ご当地銘菓のネーミングの話の続き。
今回は撮った自分も忘れていた秘蔵画像から、今はもう発売されていないと思われる、20年前・2001年の秋田県内のお菓子をいくつか。
いずれも、ネーミングを予想していただけるよう、中身→包装・商品名の順に紹介します。
まず、秋田マリーナ→秋田ミルフェでもおなじみ「菓子舗 榮太楼」の商品。
2001年5月撮影
1人分サイズのチョコタルト。
ナッツ類が入っていたように記憶していたが、そうではなかった【翌年には仕様が変更されていた】。中央の丸いものは「ハスカップ」らしく、ゼリーコーティングしたのか。
この商品名は?
ヒント:秋田市の旧町名。
答えは…
秋田城菓 大工町
裏面シールの品名欄は「秋田城菓(大工町)」と主客転倒。
秋田市の旧町名・大工町とは、通町(菊谷小路との交差点より西)と保戸野鉄砲町の間を指す。広義では通町の一部に含められる。
江戸時代は大工が住んでいたそうだが、今はいちおう商店街。道路拡張後しばらくは、その奥様たちが「マダム・カーペンターズ」という名前で、イベント時に出店をやるなどしていた。
竿燈に出ているわけでもなく、市民全般の認知度は低い旧町名かもしれないのに、どうしてお菓子の商品名にしたのだろう。「中通町」「上通町」みたいな旧町名シリーズでもあったのだろうか。
大工町には菓子店として川口屋がある。通町全体まで広げれば勝月と高砂堂もある。榮太楼は当時は大町店がやや近い所にあったものの、大工町が地元とは言えまい。どうして他の菓子店が存在する、よその地名をお菓子にしたのか。
ついでに「秋田城菓」も違和感ある名前。城下とかけたのかもしれないが、それはいいとして、一般に「秋田城」とは寺内の高清水公園の奈良平安の城柵のこと。江戸時代、ここが城下町だったのは、千秋公園の「久保田城」だ。せめて「久保田城菓」でないと。
そして、今回もやっぱり想像できないのが、ハスカップ入りチョコタルトが、どういう連想で大工町になったのか。
次は、秋田市外の店。
2001年8月撮影
サブレーである。前回の記事に追記したが、全国的にご当地お菓子でいちばん多いのがサブレーかもしれない。何かをかたどった形で、命名は「○○サブレ」が多いので、ストレートに分かって戸惑いは少ないでしょう。
このサブレは円形に近い形状で、写真のせいもあって葉っぱやメロンに見えなくもないが、魚の形。切れこみが口、出っ張りが尾びれ。
モチーフになった魚は何でしょう? 商品名はその魚の名+サブレーなのですが。フグじゃありません。
ヒントは製造元。男鹿市のゴンタロー。
つまり男鹿で獲れる魚なのだけど、ハタハタじゃありません。
答えは…
男鹿銘菓 鯛サブレー
鯛でした。
男鹿ではマダイもよく水揚げされ、初夏に「男鹿の鯛まつり」が行われるほど。近年特に知られるようになったと思うが、まつりは2020年で第44回だったらしいので、歴史がある。
現在のゴンタローでは、ナマハゲの顔の「男鹿の面々 なまはげサブレ」というのを売っているので、鯛サブレーはやめてしまったようだ。
包装正面は真っ白で中身が分からないためなのだろう。裏返すと、
サブレ表面がこちら
あえて裏返して袋に入れていたのだと思う。
それにしても、パッケージこそ商品の重要な要素とされる現在の感覚では、却下されちゃいそうな包装デザイン。
「レトロ」とは違うと思うけど、シンプルでかわいらしくて、これはこれでいいのでは。「鯛サブレー」の丸ゴシック体はナールでしょう。
ゴンタローのことは、昨年記事にした。そこで主に取り上げたお菓子を、2001年9月に食べていた。おそらくこの時が初。
男鹿銘菓 えぐり舟 ※2021年時点でも発売されています。
えぐり舟は、バターの入った生地であんこを包んで、ホイルで包んで焼いた和洋折衷菓子。「ホイルケーキ」「ホイル焼き」といったくくりになり、名前(一部は中のあんこも)違いで全国にそこそこある。
昨年の記事の繰り返しだが、えぐり舟はこしあんと白あんの2種があるのに、包装表面での識別が難しい。どうも舟の絵の色が違うのではないかと推測した。
昨年食べたのは、白っぽい舟で、中身はこしあんだった。
この時のものは、舟が黄色っぽい。今は裏面の表示で識別できるはずだが、当時は裏面にも表示がなかった。
果たして中身は、
白あんだった!
