしい。
※その後、2018年に卸町四丁目の下り側だけ、頭でっかちでないタイプであることに気付いた(この記事後半)。当初からそうだったのか、後から交換されたのかは不明。
もう1つの廃止・再編路線、茨島牛島環状線について少々。
秋田駅西口から大町経由新屋線と同経路で秋田大橋まで進み、東方向の羽越本線沿いの牛島地区へ抜け、国道13号線をくぐって牛島経由各路線に合流して牛島東一丁目-牛島橋-有楽町を経て秋田駅へ戻っていた路線が廃止された。
代替路線は、秋田大橋付近までは旧環状線と同じで、牛島へは行かず、新しい卸町経由新屋線と同じ卸町の市道へ出て、まっすぐ駅へ戻るという、ヘアピン状の環状線となった。
ただし雄物川堤防付近では、新・卸町経由とは経路が異なり、「茨島七丁目」は通らずに、旧環状線のルートを使い、三皇神社(三皇熊野神社本宮)、変電所前まで行って線路際で取って返し、卸町五丁目から合流。
どこか不自然なルートなのは、スクールバス的な性格があるためだと思われる。
先に回る地名を取って、「大町回り」と「茨島回り」が運行されているが、「茨島回り」は直感的に分かりづらい。「卸町回り」とするべきではないだろうか。
旧・茨島牛島環状線の正面の行き先表示は、
(再掲)「茨島環状」。逆回りも同様
新しい環状線は、
系統番号変わらず「茨島環状線」
泉八橋環状線のほうもそうだけど、なぜか「線」も表示されるようになった。
夕方の大町回りの便は、旧環状線時代は元市営バスの車両やせいぜい小田急中古のノンステップバスが入ることが多かった印象だが、ダイヤ改正後は、上の写真のような新車のノンステップバスがよく充当されている。(最近は見ていないので不明)
運行開始から間もない頃、夕方の大町回りに、卸町五丁目から乗車する機会が1度だけあった。
どうせ遅れてくるだろうと思って待っていたけど、一向に来ない。不安になってきた頃、雄物川方向の先の道、つまり三皇神社手前を、バスが横切るのが見えた。
それから約5分(これだけでも時刻表より3分ほど長くかかった)。時刻表より10分以上遅れて到着。乗客は誰もいない。スクールバスの乗降に手間取って遅れ、全員降りた後だったのだろうか。
その後も誰も乗ってこず、やはりこの時も新しい車で、それを独占できたものの、複雑な心境で下車した。
【26日追記】イオン秋田中央店前から先は、9分後を柳原経由御野場団地線が続行するダイヤ。この時は環状線が遅れていたので、先行してしまっていたのだろう。
【27日追記】ちなみに、秋田駅から秋田大橋までは大町経由新屋線が30分間隔で走る、ちょうど中間に収まるダイヤ。そのため、買い物や学校帰りとおぼしき客がそれなりに乗車している(前後の新屋線ほど混雑せず、確実に座れる程度)ようで、この区間では新屋線を補完する役割を果たしていると言える。数年前は、新屋線の5分後に設定されていて、あまり機能していなかった。
【2017年7月14日追記】2017年7月に夕方の大町回りを2度確認したところ、イオン秋田中央店~秋田駅に戻る辺りで、10分弱の遅延が生じていた。
長くバスがなかった卸町南側~茨島東側付近に住む人たちは、自宅から路線バスを利用する習慣がなかったことだろう。現状の卸町経由のダイヤでは、通勤には使いづらいし、本数も多いとはいえない。今後、どうなっていくか。
【26日追記】今回の新設各路線は、新設とは名ばかりで、実態は「整理統合して合計運行本数を減らしたこと」に過ぎないものが多い(茨島環状線を含む)中、卸町経由新屋線だけは前向きさが感じられるもので、一定の評価はできそう。ただし、沿線の利用者がどうとらえるかが第一ですが。
一方、大町経由の元祖新屋線は、減便が徐々に進んでいる。乗客が少ないという理由なのだろうが、増やす努力はしているのだろうか。今後が心配になってくる。昔の新屋線の話題をいずれまた。あと、卸町経由廃止区間のバス停のポールのことも。