ぜひとも、表を見てすぐに分かるようにしていただきたい。
最後。秋田市内へ戻って、2001年6月。
これもホイルケーキ
えぐり舟と比べると、細長くて、春巻きみたい。
生地の色が薄く、厚さも薄いようで中の黒いものが透けている。
中はこしあん?
昨年のえぐり舟の記事の通り、秋田におけるホイルケーキといえば、えぐり舟と、くらたの「おばこナ(黒砂糖あん)」「ひでこナ(白味噌あん)」に二分される。
その時、かつてさらに別のホイルケーキが、かおる堂にあったようだと、触れていた。ネットで調べても写真はなかった。
なんとこれこそが、
どじょっこふなっこ
自分で撮影して食べていたとはすっかり忘れていたけれど、記録していた自分を褒めたい。
当然、味など記憶にない。
昨年、おばこナひでこナのように、どじょっこ/ふなっこで味が違うのではと考えたが、おそらく1種類だったようだ。
えぐり舟、おばこナひでこナは、紙も使われた袋だが、これは完全なプラスチックの袋。
裏面シール
裏面の商品名は「どじょっこ,ふなっこ」とカンマで区切っている。
原材料には「コーヒー」がある。隠し味だったのか、意外なコーヒーあんだったのかも?
「どじょっこふなっこ」とは、今は童謡みたいなものだが、元は民謡というか地元に伝わる歌。
作曲家・岡本敏明が玉川学園の演奏旅行で、今の秋田市北部・金足(かなあし)地区を訪れた際、歓迎会で歌われたものを譜面に起こしたことで、広く知られるようになった。
かおる堂と金足は秋田市内ながらやや距離はあるが、秋田市内の菓子店が秋田発祥の歌の名前を付けたのは分かる。
だけど、どうしてこんなホイル焼きがどじょっこふなっこなのかは、例によって分からない。細長いのがドジョウっぽくなくもない?
※大工町の仕様変更ほか、ちょっとした続き。
今回は撮った自分も忘れていた秘蔵画像から、今はもう発売されていないと思われる、20年前・2001年の秋田県内のお菓子をいくつか。
いずれも、ネーミングを予想していただけるよう、中身→包装・商品名の順に紹介します。
まず、秋田マリーナ→秋田ミルフェでもおなじみ「菓子舗 榮太楼」の商品。
2001年5月撮影
1人分サイズのチョコタルト。
ナッツ類が入っていたように記憶していたが、
この商品名は?
ヒント:秋田市の旧町名。
答えは…
秋田城菓 大工町
裏面シールの品名欄は「秋田城菓(大工町)」と主客転倒。
秋田市の旧町名・大工町とは、通町(菊谷小路との交差点より西)と保戸野鉄砲町の間を指す。広義では通町の一部に含められる。
江戸時代は大工が住んでいたそうだが、今はいちおう商店街。道路拡張後しばらくは、その奥様たちが「マダム・カーペンターズ」という名前で、イベント時に出店をやるなどしていた。
竿燈に出ているわけでもなく、市民全般の認知度は低い旧町名かもしれないのに、どうしてお菓子の商品名にしたのだろう。「中通町」「上通町」みたいな旧町名シリーズでもあったのだろうか。
大工町には菓子店として川口屋がある。通町全体まで広げれば勝月と高砂堂もある。榮太楼は当時は大町店がやや近い所にあったものの、大工町が地元とは言えまい。どうして他の菓子店が存在する、よその地名をお菓子にしたのか。
ついでに「秋田城菓」も違和感ある名前。城下とかけたのかもしれないが、それはいいとして、一般に「秋田城」とは寺内の高清水公園の奈良平安の城柵のこと。江戸時代、ここが城下町だったのは、千秋公園の「久保田城」だ。せめて「久保田城菓」でないと。
そして、今回もやっぱり想像できないのが、ハスカップ入りチョコタルトが、どういう連想で大工町になったのか。
次は、秋田市外の店。
2001年8月撮影
サブレーである。前回の記事に追記したが、全国的にご当地お菓子でいちばん多いのがサブレーかもしれない。何かをかたどった形で、命名は「○○サブレ」が多いので、ストレートに分かって戸惑いは少ないでしょう。
このサブレは円形に近い形状で、写真のせいもあって葉っぱやメロンに見えなくもないが、魚の形。切れこみが口、出っ張りが尾びれ。
モチーフになった魚は何でしょう? 商品名はその魚の名+サブレーなのですが。フグじゃありません。
ヒントは製造元。男鹿市のゴンタロー。
つまり男鹿で獲れる魚なのだけど、ハタハタじゃありません。
答えは…
男鹿銘菓 鯛サブレー
鯛でした。
男鹿ではマダイもよく水揚げされ、初夏に「男鹿の鯛まつり」が行われるほど。近年特に知られるようになったと思うが、まつりは2020年で第44回だったらしいので、歴史がある。
現在のゴンタローでは、ナマハゲの顔の「男鹿の面々 なまはげサブレ」というのを売っているので、鯛サブレーはやめてしまったようだ。
包装正面は真っ白で中身が分からないためなのだろう。裏返すと、
サブレ表面がこちら
あえて裏返して袋に入れていたのだと思う。
それにしても、パッケージこそ商品の重要な要素とされる現在の感覚では、却下されちゃいそうな包装デザイン。
「レトロ」とは違うと思うけど、シンプルでかわいらしくて、これはこれでいいのでは。「鯛サブレー」の丸ゴシック体はナールでしょう。
ゴンタローのことは、昨年記事にした。そこで主に取り上げたお菓子を、2001年9月に食べていた。おそらくこの時が初。
男鹿銘菓 えぐり舟 ※2021年時点でも発売されています。
えぐり舟は、バターの入った生地であんこを包んで、ホイルで包んで焼いた和洋折衷菓子。「ホイルケーキ」「ホイル焼き」といったくくりになり、名前(一部は中のあんこも)違いで全国にそこそこある。
昨年の記事の繰り返しだが、えぐり舟はこしあんと白あんの2種があるのに、包装表面での識別が難しい。どうも舟の絵の色が違うのではないかと推測した。
昨年食べたのは、白っぽい舟で、中身はこしあんだった。
この時のものは、舟が黄色っぽい。今は裏面の表示で識別できるはずだが、当時は裏面にも表示がなかった。
果たして中身は、
白あんだった!
ぜひとも、表を見てすぐに分かるようにしていただきたい。
最後。秋田市内へ戻って、2001年6月。
これもホイルケーキ
えぐり舟と比べると、細長くて、春巻きみたい。
生地の色が薄く、厚さも薄いようで中の黒いものが透けている。
中はこしあん?
昨年のえぐり舟の記事の通り、秋田におけるホイルケーキといえば、えぐり舟と、くらたの「おばこナ(黒砂糖あん)」「ひでこナ(白味噌あん)」に二分される。
その時、かつてさらに別のホイルケーキが、かおる堂にあったようだと、触れていた。ネットで調べても写真はなかった。
なんとこれこそが、
どじょっこふなっこ
自分で撮影して食べていたとはすっかり忘れていたけれど、記録していた自分を褒めたい。
当然、味など記憶にない。
昨年、おばこナひでこナのように、どじょっこ/ふなっこで味が違うのではと考えたが、おそらく1種類だったようだ。
えぐり舟、おばこナひでこナは、紙も使われた袋だが、これは完全なプラスチックの袋。
裏面シール
裏面の商品名は「どじょっこ,ふなっこ」とカンマで区切っている。
原材料には「コーヒー」がある。隠し味だったのか、意外なコーヒーあんだったのかも?
「どじょっこふなっこ」とは、今は童謡みたいなものだが、元は民謡というか地元に伝わる歌。
作曲家・岡本敏明が玉川学園の演奏旅行で、今の秋田市北部・金足(かなあし)地区を訪れた際、歓迎会で歌われたものを譜面に起こしたことで、広く知られるようになった。
かおる堂と金足は秋田市内ながらやや距離はあるが、秋田市内の菓子店が秋田発祥の歌の名前を付けたのは分かる。
だけど、どうしてこんなホイル焼きがどじょっこふなっこなのかは、例によって分からない。細長いのがドジョウっぽくなくもない?
※大工町の仕様変更ほか、ちょっとした続き。